表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/190

第7話 Happy Birthday! 私!

 さて、遂にクウネルがこの世界に転生して一年が経とうとしていた。


 (え? 時の流れが早すぎるって? いいんだよ、細かい事は。そもそも、本当に聞きたい? 乳飲んで、寝ての繰り返しだよ? パパやママやじーじが、私にデレデレな話しぐらいしか無いよ?  もう飽きたでしょ?)


 今はクウネルの誕生日会の真っ最中であり、村の広間で宴会のような形をとっている。 


 村はそれ程大きく無く、10軒程の丸太小屋が建ち並ぶのが見える。


 丸太小屋というよりは、正確には丸太大屋が相応しい大きさの家だ。


  (いや~誕生日お祝いして貰えるって前世のお祖父ちゃんが生きてた時までだから、照れる照れる。 はっはっはっはー、苦しゅうない苦しゅうないぞ!)


 クウネルは上機嫌で誕生日会を楽しんでいた。


 クウネルは1歳を迎えたので、当然離乳食も始まっている。

なので、今クウネルの目の前にはお祝いのご馳走が並んでいるのだ。 当然、全てペースト状だが。


 (そりゃそうさ、まだ歯も少ししか生えて無いんだから。 しかも、ペースト状になっているのは、野菜や果物ばかり。 肉が食べたい! 肉ー!)


 野菜や果物も、見た目はクウネルが前世から知っている見た目ばかりだが大きさがそもそもおかしい。


 クウネルと同じ大きさなのだ。


 どれぐらいの大きさか、ちょうど良い比較対象がやって来た。 誕生日会のお祝いに来てくれた商人と野菜をクウネルは何度も見比べる。


 当然ながら、敵対してる人間の商人では無く。 巨人と同じ亜人の獣人だった。


 その商人と、野菜の大きさが一緒なのである。


 つまり、クウネルは大人の商人と同じ大きさの一歳児なのだ。 このでたらめな大きさは、流石巨人といったところだろう。


 クウネルは前世では身長の低さから見下される人生だったが、今世では既に普通の大人と同じ身長を手に入れた。


 巨人を選んで転生した甲斐があったという物である。


 大人の巨人は、10m程も身長がありクウネルは近くを村人が通る度に見上げる。


 祖父トールは50mはある巨人で、他の村人の巨人と比べても規格外だ。


 そんな祖父の膝の上でクウネルは空腹を紛らわす為に、ペースト状の野菜や果物を食べ始めた。

  

 (あ、やば! お腹空いてきた!! お腹が空いたなら、もう固形でもペースト状でも何でもいいのだ!)


 バクッ! モグモグモグモグモグモグ


 「クウネル、挨拶に来て下さってる方々に失礼にならないように程々にしなさいね」


 バクッ! モグモグ

 「うん……わかった。ママ」


 (ちぇっ、今は普段の爆食いをしてはいけないらしい。 まぁ、いっか。 気にせずに食べよう)


 エルザが子守歌替わりに大雑把にクウネルに教えていたが、今クウネルが住んでいるのは巨人の王国に有る村の1つらしい。


 バクッ! モグモグ


 巨人の王国には、他にも村や街が点在しておりそれぞれ役割がある。 この村は狩りを仕事としている。


 モグモグモグモグ


 まだ地理までは教えられていないが、魔物が大量に居る«魔の森»という名のめちゃくちゃ大きい森の側に村を作ったそうだ。


 何故そんな危険な森の側に作ったかというと、魔物を狩って街や王都に肉や素材を送る為であり、正にこの村は狩人専門の村なのだ。


 そんな事を思い出しながら、クウネルは両親にも確かにスキル狩人があったなと離乳食を食べながら思いにはせる。


 モグモグモグモグモグモグ


 そして、この巨大な野菜や果物は近くの魔の森にある豊富な魔力の恩恵によってもたらされていた。


 (美味い! もっと大きくなったら、1人で大食いしに行きたいものだ。 ぷはー、食べるのは一旦止めとくか~。 ママ怒らしたら怖いしね)


 さて、クウネルがそんな事を考えてる間にもどんどん挨拶をしに客人達が訪ねてくる。


 他の国からの使者も来ているが、先ずは近所の巨人達だ。


 「「「クウネルちゃん、誕生日おめでとー!」」」


 (皆とっても優しいご近所さん。 この村で唯一の子供が私だけってのも有ると思うけど本当に皆優しくしてくれる。 もちろん、皆筋肉ムキムキの狩人達だ。 まじで筋肉が凄い。 でも、少し鑑定したらじーじやパパママより強い巨人さんは居なかったな)


 仕事として普段から魔物を狩って生活しているが、The略奪者っていう見た目は狩人というよりは戦士の方が近い。


 次は、他国からの客人がクウネルに挨拶に訪れる。


 獣王国からの使者。

 「改めて、おめでとう嬢ちゃん」


 獣人は前世のコミックやゲームでは良く知られている存在だ。 基本的には脳筋で物事を力で解決したがるらしく、獣の耳や尻尾等の特徴を持つ亜人である。   


 (さっきも見た商人さんだね。 っていうか、ケモミミのおじさんって需要あるの?)


 地底王国からの使者。

 「あん? 嬢ちゃん、儂の酒が飲めんのかっ?!」


 ドワーフもコミックやゲームではマイナーな亜人だ。 鍛冶と建築が得意な背の低い髭だらけのお酒が大好きな種族である。


 (飲めるかーい! いやいや、イメージそのまま! 一歳の私の祝いに酒樽持って来てるんだもん。 それに、めちゃくちゃ頑固そう)


 世界樹の都からの使者。

 「ふふ、おめでとうございます」


 エルフもドマイナーで説明は必要無いだろう。 巨人も長寿だが、エルフは更に長生きする種族だ。特徴的なのは、耳が長い事だろう。


 (武器も弓と短剣だから、又もやイメージそのまま! サラサラな金髪が眩しいよ! 後、超美人さんだ)


 鬼人の集落からの使者。

 「肉、狩ってきた、めでたい、食え」


 鬼人は正に鬼という名が相応しい見た目をしている。 肌色は普通だが、二本の角が額から伸び、筋肉も凄まじい。


 (何? 亜人って脳筋が多いの? 着てる服も、魔物か動物かの毛皮だし。 蛮族かな? ちなみに祝いの品は、デッカイ猪みたいな魔物だった。私まだ食べれないよ~! ちくせう。 来てくれた鬼人さんが狩ってきてくれたらしい)


 竜神帝国からの使者。

 「めでたき事よ、祖父の様に強くなれ」


 竜人は人というよりは爬虫類寄りの容姿をしている。


 祖父トールの説明によると、竜と人との間に生まれたのが竜人の始まりだそうだ。表情が分かりにくいのが難点である。


 (じーじによると、特に戦闘力にも優れていて亜人の中でも上位の種族になるそうです。 知らんがな)


 魔王国連合からの使者。

 「はっ! こんな田舎までわざわざ来てやったぞトール殿。 娘よ、この私! 誇り高き魔族が祝ってやろう」


 魔族は山羊みたいな角が頭の両サイドから生えてるのを除けば、普通の人と変わらない見た目をしていた。


 (……めちゃくちゃ偉そう! さっきも、すんげー上から目線で祝われたし! なんか、私は好きになれない種族さね)


 挨拶に訪れた魔族は貴族の様な仕立ての良い服を着ており、文明は他種族よりも高いのが窺える。


 祖父トールの説明によると、他と同じ亜人だが誇り高い魔族が多く差別化を図る為、わざわざ魔族と強調して名乗る事が普通なのだそうだ。 正にプライドの塊である。


 癒しの森からの使者。

 「おめでとー! クウネルちゃんおめでとー!」


 妖精は可愛いフェアリーだ。小人の背中に羽が生え、パタパタとクウネルの周りを翔んでいる。


 (かわいー! そうそう、最初会ったときに見とれてたらさ。 パパに食べないように言われてぶちギレたさ! 私を何だと思ってるの!パパの事は当分無視です、無視)


 エルフと仲が良いのか、クウネルへの挨拶の後は側から離れずに食事をしていた。


 (パタパタと、とっても可愛い。 乙女心くすぐるわ~。 と、こんな感じで今この村は亜人のオンパレードだ。 いやぁ、嬉しいねぇ~)


 勿論、巨人の王国からも使者は来ており。めちゃくちゃ厳つい鎧を纏った巨人が訪れていた。 トール曰く、戦士団長を務めてるらしい。



 クウネルは、祖父と父がその戦士団長と仲よさげに話しているのを見ながら自身のお腹をさすった。


 (やば……お腹減ったな)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ