第106話 クウネルVS地竜王神
「ゴァァァアアアッ!! いくぞぉ! 奇妙な生き物の雌よぉぉぉ!」
地竜王神は咆哮を終えた後、直ぐに右手を持ち上げクウネルに向かって振り下ろす。
遅い攻撃だが、当たればクウネルでも瀕死になる程の巨大な手が落ちてきた。
「でっけーお手てでしゅねー! おっそいんじゃぼけぇぇぇぇ!」
鈍間な攻撃を華麗に避けたクウネルは、すかさず地竜王神の手を全力で殴打する。
「おりゃぁぁぁぁ!!」
――ぺちん。
情けない音と共に、クウネルは何のダメージも与えられていない事を痛感した。
「ですよねー。 この体格差ですもんね~!! 助けてHey 鑑定エモーン!!」
«――了解。 検索中です――解答。 クウネル、貴方の攻撃は絶対に効きません。 効果有りの可能性がある攻撃は暴食の大口のみです。 しかし、その攻撃で仕留めれなければクウネルが死亡する確率は100%です»
「お、おぉ……え? 詰んでません?」
容赦なく地竜王神の手が落ちてくるのを、危なげなく避けながら鑑定に耳を傾ける。
«――提案。 なので、地竜王神が歩いて来た森へ移動して下さい。 其処に生えている筈です»
鑑定の提案に、クウネルは直ぐに感付き走り出した。
「ひえぇぇぇぇ! 了解! アレだね! 確かにアレなら効果有るかも!」
地竜王神の直ぐ横を走り抜け、荒れた森へと一目散に走る。
「はーはっはっはっ! 賢明な判断だな、奇妙な生き物の雌よ! しかし、悪いが逃がす訳にはいかんでなぁ! ゴァァァアアアッ!」
森へと走り出したクウネルの真横を大岩が掠めた。
「ぎゃあぁぁ?! また岩石吐き始めたな、あのデカブツめ!」
距離がまだ近いからか、正確無比な大岩をクウネルはギリギリで避け続ける。 そして、距離が離れると大岩が止んだ。
「お? 止んだ? 当たらないから諦めた? でも、後ろを振り向くのは止めとくー!」
クウネルは、やけに森が遠く感じていた。 背後に居る地竜王神の気配が巨大過ぎて変な錯覚でも起こしているのかと疑ってしまう程だ。
そして、ようやく森へと辿り着いた直後に脳内に鑑定の警告が響いた。
«クウネル! ――避けて!»
「へ? ぎゃぁあっー?! いっっっったぁぁぁい!」
何かがクウネルの左肩を貫いた。 モロから貰った服に穴が空き、クウネルの血がボタボタと垂れる。
「いったぁ……! 鑑定さん、何が起きたの?」
痛みに呻きながらも、クウネルはその場をとにかく移動した。
«――注意。 恐らく、水魔法を圧縮して放ってきたようです。 速度はかなり早――まだきます!»
地竜王神の方を見ると、大きな口から放たれた細長い水がレーザーの様に高速で射出され飛んで来た。
「うぉぉぉぉ?! いっった! 動くと目茶苦茶痛いやん! こんな短い間隔で水のレーザーが飛んでくるとか、冗談じゃないぞ!」
連続で射出される水のレーザーをクウネルは間一髪で避ける。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ! 鑑定さん、場所分かる? 生えてる場所! ひえぇぇぇぇ、またきた!」
«――検索。 今向いている方向へダッシュ»
「OK! 信じるよ相棒!」
鑑定に指示された方向へ走ると、直ぐに目的の物が見えてきた。
「あった! あったよ!! マンドラゴラ!!! よし、よし! えっと……どうやって即死の悲鳴をアイツに聞かせたらいいんだ?」
振り返ると、まだ地竜王神は顔だけをクウネルに向けて身体は旋回しきれてない。
「つまり? マンドラゴラの悲鳴を聞かせるには……あっちが私の所に来る迄、この攻撃を避け続けたら良いのか! うん、むっっっり! むぅぅっっっり! 無理だよー! 無理だよ鑑定さぁぁぁん!」
今にも泣き出しそうなクウネルを、鑑定は宥め提案する。
«――落ち着いてクウネル。 土魔法でマンドラゴラを固めて運び、地竜王神の顔に投合すれば可能性は有ります»
「また来たぁぁぁ! ひょぇぇ! あっぶねぇぇぇ! ギリギリセーフ! え? ちょっと待って?! 鑑定さん、因みにソレが成功する可能性ってどれぐらい?」
«――聞かない方が良いかと»
「いいから! 教えて!」
«――5%です»
「わーお……」
絶望的な数字に、クウネルは寧ろ嗤った。
「面白いね……やってやろうじゃん!」




