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第3章:古城の試練



荒野を抜けた三人――楓、澪、颯――の目の前に、かつての戦国時代を思わせる古城跡が姿を現した。砂埃をかぶった石壁には苔が絡み、崩れかけた塔や砦の影が、夕焼けの光に鋭く浮かび上がっている。

「……ここが……次の試練の場所……?」楓は息を呑む。

澪は手を腰に置き、城の輪郭を見渡す。「ああ。中には、まだ敵が潜んでいるはず。しかも、罠もある……」

颯は無言で城の門を見据える。石造りの堅牢さと静寂に、緊張感が漂う。

三人は慎重に城へ足を踏み入れた。入り口の扉は半ば崩れ、風が軋む音を立てている。内部は薄暗く、かつての栄華を示す壁画や、崩れた家具の残骸が散乱していた。砂埃と湿気が混ざり、空気は重い。

「……誰もいないみたいだけど……油断は禁物」澪の声に、三人はうなずく。

1. 廊下の罠

城内の廊下を進むと、突然、床に仕掛けられた罠が作動した。楓の足元が抜け、深さ二メートルほどの穴が現れる。咄嗟に颯が手を差し伸べ、楓を引き上げた。

「……危ない……」楓は息を切らす。

「油断するな、ここは普通の城じゃない」颯の声は冷静だが、鋭い。澪は杖で床を探りながら前に進む。壁や床に仕掛けられた細工、隠された針や刃――古城は、生きた戦士を試すかのような迷宮だった。

三人は慎重に連携し、互いに合図を送りながら進む。楓は初めて、仲間と一緒に罠を乗り越える緊張感と達成感を味わった。足元の砂や瓦礫、壁のひびを見極めながら、一歩一歩進む。

2. 城内の幽霊兵

奥の大広間にたどり着くと、石畳に人影が揺れた。五十年以上も前の戦士たちの亡霊――戦いの念が残る“幽霊兵”が、甲冑をまとい、刀を握って立っていた。

「……生きている人間……か?」幽霊兵の声は風に乗り、冷たい響きを持つ。

澪が小さく息を吸い、杖を構える。「戦うしかない……でも、力を合わせれば……!」

戦闘が始まる。幽霊兵の剣撃は速く、鋭く、石の壁に反響するたび心臓が跳ねる。颯が中心に立ち、敵の動きを読みながら切り裂き、澪は魔法のような杖の技で支援。楓は仲間の後ろから、身を守りつつ斬撃を加える。

戦いは長引いた。幽霊兵は何度も倒れては立ち上がる。疲労と恐怖に押し潰されそうになる楓に、颯は言った。

「楓、恐れるな!お前はここで倒れる者じゃない!」

澪も微笑む。「怖いのは当然。でも、私たちは一緒よ」

三人は息を合わせ、最後の一撃を幽霊兵に叩き込んだ。甲冑は粉々に砕け、残像だけが風に舞う。大広間に静寂が戻る。楓は膝をつき、汗と血と涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭った。

「……生き延びた……」

3. 城の迷宮と謎解き

戦いの後、三人は城の奥深くに進む。そこには、印章を守る“迷宮の間”があった。扉には古文書と複雑な紋章が描かれ、何度も試行錯誤しないと開かない構造だ。

「これは……頭を使わないと無理ね」澪がため息をつく。

「でも、焦るな。落ち着いて考えれば……必ず解ける」颯は冷静に周囲を観察。

楓は紋章に触れ、かつて見た古書の記憶を頼りにヒントを思い出す。紋章の順序や形、角度を変えると、微かなクリック音が響く。澪と颯も手を貸し、三人で試行錯誤を重ねる。

数十分後、ついに扉がゆっくりと開いた。中には、古びた祭壇があり、光る印章が鎮座していた。印章は三つに分かれ、触れることで力を得ることができる。

4. 内面の試練

しかし、印章には試練が隠されていた。触れた者は、心の奥底の恐怖や後悔、孤独と向き合うことになる。

楓は母と弟を失った過去、戦いで仲間を守れなかった無力感を思い出す。恐怖で足がすくむ。

「……私……また、誰かを失うの……?」楓は泣きそうになる。

颯は冷静に楓に手を差し伸べる。「楓、恐怖に飲まれるな。恐怖を認めた上で、前に進むんだ」

澪も微笑む。「私たちがついてる。怖い気持ちは一人で抱えなくていい」

楓は二人の手を握り、深呼吸する。恐怖と向き合い、心の中の闇を一つずつ受け入れ、克服する。すると印章は温かい光を放ち、三人の手に力を分け与えた。

5. 新たな力と絆

印章の力を得た三人は、これまで以上に互いを信頼し、戦う力を増す。楓の剣は軽やかになり、颯の剣術はさらに鋭さを増し、澪の魔法は精度が向上する。

「……やっと、私たち、本当に一つになれたのかも」楓は微笑む。

古城の試練を越えた三人は、外に出る。荒野の夕焼けが再び輝き、城跡の陰影が長く伸びる。疲労困憊ではあるが、三人の絆と信頼は確実に深まっていた。

「次の試練も……きっと、乗り越えられる」澪が言う。

颯は無言で頷き、楓は刀を握り直す。目の前には、まだ見ぬ荒野、森、そして未知の敵――次なる挑戦が待っていた。


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