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第2章:荒野の盟友


山道の霧が晴れた朝、楓たちは深い森を抜け、開けた荒野へと足を踏み出した。目の前に広がるのは、果てしなく続く乾いた草原。風が強く、砂埃が目に入り、息をするたびに口の中が乾く。

「……こんな場所で、戦うの?」楓は不安げに呟いた。

澪は手で額の汗を拭いながら、淡々と答えた。

「ここなら、待ち伏せや奇襲は少ない。でも……敵も簡単には来ないわけじゃない」

颯は黙ったまま、前方の荒野を見据えていた。冷静沈着な彼の視線は、草の揺れ一つ、遠くの丘の影一つを逃さず捕らえているようだった。蒼は楓の隣で、肩にかけた刀の重さを確認しながら、こう言った。

「警戒は怠るな。荒野は広いけど、裏切り者や他の参加者は意外と近くにいる」

三日目の夕方、彼らは小さな丘を越えた先で、一行を追う敵グループと遭遇した。五人組の剣士たち。荒野での戦いは、木々や障害物がないため、すべて正面勝負。楓たちは瞬時に陣形を組む。

「楓、左を頼む。澪は後方支援、颯は中央で俺と組め」

蒼の指示で楓は緊張しながらも刀を握りしめた。砂埃の中で、相手の動きが浮かび上がる。

一瞬の隙をついて、楓は攻撃を仕掛ける。だが、相手は鋭い剣のさばきで軽く受け流した。痛みと悔しさが胸に走る。

「……まだ、力が足りない……」

戦いの最中、颯の剣が光り、敵の一撃を切り裂く。その速さと正確さに楓は息を呑む。颯は戦いながらも冷静に仲間の安全を確認し、戦況を的確に分析していた。

「……颯さん……すごい……」楓は心の中でつぶやいた。

戦闘は激化し、五人組は数の利を活かそうと楓に集中攻撃を仕掛ける。咄嗟に澪が楓を庇い、杖で攻撃を受け流す。

「澪……ありがとう!」楓は叫び、再び力を振り絞る。

砂煙と剣戟の音の中で、楓は初めて仲間と心を通わせる感覚を覚えた。恐怖と緊張の中で生まれる信頼――それこそ、戦いを生き抜くための力だと。

荒野の戦いが一段落した時、楓たちは丘の影に隠れ、息を整えた。

「大丈夫か?」蒼が楓に尋ねる。

「……うん、なんとか。でも……まだ怖い……」楓は震える手で刀を握りしめた。

颯が静かに頷く。「恐怖を感じるのは悪いことじゃない。恐怖を知っているから、俺たちは生き延びられる」

澪が小さな傷を手当てしながら微笑む。「でも、三人で力を合わせれば、少なくとも今よりは強くなれるわ」

その夜、荒野の夜空は満天の星で輝き、冷たい風が肌を刺す。三人は焚き火を囲み、互いの過去や理由を語り合った。

楓は母と弟のこと、戦いに巻き込まれる前の平穏な日々を話す。

颯は口数少なく、剣を握る理由だけを語った。「生き延びるためだ……それだけ」

蒼はかつての師や故郷の話をする。戦いの中で得た知識と経験を仲間に伝えるために。

焚き火の明かりに照らされ、三人の距離は次第に縮まった。戦いの中で生まれる友情、信頼、そして微かな安心感。荒野は広く孤独だが、仲間がいれば希望は見える――そんな気持ちを楓は初めて抱いた。

翌日、彼らは荒野をさらに進む。道中には、倒れた参加者や荒らされた村の跡が点在し、戦いの現実が静かに迫る。楓はその光景を目にし、戦いの残酷さを実感する。

「……これは……本当に、勝てるのかな」楓は独り言のように呟く。

しかし、荒野の奥に潜むのは、単なる敵ではなかった。自然の厳しさ、過酷な環境、そして心理戦――すべてが参加者の心と体を蝕む。三人は互いを支え、助け合いながら進むしかなかった。

ある昼下がり、突然の砂嵐が襲う。視界は一瞬にしてゼロ。楓は手探りで澪と颯を探す。砂に埋もれそうになる身体を支え、互いに声を掛け合う。

「離れるな!」「ここだ!」必死の声が砂嵐に飲まれる中、三人は手を取り合い、何とか難を逃れた。

その夜、砂嵐の後の荒野には、美しい夕焼けが広がる。血と砂埃で汚れた身体を休めながら、楓は思う。

「……こんなに怖くても……仲間がいると、少し希望が見える……」

第2章の終盤、荒野の向こうに古びた城跡が見えてくる。試練の次なるルートは、城跡を制し、次の印章を手に入れること。

「ここで新たな試練か……」蒼は目を細める。

「でも……一緒なら……私たち、乗り越えられるかも」楓は微笑む。

荒野を越え、信頼を深めた三人――その絆は、これから訪れる数多の試練を生き抜く力となる。遠くで風が唸る中、夜空には新たな月が昇り、次なる戦いの幕開けを告げていた。


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