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第47話 このウンポ野郎が!

 地竜の上で踊るヒカリに、結界から放出される明かりがチカチカと照らされているのをカズキはげんなりした顔で見ていた。


 (ミカはあれか、結界とコンサートの照明係りしてんのか。 賢者の贅沢な使い方だなおい!)


 「はぁ………で? ウンポは?」


 「えっと、カズキ君とトールさんの戦いの余波に巻き込まれて気絶してる」


 ミカが指差した先では、近付き過ぎて吹き飛んだウンポの姿があった。


 (あぁぁぁぁぁ!! くそ! 決めた、もう全部ウンポが悪い  ウンポの野郎!!)


 「もういい……疲れた。 マヒル達が戻ったら帰ろう」


 「う、うん! お疲れ様カズキ君! ちゃ、ちゃんと見てたよ! 激闘だったね!」


 ミカの優しい言葉にカズキは涙する。


 (ミカは本当に気の使える良い仲間だよ、ちくしょー)


 ◆◇◆


 暫く待っていると、マヒル達が帰還した。 血溜まりの大きな袋をリュウトが担いでいるのを見てカズキは安堵のため息を吐く。


 (無事、魔王になる娘は殺せたのか……本当にマヒル達に任せて良かった)


 ちなみに、どうでも良いことだがヒカリのコンサートは盛況に終わった。 竜人と鬼人の間で熱烈なファンが出来たそうだ。


 ユズキもヒールの代金を入れた大きな袋を嬉しそうに担いでる。


 (本当にコイツら何しに来たの? 絶滅危惧種ヤンキー、アズキと一緒に留守番させとけば良かった! 糞が!)


 「お帰りマヒル、問題無く終わったか?」


 マヒルは笑顔を浮かべたまま、カズキの元に駆け寄る。


 (可愛いなぁ~、もうさっきまでのストレスが全部どっかいくわー)


 「う、うん! もちろんだよー。 先行してた獣人の皆は殺されてたけど、無事に女の子もその両親も倒せたよー」


 普段と違う様子のマヒルにカズキは直ぐに気付いたが、優しい心の持ち主である事を考え傷付いているのだと思い込んだ。


 (身体は大きくても少女を殺したんだ、どんな真っ当な理由が有っても辛かったよな)


 「ありがとう、辛い役目をさせてすまない。 コジロウ、リュウト、ルウもご苦労様。助かったよ」


 (先行してた獣人が死んでたのはどうでもいい、マヒルに怪我が無くて良かった)


 「……ああ」 「き、気にせんとってやー」 「問題無し」


 魔王討伐を果たしたというのに、全く偉ぶらない仲間の態度にカズキは嬉しくなる。


 (あぁ、こっちの仲間は何て頼りになるんだ!)


 「あ、そういえば。 娘の両親の遺体はどうしたんだ? 確実に殺したんだろ?」


 「うん、ルウ君の攻撃魔法で原型が無いぐらいの死体だったから放置してきたの。 ……ダメだったかな?」


 「いや、問題無いよ。 さ、亜人連合軍の指揮官に挨拶して帰るか」


  カズキ達が話してる間にも、亜人達はずっとお祭り騒ぎだ。 大罪人トールを倒せた事に喜ぶ者や、村から略奪をする者も見える。


 何故か戻って来ない巨人戦士団を探しに行く者も居るが、そっちは直ぐに見つかったらしい。 何でも、村人を皆殺しにした後は巨大な岩山の洞窟で略奪をしていたそうだ。


 (呆れたもんだ。 見た目ヴァイキングなだけは有るな、野蛮人共が。 時期が来たら、巨人は皆殺しにしてやる。 奴隷にするにも、脳筋は扱い難いし、女の巨人も需要無いだろう。 皆殺しで決定だな)


 カズキが冷たい瞳で戦利品を運ぶ巨人達を見つめていると、目覚めたウンポが走ってきた。


 「あ、ウンポ殿。 お体は平気ですかな?」


 「こ、ここここ、これは勇者カズキ様! お気遣い感謝致します! ですが、問題有りません! 大罪人トールも魔王の娘も殺せたのです。 これで、また平和が続く事でしょう。 深く感謝申し上げます」


 (ニワトリかお前は)


 「いえいえ、こちらこそ魔王を追った獣人の兵士を救えず申し訳ない。 あ、魔王の首は私が持ち帰りますね」


 カズキの発言を受けて、ウンポが急に取り乱し始める。


 「えぇ!? いや、その、もちろんでございます! トールの首だけで、えぇ、大丈夫です」


 「それは良かった、亜人最強の首が有れば第2王子のウンポ殿でも王位は確定でしょうなぁ? ねぇ、ウンポ殿」


 「ど、どうして……それを」


 (どうして、じゃないんだよ。 創造神様に敬意も信仰も無いんだろ? 自分が王位を獲得し、勇者の俺に尻尾を振って生き延びようとしてんだろ? この屑が! ウンポが! あ、いやウンポは悪口じゃないか)


 「末永く、よろしくお願いしますね。ウンポ殿」


 (いずれ、必ず殺してやるよゴミが)


 カズキの笑顔を見て、ウンポは安堵の表情を浮かべる。


 「も、もちろんです!」


 「では、私達はこれで失礼します。 獣王様によろしくお伝え下さい」


 「は、はい! 援軍ありがとうございました!」


 (ふー、これで今度こそ帰れる)


 「皆、お待たせ。さぁ、帰るか」


 「うん! お疲れ様カズキ君!」 「金貨がこんなにー! 付いて来て良かったー!」 「ミカ、怪我してないか?」 「う、うん。 ありがとうコジロウ君」


 「はぁ、何でわてが生首持って帰らないとあかんねん。 ルウ、これ魔道具の袋にしまってくれへん?」


 「絶対に嫌だ。 只でさえ、ユズキにデカイ鏡突っ込まれたのに」


 「ヒカリたん、コンサート最高でしたぞ!」


 「ありがとう、オタフクくん! 次も応援よろしくねっ! キラッ♡」


 マヒル以外、誰も聞いていなかった事にカズキは頭を抱えた。


 (もう、もう嫌だこのメンバー!! ……ぁぁああああああああああああ!!!!!!)


 こうしてカズキ達の、魔王になる前に殺害する計画は成功した。


 (帰ったら当分休もう。 マヒルと……ゆっくり休もう)

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