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第46話 勇者カズキVSトール

 亜人連合軍とカズキの仲間が戦いの行く末を見守る中、カズキは胸中で絶対の自信が有った。


 (くっくっくっ、確かにサイズは圧倒的に違う。 だがこの世界ではレベルが全て、ステータスが全てなんだよ!! 2年間休み無くレベル上げに勤しんだ俺が負ける訳ないだろが!)


 「ぬぅんっ! 戦斧王斬り!!」


 トールが巨大な両手斧を振り抜く。 もし、相手がカズキで無ければ真っ二つに裂けるかミンチになる事だろう。


 「ふんっ!」


 カズキは危なげなく、迫る斧を両手剣で弾いた。 弾く時の衝撃波が亜人達を襲うがミカの結界があるおかげで被害は無かった。


 「ぐぁっはぁっはぁっ! やはり、勇者は強いのぅ! 儂では、歯が立たんわい!」


 暢気に会話をしながらも、トールの嵐のような攻撃をカズキは難なく受け流していく。 その速度は音速を超え、周囲の家や物が吹き飛ぶ。


 「何を言う、ご老人。 亜人最強なのだろう?  もっと自信を持てよ」


 両手斧と両手剣がぶつかる度に火花が散り、剣戟の音が鳴り響く。


 「圧倒的強者の余裕じゃなぁ、ちなみに儂は亜人最強と名乗った事など無いんじゃがのぅ。 しかし、儂にも時間を稼ぐ理由が有るでな。 もう暫し付き合ってもらうぞっ! 極兜割りっ!!」


 真上から戦技を発動させたトールの両手斧が凄まじい勢いで迫る。


 「これは、受け止めると危険だな」


 カズキが余裕を持って避けると、先程まで居た場所にはクレーターが出来ていた。 常人であれば、避ける事も受ける事も不可能だろう。


 「ぬぅおりゃあぁぁっ!! どうせ、当たっても無傷の癖によく言うわいっ!!」


 「ははっ、自分のステータスも確認出来ないのによく俺との力量の差が分かるな」


 カズキが受けに徹しているおかげで戦いになっているが、もし先に攻撃をしたのがカズキなら勝負は一瞬で付いていた事だろう。


 トールは、それ程までに自身と勇者の強さには開きがある事を悟る。


 「ぐぁっはぁっはぁっ! 伊達に長生きしておらんでなぁ! そりゃ、極戦斧三連激!極戦斧三連激!!」


 トールの両手斧から、巨大な真空の刃が6つ放たれた。


 「なぁ、聞きたいんだが。何で亜人連合軍を皆殺しにしないんだ? あんたなら出来ただろ」


 「ぬぅ……はぁ……はぁ……それは、答える義理は無いのぅ! くそっ、一撃も当てれんとは……む!?」


 トールが魔の森へと、一瞬視線を向けた。 それは、戦闘中では致命的な判断だがトールにとっては重大な理由であった。


 (ん? 何だ? 魔の森で何かあったのか?)


 背の高いトールだから見えたのであって、常人の身長であるカズキには何があったのか知る由も無かった。


 「ぐぁっはぁっはぁっ! これでもう何も思い残す事はないわい! くらぇいっ!」


 カズキが魔の森へ視線を向ける前に、何を血迷ったのかトールが全てを投げ出し倒れてきた。


 (おいおい、俺を押し潰そうってか? 無駄な事ぐらい分かるだろうに……)


 「悪いな、遊びは終いだ。 千里貫き突き!!」


 カズキの戦技の威力は凄まじく、倒れてきていたトールの胴体に大きな穴を空け、更に空の雲まで貫いた。


 「がはぁっ……! ぐぁっはぁっは……これで離縁されずにすんだわい……の」


 トールは笑いながら、安堵した表情で事切れた。


 (ぬぐぐぐ、重てぇなこの野郎!!)


 トールの腹に空いた穴を抜け、カズキは何とか脱出する。


 「ぷはぁ……ふー、やっと死んだか。 図体がデカイだけだったな。 まぁ、お陰で俺の力を誇示するパフォーマンスにはなっただろ」


 (いてて、さすがにこの巨体は凄まじい重さだった。 腰を痛めて無かったら良いが)


 「よし、俺達の勝ちだ!! 勝鬨をあげろー!」


 カズキが亜人と仲間に声を掛けるが返答が無い。


 (ん? 俺が強すぎて声も出せないのか?)


 振り返ると、其処では………地竜の背中をステージにして踊っているヒカリと、それを呆然と見ている亜人連合軍の姿があった。


 「はーい! 皆、聞いてくれてありがとうっ! 次の曲もヒカリが大好きな曲なの! しっかり聞いててねー! キラッ☆」


 (え? 何でコンサートしてんの? 俺の見せ場だよね? っていうか、あの激闘の最中歌ってたの? 全然気付かなかったよ!! 見守ってたんじゃないのかよ!)


 『おー! ヒカリたん可愛いぞー!! さすが我の主人だー!!』


 足のない筋骨隆々な大男が魔法でBGMを担当しながら踊っているのが見え、カズキは頭を抱える。


 (あの禿げ頭に浅黒いガチムチマッチョは精霊王じゃねーか! あんの馬鹿! 喚ぶなつったのに!!)


 「エル! オー! ブイ! イー! ヒカリた、んー!」


 地竜の前ではオタフクが機敏な動きで精霊王の隣で踊っていた。


 (んー! じゃねんだよ! おい、そこのオタク!)


 「はーい、ヒールは一回金貨一枚ね~。 あ、お金無い亜人は宝石でも支払い可能よー」


 呆然としている亜人の兵士達をユズキが壺を持って練り歩き、ヒールした亜人から金品を徴収している。


 (よー。 じゃねんだよ!  何で商売にした?  其処のドS聖女!!)


 「あ、えっと、ごめんなさいカズキ君。止めたんだけど……止まらなかった」


 杖を握りしめるミカを見て、カズキはため息を吐いた。


 「はぁ……うん、いいよ。 もう……いいよ」

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