1 追われる者。
まずは一話目。どうぞよろしくお願いします。
ある秋の夜。その日は雨が降っていた。その中に、闇と雨音に紛れるようにして駆ける小さな影がある。
暫くすると、複数の慌ただしい足音が聞こえてくる。どうやら小さな影は何者かに追われているように見えた。
「くそっ、あのガキ、一体どこに行きやがった!?ガキの足だ、そう遠くにはいないはずだ、探しだして取っ捕まえろ!」
「隊長!東の森に入っていく子供を見たと言う報告が!」
「森の中だと!?あそこを抜けられると白の国だ、手分けして追え!」
「了解しました!聞いたか、二人一組になって追え!あの化物を殺せ!」
「「「殺せ!あの化物を殺せ!」」」
隊長と呼ばれた男が指示を出すと、他の男たちが次々と森の中へと入っていった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、に、逃げないと、どこか安全な場所へ!・・・うわっ!?」
少年は木と木の間をぬうように逃げていく。しかし、逃げている途中に足をもつれさせてしまったらしく、転びはしなかったものの、近くの茂みに足を突っ込んでしまい、ガサリと大きな音をたてた。
「見つけたぞ!こっちだ!」
「っ!」
見つかってしまった少年は逃げようとする。だが、
「逃がさねえぞ!心を覗く化物め!」
「ぐっ!?」
腹を蹴られた少年は宙を飛び、鈍い音を立てて木に激突した。
少年は思う、なぜ人の心が読めると言うだけでこんな目にあっているのかと。人に心を覗かれてもいいような人間になればいいではないか。なのに、なぜ?少年は理解出来なかった。
「やっと捕まえたぞ!」
「「「殺せ!化物を殺せ!」」」
その時であった。突如森の中から獣の咆哮が聴こえてきた。さらに、何処からか人の悲鳴も聴こえてくる。
「まずいぞ...守護獣が怒っている、この化物を殺して撤収するぞ!」
男がそう言った瞬間、茂みから影が躍り出て、周りの人間を瞬く間に殺していった。
この時、少年にとって幸運だったのは、守護獣の縄張りに入っていたということ。
守護獣は、邪な意思を嫌う。たったそれだけのことが、少年の命を救ったのだ。守護獣は、すでに気絶している少年を背中に乗せると、東へ向かって去っていった。
その場には、たくさんの屍だけが残っていた。
人の台詞って、とても難しいですね。
上手く書けているでしょうか。