第95話 メールの返信って苦手
「暴食の邪神からメールがきたの!? っていうか、それより鑑定さんにそんな機能が隠されてたのにびっくりだし……あ! じゃあ、巨神にもメール送れない?」
«――否。 加護ヲ、クウネルが所有しテいル必要が有リまス»
「ふーん、アドレス登録してないとメール送れないってヤツね。 因みに文字数制限とかは?」
«――否。文字数制限ハ無い筈デす»
「すっげ! じゃあ、早速暴食ノ邪神からのメール表示してよ」
«――了»
クウネルはワクワクしながらメールが表示されるのを待っていたが、目の前に半透明のパネルが現れ本文を読んだ瞬間に固まった。
『やっはろー! クウネルちゃん、元気にしてる? お母さんよ~。 さっきはアースドラゴンの内臓いっぱい送ってくれてありがとうね♡ 今日の夕飯に焼き肉でもしちゃおっかな~、お母さん何でも食べれるから今後も送ってくれるとすっごく嬉しいなぁ~☆ たくさん送ってくれたら、何かお返しするね♡ ps.飢餓を無視したり、感情が暴走したらまたお友達を襲った時みたいになるから気を付けてお☆』――以上でス»
本文を読み終えた後も暫く硬直していたクウネルは、ようやく声を絞り出した。
「えっと……うッス」
微かに記憶にある暴食の邪神らしき者と脳内で会話した時とのギャップにクウネルは戸惑う。
「あれ? 暴食の邪神さん、お母さんだっけ? 何かテンションおかしくない? 少なくとも、お母さんが娘に送るタイプのメールの内容では無いよ……あ、あれかな? 待って待って、一応確認しとこう。 ステータスオープン!」
ステータス画面
名前 クウネル
年齢 2
職業 暴食の姫君
種族 暴食の巨人
レベル 523
HP 305850/305850
FP 151130/151190
攻撃力 201220
防御力 174520
知力 101707
速力 502504
スキル 鑑定Lv3. 暴食. 消化吸収強化. 竜鱗Lv2. 火耐性Lv3. 竜殺しLvMax. 魔物食らい. 気配察知Lv2. 連携Lv1. 酸耐性LvMax. 即死耐性LvMax. 王喰い. 隠密Lv2. Hey鑑定. 錬金術Lv1. 森狼王を率いし者. 酸噴射Lv1
魔法 火炎Lv2. 土魔法Lv1. 水魔法Lv1
戦技 叩き割りLv2. 槍突きLv1. 噛み付きLv5. 暴食の大口
状態異常 なし
加護 暴食の邪神の慈母愛
「あ~、なるへそね。 はいはい。 ずっと触れて無かったけど、職業が暴食の姫君になってて種族も暴食の巨人になってたのね。 で、加護の名前も暴食の邪神の慈母愛に変わってると……。 これは……所謂、ビジネス親子ってヤツでは? 眷属的な? 親子の盃を交わした的な? ヤーさんが組長を親父って呼ぶのと一緒だよね」
クウネルは自身に言い聞かせる様に呟く。
「それに、何でかお母さんって呼ぶのしっくりくるのよ。 よし、リターンが有るならお母さんって呼んであげようじゃないの。 後は~……psの所から滅茶苦茶重要じゃね? 飢餓を無視……って、アレかサバイバル初日に何回か味わったあの滅茶苦茶な空腹の事か。 あのままスライム君に出会えて無かったら、彼処で赤髪のクウネルになってたのかな?」
この時、スキルである鑑定はクウネルが僅かに精神操作を受けているのを察知しておきながら放置する事を選択していた。
まるで、何かの意思に従うかの様に。
「いや、でも閉じ込めてたって言ってたのよね。 前は大丈夫だったけど、これからはなるよって話しかな? 感情が暴走したらか……ついこの間モロに泣き崩れた時も確かに何時もの私と違った気がする。 う~ん……これからは気を付けなきゃな。 うっかり赤髪のクウネルになっちゃいました~、てへ☆ ……じゃ、すまないだろうし」
«――返。 クウネル、返信ヲ送信しマスので内容ヲ決めテ下さイ»
「へ? あ~、そっか返信ね。 そうよね、返信ね。 ん~……返信しないとダメかな? こう……何だろう、苦手何だよね。 メールとか返すの」
クウネルは前世からのトラウマを思い出しながら頭を抱える。
「でも、一応簡単には返信しないとダメだよね。 ビジネス親子だとしても、お母さんって呼ぶんだもんね。 よし決めたぞ! Hey鑑定、メールの入力をお願い。 『喜んでくれて嬉しい、内臓はしっかり焼いて食べてねお母さん』以上でお願い」
«――了。 暴食の邪神ヲお母さんデ登録――承認。 メールの入力ヲ確認――送信ヲ完了しマシた»
鑑定からの報告を聞き、クウネルはようやく胸を撫で下ろした。
「ふー、オーケーオーケー! やっぱり誰かにメール送るの苦手だー、変に緊張するんだよね。 よ~し、袋も回収したし旅の続きと行きますか~」
気を取り直したクウネルは袋を回収し、背中に背負った。
«――受。 クウネル、お母さんカらメールを受信しマしタ»
しかし、直ぐに返ってきた暴食の邪神からの返信に目を見開いて驚くのであった。
「えええぇぇぇえ!? 何で!? 早いよぉぉぉぉ!」




