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第41話 追手は人間

 「エルザ! 不味い、巨人戦士団に追い付かれるぞ!」


 「ロス! クウネルを連れて逃げて! 私が残る!」


 まだ村からはそんなに離れておらず、魔の森に入るのはまだ先だ。 このままだと、森に入る前に追い付かれるだろう。


 「ダメだよ! お母さんやだよ!」


 エルザが時間稼ぎをする為に残ろうとした時、横から村の巨人達が接近していた巨人の戦士達に突撃した。


 「エルザちゃん! クウネルちゃんと逃げな!」


 「族長に頼まれてな、此処は儂等に任せて行けい!」


 村の巨人達は手に持つ武器を振り下ろし、巨人戦士団を足止めする。


 「ぬぅ! お前達も、大罪人の味方をするか! えぇい! さっさと切り捨てろぉっ!」


 「「「おぉうっ!」」」


 先頭に居る戦士団長が怒鳴り、命令すると戦士達が村の巨人達へと襲い掛かった。


 「おじちゃん! おばちゃーん!」


 (戦士団長さん、あんなにお祖父ちゃんやお父さんと仲良しだったのにまるで人が変わったみたいに殺気立ってる! どうして!)


 「クウネルちゃん! 逃げ延びるんだよ!!」


 「がっはっは! 魔戦将軍の配下だった爺さんに、こりゃいい土産話しが出来そうだ」


 「ちげぇねぇ! 元将軍である族長の孫を守ったんだ、儂等もこれで英雄かの?」


 「あんた等何言ってんだい! ほら、来るよ! 気張りな!」


 重装備の巨人達と、武器だけを手にした村の巨人達の戦闘が始まった。 怒号と武器のぶつかる音が響き渡る、この戦いの結末を想像するのは容易い。


 クウネル達が逃げる為の時間を稼ぐだけが目的な事をエルザとロスは察し、歯を食いしばりながら走った。

 

 「お祖父ちゃんと同じ、皆死ぬ気なんだよ! お父さん、お母さん! うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 ロスに担がれたクウネルが、村の方に手を伸ばし絶叫する。


 (私の、私の大切な家族が! 私を大事にしてくれる皆が! 壊れてく、壊されてく。 私が何したの? 何したのさっ!)


 「クウネル落ち着け! 皆の覚悟を無駄にするな! まだだ、暫く走るぞ! クウネル、しっかり掴まってなさい!」


 クウネルはロスの背中に背負われたまま絶叫し、泣きじゃくる。


 クウネルの頭の中はパニック状態だ。 後悔や、疑問や、怒り、憎しみ、悲しみ、色んな感情がクウネルを襲う。だが、そんな状態でもスキルは仕事をした。 気配察知に気付いたクウネルが叫んだ。


 「っ!? お父さん! 後ろから何か来てる!」


 「クウネル、本当か? いや、信じよう! エルザ、スピードを上げるぞ!」


 「はい! 後ろは私が警戒しながら行きます!」


 それから数十分経った頃、必死に走るもまだ追手は振り切れていなかった。


 「はぁ、はぁ、くそっ! 俺にも分かる距離まで詰められたな」


 「もう限界ね。 ロス……クウネルだけでも逃がしましょう」


 (え?! お母さん?! ちょっと、私の意見も聞いてよ!)


 「待って! 待ってよ……お母さん、お父さん! 残ったら絶対に死んじゃうよ! 二人が残るなら、私も残る。 戦うから!」


 「……クウネル。そっか、クウネルは強いもんな。 でもな……聞いて欲しい。 お父さんと、お母さんは死んででもクウネルに生きて欲しいんだ」


 「そうよ……クウネル。 死んでアスカガルドっていう所に行くと分かってても、子供には死んで欲しくない。 親の我が儘なの」


 ロスとエルザは優しく微笑みながら、クウネルを抱きしめた。


 (何で? 何で二人して笑顔でそんな事言うの? いいじゃん! アスカガルドでまた会えるなら、一緒に戦って死にたいよ!!)


 クウネルは顔を顰めて、首を横に振る。


 「約束だクウネル、生きろ」


 「約束よ? 大きくなって、立派な淑女になるのよ? いっぱい、いーっぱい! 美味しい物食べるのよ?」


 「やだよ、やだやだやだやだやだやだ!!」


 気配察知が反応し、既に大勢に周りを囲まれている事がクウネルの頭に警報を鳴らす。


 突如として拍手の音が聞こえ、音の方を見ると複数人の人間らしき者達が歩いて来ていた。 巨人のエルザとロスからすると、小人の様な大きさだがそれでも歴戦の戦士である2人は動けない程の威圧感に襲われ膝を付く。


 「あ~、僕泣いちゃったよ~! ん、感動しました! ふふっ」


 森から姿を表したのは人間達は、最悪な事にクウネルの前世でクラスメイトだった奴等だ。


 (……どうして此処にコイツらが)


 「いや~、巨人って本当に大きいですね。 特に、そちらのお父さんなんて……そそられちゃいます」


 (女……? いや、男? そういえば女の子みたいな男子が居たな。 男の娘ってやつか。 武器は無し……装備は踊り子? 何で?)


 突如現れた元クラスメイトの姿に、クウネルの頭は一気に冷静になった。 今、取り乱せば死ぬと本能が叫ぶ。


 「ちょっと、マヒル。 遊びに来たわけでも、男漁りに来た訳じゃない。 さっさと始末をつけよう、僕は早く帰って魔法の研究がしたい」


 杖に乗って空中を浮いて魔法使いが冷たくクウネル達を見据える。


 「あひゃひゃひゃ! 化け物が、人の真似事かいな? わては、笑いが止まりまへんで」


 エセ関西弁の男が笑う。 武器は手に持っていないが、恐らく鬼人と同じく格闘術を使うだろうと動き安さ重視の軽装備の見た目で判断出来た。


 「マヒル、ルウ、リュウト其処までだ、俺達の使命を果たすぞ」


 鎧武者の格好をした男が、腰に差した日本刀らしき武器に手を掛ける。


 「ちぇっ、相変わらすコジロウは色々堅いなぁ。 さぁて、黒髪の子が魔王さんかな? 初めてまして……だね?」


 マヒルがクウネルを見上げる。


 その瞬間に、エルザとロスを襲っている威圧感がクウネルを襲った。


 (あー、最悪だよ。 最悪、最悪最悪最悪、本当に最悪。 巨人の私からしたら、小さな存在の筈なのに。 その身体から出てる殺気や、気配はお祖父ちゃんよりも強大だ。 4人全員が、確実に私より強いのが気配で分かっちゃう。 嫌な予感しかしないけど……鑑定!)


 ステータス画面


 エラー、エラー、対象のステータスが鑑定使用者より大幅に差が有る為、表示する事が出来ません。


 (……だよね。 くそ!)

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