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コンタクト1-1 妖精との契約

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―――とある病院の静かな廊下で10歳の少年樋坂積吉│《ヒサカツヨシ》は手術の待ち時間に疲れて寝ている7歳年下の妹樋坂由井│《ヒサカユイ》に着ていた上着を被せた。

 積吉は長椅子に座って目の前の「手術中」と赤く点灯した電灯を不安げな表情で見つめていた。


 その手術室の中では二人の子供の母が全身麻酔を打ち手術が行われていた。

 担当の主治医が厳しい表情で手を慎重に動かし、額から流れる汗をそばにいた看護婦がタオルできれいに汗を拭きとった。

 緊迫した状況の中彼女の意識は手術室から離れ病院の屋上で紅く染まった夕焼け空の日差しを浴びながら体長は手の平サイズのとても小柄な少女に語りかける。

「トリス、・・・・お願いがあるの。もし・・・私が死んだら、あの子たちを・・・守ってあげて。」

 母はおもむろに少女の方へ小指を差し出し少女に、

「約束よ。」

「うん。」

 少女も静かに小指を差し出し母の小指を合わせた。

 二人で声を揃え約束を交わした。

『指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った。』


 どこかスッキリした表情で母は少女に我が子の成長を託し満面の笑みで少女に見せると身体が静かに透けていき少女は彼女に、

「さよなら美鶴!」

 母の満面な笑顔を返すように悲しい気持ちを抑え形だけの笑顔を見せた。


 手術中と点灯してた電灯は消え中から担当の主治医が出てきた。

 積吉は主治医に詰寄せた。

「先生!!母は?手術は成功ですか?」

 主治医は積吉の問いかけに首を横に振り積吉に深く謝罪した。

 主治医は深く頭を下げ積吉に謝罪した。

「う、嘘だ!嘘だ!う‥‥う、そ‥だ!うううあああああ」


 積吉の悲痛な叫びは静か廊下に響き渡った。

 積吉達を遠くから見つめるトリスは彼らの母の言葉を思い返し強く決意する。

「美鶴・・・約束絶対守るから!!」




―――それから5年後、母を亡くした積吉は高校1年生に成長して妹の由井は小学4年生へと成長した。

 彼らの父、キヨシは世界を駆け回るフリーライターでいつも家には帰っておらず兄妹2人で、仲良く暮らしている。


 積吉はいつものようにマンションのエレベーターに降りて自転車に乗って浅倉高校へ登校する。

 近くのコンビニのATMでお金を下ろし弁当を購入しコンビニを後にした。

 これが彼の習慣である。


 しかし、いつも通る交差点が混雑していて積吉は足を止めた。

 積吉は携帯の時間を見ながら交差点の様子を窺った。

 だがいくら交差点で待っても信号が青に変わらずHRの開始時間が刻一刻と迫っていることに焦りと苛立ちを感じていた。

「ああ、もう待てねえ!」

 積吉は我慢が出来ず信号を無視して迷わず歩道の前に進んだ瞬間真横から大型トラックが積吉に目掛けて突進して来た。

 トラックの運転手はブレーキを踏むがすでに遅く「ドガッ」と大きな音とともにトラックのフロントは凹み、自転車はぐちゃぐちゃになった。

「おい、兄ちゃん大丈夫か?おいしっかりしろ!」 

 トラックの運転手は積吉の安否を確認するためトラックから降りて積吉に声を掛けた。

 運転手は積吉の体を軽く揺さぶってみた。

 すると、積吉の頭から濃い血がゆったりと流れ運転手の顔が真っ青になり背筋に悪寒が走った。


「う、う~ん。ここは‥‥どこだ?俺は一体?」

 真っ暗な空間で彼の意識は目覚めた。

 事故当時の記憶がなく、積吉は事態の状況が読めず記憶を整理してみた。

「えーっと、確かコンビニで今日の生活費を下ろしてトイレ行って弁当買って‥‥んで、確か交差点が混んでいてそれから‥‥‥。」

 積吉は絡み合った記憶の糸を少しずつ慎重にほどいていった。

「‥‥時間がないから信号を無視して前に進んだんだっけ。‥‥‥‥‥‥もしかして事故って死んじゃったの?俺?‥‥えええええええ!!!!!!!!」

 積吉は記憶を整理したことで今の状況をしっかりと把握した。

「えっ、ウソマジかよ!俺死ぬの?いやいや、それはまず無いだろう!こんなこと言うのもなんだけど、俺一応この物語の主人公だから!主人公がいきなり死ぬのってどうなの?」

「ねぇ!」

 さりげなく積吉に呼び掛ける少女の声がしたが、今の積吉はパニックになっていて女性の声が届いていなかった。

 女性は大きく息を吸い込み積吉の耳元に近づき、

「ねぇってば!」

 と鼓膜が破れるくらいに叫んだ。

「うぉぉい!何すんだいきなり!」

 積吉は耳を抑えながら後ろを振り向くと、一人の少女が立っていた。

 少女はウェーブのかかったショートヘアを軽く手で払い積吉の瞳を見た。

「な、何だよ一体?君は誰だ?ここは一体どこなんだ?」

 積吉の問いかけに答えるように少女は口を開けた。

「そうね。まずは自己紹介をしないといけないわね。あたしの名前はトリス。妖精よ」

「はっ妖精?死神の間違いだろ。これから戸魂界ソウル・ソサエティに連れてくんだろ?」

「あなたバカなの?よく見なさい。あたしのどこが死神だというの?」

 積吉は少女をじっと見つめる。

 手の平サイズの身長、背中に生えた4枚の薄く透明な翼、少女の姿は死神よりも妖精に近かった。

「何で妖精が?」

「あなたは自分が死んでたと思ってるようだけど、実際は瀕死の重傷を負ってるだけでまだ死んじゃいないのよ。それにここはあの世じゃなくて夢の中よ」

「ってことは、まだ俺は生きてるってことなんだな」

「ええ。今ここで、『生きたい』と強く願えばあなたは助かる。けどそのかわりにーーー」

「『魔法少女になって悪と戦うのだぁ』っていうプ〇キュアみたいな展開なんだろどうせ」

「んなわけないでしょ!!あんたが魔法少女になったらこの物語は即終了になるわ!!!!!!!!!コ、コホン、とりあえずあなたを救うかわりあたしのお願いをあなたが叶えないといけない。まあ、わかりやすく言えば等価交換だね」

 トリスの説明を聞いて積吉は腕を組み考えた。


 積吉は何かを閃いたのかズボンのポケットの中をあさりポケットのたまたま入っていた10円ガムをトリスに渡した。

「これでいい?」

「よくねええええええええええ!!!!!!!!!」

 トリスは拳を強く握りしめ積吉の頬にクリティカルヒットし悲鳴ともに血を吐きだした。

「ごっふぉ!」

「舐めてんの?このあたしを舐めてんのかあんたは!」

「えっと、トリスさんでしたっけ?10円ガムが好きじゃないのか?この安くておいしいこの10円ガムを、お前バカだなあ~」

「いやバカはおまえだろ!よ~く考えて等価交換だからあんたの価値が10円ガムと同等ってことになるから!」

「じゃあ、君の望みは一体何なんだ?」

「そうねえ、あたしの望みはあんたをあたしの下僕にしたいことかな」

「ただの命令だよねそれ!?願い関係ねえじゃん」

 彼女の理不尽な願いを聞いて積吉はおもわず突っ込んだ。

「あら、分かりづらかったかしら?あなたがあたしの奴隷になってくれる?」

「言葉変えただけじゃん!!こんなの却ーーー」

「なるよね?」

 積吉がまだ喋っている途中でトリスは満面の笑みで積吉に微笑む。

 彼女の微笑みとは裏腹に「断ったら殺すぞ!」と言わんばかりの殺気を放つ。

 彼女の殺気を感じた積吉は、恐怖のあまり「は、はい」と若干涙目になりながらこくりと首を縦に振った直後謎の紋章が突如出現し、紋章から強い閃光に襲われ積吉はまぶたを閉じた。

 積吉の頭の中で『契約完了』という言葉が浮かびあがった。

 


「うう、俺はいったい?」

 積吉はまぶたを静かに開くとそこは先ほどまで事故現場であった交差点の歩道に立っていた。

 彼の隣には事故でぐちゃぐちゃになっていた自転車が元に戻っていた。

「一体何がどうなっているんだ?」

 積吉はもっと深く考えようとしたが携帯の時計を見て考えるのをやめその場を後にした。

 左手の甲に浮かび上がった紋章に気づかずに・・・・。

初めての作品なので文章がおかしかったらごめんなさい。

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