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聖アルヴェジーナ学園の創設者より
「やっべ、遅刻する……!!!」
空を勢いよく飛び去る者がいた。
彼の名前は雲威啓汰。
近くにある魔法学校の10年生だ。
ホウキに跨がり広い森の中心部へと飛んでいく。
そう、彼の目的地こそがこれからお話しする物語の舞台、『聖アルヴェジーナ学園』。
3~19歳までの優秀な、でも問題児ばかりが通う有名な魔法学校。
今日は2学期の始業式だ。
さあ、一緒に覗いてみるとしよう……。
自己紹介が遅れて済まないね。
私の名はダンテ・クロニクル。
この学園の創設者で、ある学生のお祖父ちゃんさ。
まあ、それは置いておいてあちらを見てごらん。
ほら、羽の生えた靴で飛んできた母子だよ。
彼女……淡いクリーム色をした髪の女の子がこのお話の主人公だ。
名前は白菊奏。
母親とは似ても似つかぬ姿をしておるだろう?
え、何故分かったかって?
それはまたの機会に話すとしよう。