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第69話 服が欲しいです

 「あー、可愛いですねぇ~」


 飛竜王の尻尾には沢山の子狼達が群がり、尻尾を一心不乱に食べていた。 飛竜王の皮膚や竜鱗が固すぎて子狼達が難儀していたのを見かねたクウネルは素手で剥いた尻尾を千切り渡してあげたのだ。


 「うむ。 きっと、子狼達からの好感度は爆上がりした事でしょう!」


 フォレストウルフの容姿は黒みの掛かった灰色狼だが、まだ子供のフォレストウルフ達は綺麗な灰色の毛並みをしておりとても愛らしい。


 「私が大きいからか、ハムスターみたいなサイズ感なのがまた乙女心くすぐるわー。 あ、乙女心をくすぐる感じ、亜人の妖精達を思い出すね~。 次に会ったら羽むしるけど」


 因みにクウネルは可愛い子狼達を見ながら何をしているかと云うと、全裸で飛竜王の内臓を焼いていた。


 「服が欲しいです、はい。 飛竜王の皮膚を服にするのは無理でした、はい。 だって、血だらけだし……私そんなに器用じゃないもん! あ、私の身体に付着してた血は適当な葉っぱで拭いたよ」


 クウネルは内臓を焼きながら独り言をブツブツと呟き続ける。


 「何だろう……野生の魔物である筈のウルフキングが、何故かドン引きしてたのは解せぬってなったよね。 何で内臓焼いてるかって謂うと友のウルフキングに、内臓食べるけどせめて焼いてくれない? って、お願いされちゃってさ。 薙ぎ倒した巨木を粉々にして、火を付けて焼いてる最中なのよね」


 誰かに話し掛けている訳では無いが、知らない人からしたら独り言が多い不審人物だと思われるだろう。


 当のウルフキングはクイーンと成狼2匹と何やらフスフスと鳴いて会話をしており、クウネルは寂しい思いをしていた。


 「何で、こんな大所帯になってるかって? 少し前にクイーンさんが、ダッシュで何処かに走って行ったと思ったら群れの生き残りの2匹と子供達を連れて戻って来たんだよね。 再会した2匹のフォレストウルフには滅茶苦茶吠えられたけど……友達のウルフキングが遠吠えで止めてくれたから何とか殺し合いにならなくてホッとしたよ」


 内蔵をひっくり返しながら、クウネルはブツブツと独り言を呟き続ける。 流石に子狼達も不気味がり、少し距離を取られ始めているがクウネルは気付かなかった。


 「多分、和解出来たのかなー……さすがに、友の家族って知ってからは殺したくないしねー。 お、ホルモンがいい感じー。 おーい、焼けたよー!」


 クウネルに呼ばれウルフキング達がやって来た。


 「クフクフ あぁ、ありがとう友よ。 っていうか、独り言凄いね。 誰かと話してるのかと思ったよ。 さぁ、お前達食べておいで。 ガウッ! ガウガウ」


 焼けた内臓を巨木のでっかい葉っぱに大量に乗せてあげる。


 「カフカフッ! ガウッ!」 「「ガツガツガツッ!」」


 クイーン、成狼2匹が一心不乱に焼けた内臓を食べ始める。


 その光景にクウネルは、非常に美味しそうだと涎を垂らした。


 「ジュル……いかんいかん! 今度こそ全部食べてしまいそうになってた! 友の家族の為だ、自制しないとね」


 すると、恐らく風魔法で浮かんだウルフキングがクウネルの目の前にやって来た。


 「グルルルル……ありがとう、友よ。 群れの飢えを何とか出来たのも、また妻や群れに会えたのも友のおかげだ。 何度も言うが、本当にありがとう」


 「よせやい! 改めて言われると照れるやん。 あ、そういえば伝えて無かったっけ。 私はクウネルだよ」


 「ガウ? それは、種族がクウネルというのかい?」


 「ん? いや、名前だよ?」


 「クゥン……そうか、友には名前が有るのか。 クウネルという名か……良い名だね。 では、これからはクウネルと呼ばせてもらおう」


 「ん。 友には名前無いの?」


 「ガウッ、そうだねぇ……森狼(もりろう)は種族名だし……実はもう1つの呼び方はあまり好きではないんだよね」


 「好きじゃない呼び方? それって、フォレスト ウルフって呼び方の事?」


 「ガウッ、クウネルは本当に不思議な魔物だ。 そういえば何故その呼び方をを知ってたんだい? それなりに長く生きる私でも最近知ったのに」


 「んー……私も良くわかってないんだよね。 それより、名前……決めたげようか?」


 クウネルは鑑定スキルの事等を喋るつもりはまだ無かった。 幾ら初めての友達と云えども、危険な事には変わりないからだ。 誤魔化すように話題を変えると、ウルフキングは嬉しそうに笑った。


 「グル?! 本当かい? それは嬉しいね、実は憧れてたんだ。 名前を持つ魔物は少ないからね、名前が有る魔物は強いって聞くし」


 友達が嬉しそうな様子を見て、クウネルも笑顔になる。 そして、腕を組んで必死に考えた。


 「ふーん、そうなんだ。 何がいいかなー、もり、もり、もりろうねー。 あっ! これだ! モロは? 森狼の種族名を縮めてモロ!」


 [アオーーーンッ! モロ、モロか! 良き名だ! 気に入った、これからはモロと名乗ろう! ありがとうクウネル、ここ最近は何も良い事が無かったけど今日は最高の日になったよ!」


 高らかに遠吠えをするモロの尻尾は激しく振れている。 余程名前が嬉しかったのか、空中で回り始めた。


 「えへへ、気に入って貰えて良かった~」


 「クゥン! よし、友クウネルよ! 私に何かして欲しい事は無いか?! 何でもするぞ!」


 鼻息荒く聞いてきたモロに、クウネルは遠慮なく伝えた。


 「え? マジでいいの? じゃあ……服が欲しい!」


 「グルル……服?」


 「ん? ……うん、服だよ。 あれ? もしかして、私が全裸なのが当たり前って思われてる?! そんな訳あるかーーい!」


 クウネルの盛大なツッコミが巨木の森に木霊した。

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