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第21話 初めての戦闘と母の悲鳴

 クウネルは巣で待つ小型の飛竜を見て、何故直ぐに食われなかったのかを悟った。


 (あー、なるへそね。 お子さんへのご飯として私をこんな遠くまで運んだのね。 ご苦労様です)


 巣近くまでクウネルを運んだ飛竜は、掴む足を離し子供への生き餌を落とす。


 「うわ~、いて!」


 「クルル……ガアッ!」


 目の前に落ちてきた生き餌に反応する小型の飛竜はご飯の時間だと喜びの尻尾を地面に叩きつけている。


 そしてクウネルを雑に巣に落とした飛竜は、役目は終えたとばかりに見向きもせずに何処かへ飛び立っていく。


 クウネルだけでは足りないのか、恐らく他の餌を探しに行った様だ。 生き餌を与えるのは、狩りの練習も兼ねているのだろう


 エルザの槍で太もも貫かれて血が止め処なく流れているのに、直ぐに狩りに行く飛竜にクウネルは親の偉大さを思い知る。


 (ママも血だらけなのに守ろうとしてくれたもんね。 ママ無事だと良いなー、じーじやパパが居るから大丈夫かな。 あの、万能な薬草も有るし。 よーし、将来ママみたいな親に私はなるぞ! まだ相手すら居ないんだけどね! っと、馬鹿な事考えずにぼちぼちやりますか)


 小型の飛竜と向き合い、クウネルは先手として鑑定をする。


 「鑑定!」


 ステータス画面


 種族 フォレスト ベビー ワイバーン

 年齢 3

 レベル 5

 HP 398/400

 FP 150/150

 攻撃力 500

 防御力 90

 知力 50

 速力 100

 スキル  竜鱗Lv1. 飛行Lv1. 火耐性Lv1. 魔物食らい

 魔法  火炎Lv1

 戦技  爪引っ掻きLv1. 噛み付きLv1. 尻尾回転撃Lv1

 状態異常  幼体 飢餓


 親の飛竜よりは、まだ勝てる望みが有る事にクウネルは安堵する。


 (状態異常の飢餓が私とそっくり、友達になれるかな? 無理ですか、そうですか)


 これから戦闘だというのに、クウネルのお腹も音を鳴らし飢餓を訴え始める。


 (あー、緊張で感じて無かった空腹が帰ってきた。 朝御飯も食べてないからな~)


 お腹を擦りながら、辺りを見回すと巣の中には魔物の骨が山積みだった。


 しかも、中には人間の物と思える小さな頭蓋骨もある。


 「ぎゃあっ! えーんがちょっ!」


 小型の飛竜は上手くて弱そうな餌が届いたと思ったのか、油断しているのが分かった。


 そんなチャンスを逃す筈もなく。 クウネルは、なるべく先端が重そうな骨を掴み小型の飛竜に向かって駆け出した。


 「絶対に生き延びてやる! そして、お前を殺して食う!!! ドラゴンステーキだぁぁっ!!」


 骨を思いっきり振りかぶり、子飛竜の頭にぶち当てる。


 (攻撃力は私の方が上回ってる! 先手必勝だ! くらぇぇぇぇぇ!!!)


 「おりゃあぁぁぁ!!叩き割りぃぃっ!!」


 「クルル!? ガァッ!」


 突如として、弱そうな餌に攻撃され子飛竜は直ぐに反応出来ずに直撃し悲鳴を上げる。 確かな手応えにクウネルは喜んだが、直ぐに子飛竜死んでない事に気付き後ろへと離れた。


 (よっしゃ!!  手応え有り! あれ?!  ピンピンしてる、くそっ!  竜鱗のお陰か!!)


 不意を突いての一撃だからこその直撃だが、子飛竜とは速力が倍も違う。 次は当てれるかは分からなかった。


 (もし、油断すればあの大きな口で噛み付かれTHE ENDだ。 負けない、諦めない、最後まで戦ってやる!)


 こうして、クウネルの初めての戦闘は本格的にスタートした。


 「クルルルルルルル!!! ガァァアアアア!」


 頭を殴られた子飛竜の怒りの咆哮が、森に木霊する。


 ◆◇◆


 ――――時は少し戻り、クウネルが飛竜に連れ去られた後。


 「ぬぅぅぅぅ!!  よくも、儂の大切な孫を!!」


 儂とした事が抜かったわぃ! まさか、あの大猪の群れは飛竜が仕掛けた囮じゃったか!!


 やはり、あのはぐれ飛竜は直ぐに狩っておくべきじゃった!


 「ロス!  エルザ!  直ぐにあの飛竜を追うぞ!」


 「親父!  エルザの傷が酷い、治療してから直ぐに追い掛けるから先に行ってくれっ!」


 息子のロスにそう言われ、義娘のエルザを見るとかなりの重傷のようだ。


 朝から夫婦喧嘩の原因になっていた鎧を着ていて本当に良かった。


 もし、普段の私服であの飛竜の攻撃を受けていたら即死だっただろう。


 一番驚くべきは、その重傷を負った身体でクウネルを取り返そうと動けた事だ。


 さすが、巨人の戦士で有り、母親じゃ。

 儂の死んだ妻を思い出すわい!


 「エルザ、儂は直ぐにクウネルを助けに向かう。 お主はどうする?」


 「かはっ、お義父さん、私を肩に担いで下さい。 薬草で治療しながらでも、付いて行きます!!  娘が……クウネルが!」


 「エルザ!  無茶だ!  クウネルは俺と親父に任せて村で待て!」


 「嫌よ!  あの娘に何か有れば……私は死ぬ事よりも、あの娘を失う事の方が恐ろしいの!」


 「……分かった。 親父、エルザを頼む。 エルザの武器は俺が持つよ。 必ずクウネルを助けよう」


 「よっし!  村の皆は、魔の森から出た大猪の群れの駆除を頼む!! 儂らはクウネルを救いに魔の森奥地へと向かう!!」


「「「「おうっ!  任せな族長!!」」」」


 村人達に指示を出し、エルザを担いで飛竜が去った方角へと全速力で走リ出す。


 「ロス、離れるなよ!  エルザ、しっかり掴まっておれ!  行くぞ!」


 「おうっ!」 「はいっ!」


 暫く飛び去った方角を頼りに進むも、未だに飛竜の存在は確認出来なかった。 気持ちばかりが焦り、苛立ってしまう。


 「ぬぅ!  見えぬかぁっ!」


 平原なら全力でスピードが出せるが、足元は森の木々だらけ。 その為に森の木々を蹴り、踏みながらの行進で思うように進めずに更に苛立ちが積もる。


 「親父! 正面から魔物が向かって来てる!」


 ロスの言う方角は、飛竜の向かった先の筈。 何故このタイミングに魔物が集まる?


 「お義父さん! あの飛竜の血が木々に垂れてるのが見えます、方角はあってるわ。 血の匂いに魔物が釣られてるのよ」


 そうか、エルザの槍が確か飛竜の足を貫いておったの。 しかし、急ぎたい今に魔物が集まっておるのは厄介じゃな。


 「相手をしている暇は無い!  突っ切るぞ!」


 ようやく動ける様にまで回復したエルザが肩から飛び降り、ロスと共に武器を構えながら追従する。


 儂も長年愛用しているバトルアックスをしっかりと握り締め、向かってくる魔物目掛けて突撃した。


 「前方、魔物の群れ!  数30!」


 「くそっ!立ち止まったら、動けなくなるぞ!」


 「2人共に儂の後ろに!  ぬぅぅん!  戦斧王斬りっ!!!」


 儂が放った技は広範囲に真空の刃を飛ばし、迫る森狼の群れを斬り刻んだむ。


 「雑魚共等、これで十分じゃわいっ!」


 「「「「「「「キャインッ!?」」」」」」」


 「さすがだぜ! 親父!」


 「急ぎましょう! 直ぐに別の魔物が来ます!」


 そして、何度か魔物と接敵しながらも止まらず走ること数時間。 ようやく、飛竜の巣が見えた。


 「えぇいっ!  やはり、子竜の狩りの練習の為にクウネルを拐ったか!  クウネル、無事でおってくれよ!」


 祈るように巣に近づく、すると近くの森から生体の飛竜が現れた。 巣に近付く敵を殺しそうと空から突っ込んで来た。


 「クルルルルルルルッ! ガァアアアアアッ!」


 「太ももに傷、しかし既に出血は無しか。 間違い無い、クウネルを拐った奴じゃ! 絶対に殺してやるわいのぅ!! ロス!  エルザ!  2人はクウネルを!  コイツは儂が仕留める!」


 「分かった!」「お願いします!」


 2人が巣に向かうのを確認した後、飛竜に武器を向ける。


 「この飛竜めが!  巨人の戦士トール、押して参る!  ぬぅおりゃあぁぁぁ!!」


 トールと生体の飛竜が激突した頃、ロスとエルザは絶望していた。


 2人が巣に着いた時には、小型の飛竜がクウネルの肩からお腹に掛けて大きな口で噛み付いていたのだ。


 子飛竜の足下に流れる大量の血。


 それを流しているのは、最後まで抵抗したのか飛竜にしがみついたままぐったりしてる最愛の娘だった。


 「クウネル!」 「クウネル!?  クウネルッ!  そんな!  嘘、嘘よ!  いやぁぁぁぁぁぁぁ!」


 母エルザの悲鳴が森に虚しく響いた。

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