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第14話 転生の告白と昔話の始まり

 トールがクウネルに魔王の生まれ変わりかと訪ね、クウネルは意味が分からず混乱していた。


 (じーじが遂にボケた! 私を魔王の生まれ変わりとか聞いてきた。 アレか、老いにはじーじも勝てないってやつか!)


 「じーじ? ……誰の事? 私は…クウネルだよ」


(っていうか、名付け親はじーじです)


 クウネルの言葉に我に返ったトールは眉間の皺を解しながら、俯く。


 「……はっ! そうじゃよな、そうじゃ、クウネルじゃ。儂は何を馬鹿な事を……すまん」


 トールはその場で項垂れてしまい動かない。


 (えー? 今度は凄く落ち込み始めたんですけど……どしたの)


 「大丈夫……? じーじ」


 暫く、嫌な沈黙が流れた。


 「のう、クウネル」


 聞いた事も無い低い声のトールに、クウネルは身構える。


 「何……?」


 「……さっきの『ステータスオープン』という言葉を知り、それを唱える事で自分の情報を知る事が出来る……。 そんな事が可能なのは……異世界人だけなんじゃよ」


 直後、この場の空気がピリピリし始めたのがクウネルでも分かった。


 「……え?」


 トールの目には孫に向けるべきでは無い程の殺気が込められている。


 (ちょっと待ってよ、あの自称創造神の糞爺! こういう大事な事は言っとけよ!! ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!)


 クウネルの頭の中はパニックだ。


 「異世界から来たあのお方に頼まれ、皆で唱えた事が有るんじゃよ。しかし、誰も自分の情報を…知る事は出来なんだ。 出来たのはあのお方と、亜人を大勢殺した憎き異世界人達だけじゃった……」


 ゆっくりとトールは立ち上がり、腰に差した短剣に手を掛ける。


 (どうする、誤魔化す?  どうやって? 私どうなるの?  追放? もう、パパやママや皆と一緒に居られないの? じーじに……殺されるの?)


 「あの御方と同じ黒髪、教えられていないのに直ぐに言語を操る知性、あの御方と憎き異世界人達しか使えないステータスオープンを使える……。

 のう……クウネルよ、お主は一体……何じゃ? 創造神オリジンから送られた刺客なのか?」


 トールから、本気の殺気が膨れる。


 同時にそれ以上の、深い、とても深い悲しみも。


 クウネルが答えた内容次第で……本当にクウネルを殺すつもりなのだ。


 (凄く辛い、凄く怖い。 どうする、どうする? いや、もう正直に言うしかないでしょ。 それでもし、ダメなら……諦めよう)


 クウネルはカタカタと震える手を握り締め、口を開いた。


 「じーじ……聞いてくれる?」


 トールの身体が少し強張る、トールもこんな状況になってしまった事に恐怖していた。 返答次第では、大切な孫を亜人達の為に殺さねばならぬからだ。


 「……もちろんじゃ」


 クウネルはトールにいつもの笑顔が無いのを、凄く寂しく感じる。


 生唾を飲み込み、クウネルは何故この世界に来たか話し始めた。


 「私はね………


 ◆◇◆


 ―――――クウネルは、ざっくり話し終えた。


 どうしてこの世界に来たか。→前世で死んだら喚ばれた。


 何故巨人として産まれたのか。→大きいは素晴らしい。


 創造神に何か命じられたのか。→何も。


 この世界でどうしたいのか。→たくさん美味しいの食べたい。


 創造神オリジンをどう思う。→胡散臭い糞爺。


 他に喚ばれた者はおるのか。→親しく無いけど一応知ってる人達が10人程。 何かの使命を受けて魔方陣に消えて行った。


 話し終えた後は暫く険しい顔だったが、幾らかは納得したのかいつも通りの笑顔で笑う。


 それを見て、クウネルは安堵し笑顔になる。


 (心底、ホッとしたよーー!!! 良かったー! 身内に殺気向けられる怖さは、本当に怖いし嫌いだ)


 「ぐあっはぁっは! にしても、大きく成りたいから人間から巨人になったじゃと?!  ぐあっはぁっは!  ぐあっはぁっは!  何とも、クウネルらしいわい!」


 トールはいつもよりも大げさに笑う。 


 それはきっと、大切な孫を手に掛ける必要が無くなった安堵からなのかもしれない。


 「ん。 だから、私はパパとママの娘で。 じーじの孫……だよ?」


 クウネルにとって、前世の祖父との思い出も大切だが、今の家族との関係が一番大切なのは変わらないのだ。


 この世界に産まれて1年と少し、クウネルにとって両親と祖父は居なくてはならない存在になっていた。


 「うむ、うむ。そうじゃな、クウネルは儂の大切な孫じゃ。すまんかった、すまんかったのう」


 トールは少し涙を流しながらクウネルに謝る。


 「んーん。私も、すぐ言えなくてごめんなさい」


 「普通は言えんわいの、魔王様も本当に側近の者にしか伝えておらんかったからな」


 涙を拭いたトールはクウネルに笑顔を向ける。


 (えへへ……じーじが笑ってくれるの嬉しいなぁ。 でもそっか~、なるへそねー、その魔王様も私と同郷何だね~やっぱり日本人なのだろうか)


 「魔王様の話し、聞いても良い?」


 (ここまで話したら、逆にその魔王様とやらの話が聞きたくなったよ)


 クウネルの問にトールは優しく答える。


 「もちろんじゃ、本来なら今回の歴史の勉強で教える予定じゃったからな。異世界出身の事は伏せてじゃが」


 (あ~、そういえば今日は歴史の勉強の予定でしたね。 色々有りすぎて忘れてたよ)


 「さてさて、では……ちと長くなるかもしれんが歴史の勉強を始めるとしようかの」


 差し出されたトールの手に乗り、クウネルは祖父の肩に座った。


 (まだ少し気まずいし、長くてちょうどいいかもね)

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