第32話 火吹きと巨神
ロスとエルザが、2日前に狩った親飛竜の死骸を引きずりトールに先導をさせながら家を出て行った。
鬼気迫る顔だったので、アレを見た巨神は直ぐに祝福するだろう。
(いってらー。 あー、怖かった。 え? 怒りすぎじゃない? お父さんはまだしも、お母さんも? あれか、何処ぞの馬の骨に娘はやらん! ってやつか。 こりゃ、将来お父さんとお母さんがアスカガルドに行ったら血の雨が降るぞー。 ルート君とお義父さんファイトー!)
クウネルは心の中で、義父になるかも知れないドガルとイケメン巨人ルートにエールを送った。
そして、食事の続きをするのであった。
「ま、いっか。 私はドラゴンステーキを食べるのです! モグモグモグモグ、ゴクンッ、ケプッ! ボォォアッ!」
クウネルがゲップをすると、突然口から炎が吹き出る。
(あ、しつれ……ええええ?! 今、口から火が出たんですけど?! なして? あれか? ドラゴンステーキのせいか? 私死ぬの? え、生還したばっかりよ? 待て待て落ち着け、今は家に1人だ。 とりあえずステーキを確認……いやステーキじゃない、ステータスだ! 落ち着け私!)
「ステータスオープン」
ステータス画面
名前 クウネル
年齢 1
職業 戦士見習い
種族 グラトニーベビージャイアント
レベル 6
HP 750/750
FP 170/170
攻撃力 660+1000
防御力 110
知力 65
速力 150
スキル 鑑定Lv2. 暴食(解放). 消化吸収強化(解放). 竜鱗Lv1(new). 火耐性Lv1(new). 竜殺しLv1(new). 魔物食らい(new)
魔法 火炎Lv1(new)
戦技 叩き割りLv2(up). 槍突きLv1. 噛み付きLv1(new)
状態異常 混乱
加護 暴食の邪神の寵愛(解放).巨神の愛し子
「んん? ……えぇ?」
クウネルは自身の目をこすりステータス画面をもう一度注視する。
(待って、状態異常になるぐらい混乱してる。 どゆこと? あ~、さっきの口から火が出たのは魔法の火炎が出ちゃったのね。 なるへそ、なっとくだわ~……って納得できるかぁーい!
「あ……ケプッ! ボォォアッ! あっっっちぃ! 火耐性仕事しろーい!」
◆◇◆
――――クウネルが口から火を吹いてる頃、アスカガルドにて。
『バザムー! 聞いて聞いてー!』
青白い巨大な巨神が立ち上がり空を覆う、その様は中々に壮観だ。
「はいはい、なんだい巨神様。えらく嬉しそうだね」
クウネルの祖母にして、このアスカガルドの巨人代表をしているバザムが呆れたように返事をした。
『新しく僕に祈ってくれた巨人がいるのさ! 2人も! クウネルの両親なんだけどねー! クウネルが僕達の事話してくれたみたいなんだー!』
(この巨神様とは、何年……いや何百年の付き合いかね。 全然変わらないねぇ、神らしくキリッとしてろっていつも言ってるのに聞きゃしない)
バザムは内心で悪態をつきながらも、嬉しそうな巨神を見て笑う。
「そりゃ、良かったじゃないか。さすが、私の孫さね」
『うん! そうなんだよ~。でもね、えらく鬼気迫った表情で祈ってくるのさ。 祈りも感謝というより、嫉妬や殺意の感情が強かったかな?』
(んん? まだ会った事の無い、娘と息子はいったいどうしたんだい?)
「まぁ、いいじゃないか。 信仰してくれる巨人が2人も増えたんだからね。 私の息子と娘だよ? もちろん、祝福はしてくれたんだろね?」
『わ、わかってるよ、バザムには恩が沢山有るからね。クウネルも、僕の可愛い愛し子だし。 でも、流石に今回だけだよ?』
「はっはっはっ! それでいいさ、でも巨神様の事だ。 新しくまた信者が増えたら直ぐに祝福しそうだけどね」
『む! 僕だって、流石に其処まではしないさ!』
バザムは全く信用していない顔で見ていたが、将来家族に会える事が嬉しくなり微笑んだ。
「これで、何時かは息子や娘にも会えるさね。 死んでから、ずっと家族とは無縁だったけど楽しくなりそうだねぇ。 これも、孫のクウネルのおかげさね。 はっはっはっ!」
――――そして後日、本当に祝福を受けて驚いたクウネルの両親から話を聞いた村の巨人達が祭壇に集まり、一気に信者が増えた喜びで巨神が村人全員に祝福を授けたのは言うまでもないだろう。




