第50話 スライムは美味
「これは……スライム? 何でも良いや! 食べてから考えよう! まぁぁぁてえぇぇぇっ! 喰わせろー!」
口を開けて走って来るクウネルに気付いたスライム達が、ポヨンポヨンと跳ねて逃げ始めるが反応が遅すぎた。
「ぷる!? ぷるぷる!」
手のひらサイズのスライムを一匹捕まえ、クウネルはそのまま口に放り込む。
「ぷる!? ぴぎゅー!」
口に放り込んだスライムを容赦無く咀嚼した。
「あむっ! あむあむ……ごくんっ! え……何これ。 おいしぃぃぃぃぃ! すんげー美味しい! スライムすんげー美味しい!」
死にかける程の空腹のせいか、初めて食べたスライムは信じられない程に美味であった。 歓喜したクウネルは口の中に広がる味を堪能する。
「スライムの中に、ラムネみたいなのが有ってそれを噛み砕くとプルプルな身体がサイダーみたいにシュワシュワーって弾けて超美味しい! 前世のサイダーより、超美味しい! やばい、美味し過ぎて語彙力が死んでる。 まぁ、そんな事どうでもいい! 今は食べる! あむっ! あむっ! あむっ! あむっ!」
クウネルはそれから空腹が満たされるまで、気配察知に引っ掛かったスライムを根こそぎ食べた。
「ふ~、最高でございました。 中には、シュワシュワな中身をビューって飛ばしてくるスライムも居たんだけど……ドリンクサーバーみたいなもんだよね。 強炭酸のサイダー、ごちそうさまでしたー!」
膨れたお腹を擦りながらクウネルは横になる。
「あー、あの滅茶苦茶な空腹も止んだし。 ようやく一息つけるよ」
食後に直ぐ横になるという怠惰を味わっていると、森からポヨンポヨンと音が聞こえた。
「ぷる、ぷるぷる」
「あ、見逃したスライムが一匹戻ってきた。 知能はそんなに高くないのかね? こんなに美味しいのに、よく自然淘汰されなかったね君。 折角だし、鑑定しときますかー」
大量に居たスライム達を全て食べた後の鑑定に今更感をクウネルは感じたが、念の為に鑑定を使用する。
「鑑定」
ステータス画面
種族 ブルースライム
年齢 0
レベル 1
HP 10/10
FP 0/0
攻撃力 5
防御力 5
知力 1
速力 2
スキル 酸噴射Lv1. 酸耐性Lv1
魔法 無し
戦技 無し
状態異常 無し
あまりの弱さにクウネルは苦笑した。
「あはは、うーん……弱いね、こんなに美味しいのに何で弱いの君。 まぁ、私は嬉しいだけだから良んだけどね~。 一応、スキルも鑑定しとくか」
『酸噴射Lv1 スライム固有スキル 体内の消化液を噴射し 対象を溶かす』
「なるへそねー、あのシュワシュワで美味しい炭酸ジュースは酸だったのか。 私が無事だったのは、暴食が有るから? じゃあ、暴食の邪神のお陰だね! ありがたやーありがたやー!」
姿も知らぬ邪神に祈りを捧げながらも、もう一つのスキルを鑑定していく。
『酸耐性Lv1 酸に対する耐性が上昇する』
「う、うん……自分の酸なのに、耐性が必要なのね。 よし、終わったし食べよう。 あむっ!」
「ぷる?! ぴぎー!」
クウネルは眼の前を無防備にポヨンポヨンするスライムをおもむろに掴み、そのまま口に放り込んだ。
「んぐんぐ、ごくんっ。 まいうー! 食べてよし、飲んでよし! 今後もスライムを見たら美味しく頂くとしよう。 さーて、私のステータスはどうなってるかなー? ステータスオープン!」
ステータス画面
名前 クウ%$#
年齢 2
職業 $%?`>&§
種族 グラトニーベビージャイアント
レベル 54
HP 1630/1630
FP 290/290
攻撃力 1110
防御力 410
知力 185
速力 460
スキル 鑑定Lv2. 暴食. 消化吸収強化. 竜鱗Lv1. 火耐性Lv1. 竜殺しLv1. 魔物食らい. 気配察知Lv2(up). 連携Lv1. 酸耐性LvMax(new)
魔法 火炎Lv1
戦技 叩き割りLv2. 槍突きLv1. 噛み付きLv3
状態異常 無し
加護 暴食の邪神の#§$?&
「……ぶっ!? 何だこれ、色々バグってる。 ん? え!? 巨神の加護無くなってるじゃん! 私何かした? 家族殺されたのにこの仕打ちは酷くない?」
クウネルは地面を苛立ちに任せて殴る。
それなりの衝撃が地面に走ったが、巨神の加護による攻撃力+1000が無いせいか想像よりも威力が低かった。
「くそ~……まぁ、いっか! 無いのもはしょうがないよね。 スライム乱獲したお陰でステータスも上がってるしスキルも手に入ったし良しとしよう!」
クウネルは気持ちを落ち着け、新たに入手したスキルを鑑定した。
『酸耐性LvMax 酸を無効化する』
「う~ん、私デフォルトで酸効いて無かったからな~。 さて、お腹も落ち着いたしどうしよっか」
ステータスの確認も終えたクウネルは立ち上がり、周囲を見渡す。 しかし、森に囲まれているせいで方角すら分からない。 落ちて出来たクレーターへの帰り道も分からず、完全にクウネルは遭難状態だ。
「サバイバルするしか無いよね。 まずは安全に眠れる場所の確保と水と食料の確保だ。 火は口から吹けるから何とかなる……夕方? 空が薄暗くなってきてる。 ん、寝床探すか」
Lvが上がった気配察知で魔物が少ない方向を確認しながらクウネルは、寝床を探すべく木々を掻き分け進み始めた。
◆◇◆
――クウネルが寝床を探し始めた頃、クレーターがある場所では獲物を探す魔物の集団が訪れていた。
「クンクンッ! ……グルルルルル!!」
匂いを嗅ぎ分けた魔物達は、ある方向へと走り始めた。
当然ながら、クウネルの進んだ方向へ。




