第97話 愛が重い
「もうお母さんからメールきたの? 早くね? ついさっきだよね、メールきて返信したの」
クウネルは鑑定からの報告にげんなりしていた。
「メールってそんな感じだっけ? スパン短くね? 怖い、怖い怖い。 もしかして、お母さんって言うのは良いけど言われるのは嫌なタイプ? 激おこぷんぷん丸メールとかじゃないよね?」
もたつくクウネルに苛立ったのか、急かすように鑑定の声が脳内に響いた。
«――疑。 表示しマすカ?»
「あ、うん、怖いけど……お願い」
クウネルの目の前に、再度半透明のパネルが表示されると同時に凄まじい量の文章が目に飛び込んで来た。
『やーーーーん! クウネルちゃん、またお母さんって呼んでくれたの?! お母さん超超超超超超超超超超超超嬉しぃぃぃいいい! ちゃんとしっかり、じっくり火を通して食べるね♡ クウネルちゃんの愛の様にこんがりと真っ黒になるまで!♡ あぁ、嬉しいなぁ、お母さん嬉しいなぁぁぁぁぁ! 尊い! 尊いの分かりみが深い! またすぐにいつでもメールしてね、お母さん待ってるからずっとずっと待ってるからずっとずっと見てるからね。 ずっとずっと 「鑑定さんストップ! お母さんをブロックしといて! 今すぐに!」
全身に鳥肌を立てたクウネルはパネルから目を逸らし、距離を取った。 そして、すかさずに着信拒否を鑑定に指示する。
「こっわ! 滅茶苦茶怖い! 怖い怖い怖い! そして、おっっっもいよ! ビジネス親子じゃないの!? 愛がおっっっもいよ! こんがり真っ黒になるまで焼いたら、それはもう只の炭だからね?!」
«――呆。 了――申請――却下。 残念でスが、受理さレまセンデしタ»
残念ながらクウネルの望みは叶わず、着信拒否が受理されることは無かったようだ。
「なんでぇぇぇぇぇ!? 待って、何で? 何でよ鑑定さーん!」
«――沈。鑑定のLvガ不足してイル為、お答エ出来マせン»
「またそれデスカ、そうデスカ」
«――残。 表示ヲ再開しマす»
「ううぅ……観念して見るか」
――ずっとクウネルちゃんを見てきたの。 見てる事しか出来なかったの。 だから、これからは沢山話しましょうね。 まだ直接は会えないけど、クウネルちゃんがもっともっと食べて強くなれば会えるから。 ファイト☆ お母さんより♡』――以上デす»
「あれ……何か思ってたより普通。 ……普通か? でも、ずっと私を見てたって……それは前世からって事だよね? だって、この空腹との付き合いは前世からだし」
クウネルは暴食の邪神からの返信を最後まで読み、優しく微笑む……訳が無かった。
「そっか……ずっと見てくれてたのか。 ちょっとだけ……嬉しい……訳あるかぁぁぁぁあ!! ストーカーじゃん! 暴食の邪神さんストーカーじゃん! 軽い気持ちでお母さんって言うんじゃ無かったー! 失敗したー! でももう、後には引けないよねー?!」
頭を抱えて悶絶するクウネルに、無慈悲な声が脳内に響く。
«――返。 また返信ヲしマすか?»
「あー……うん、今は良いかな。 ほら、忙しいかも知れないし。 ……きっとご多忙だよ」
«――疑。――了、でハ旅ヲ再開しマしょウ»
「うん! そうしよう! 後、たまには言わないといけないと思うから言うね。 鑑定さん、言葉が所々片言で聞き取りにくいよ! 何とかならないの?」
«――沈。鑑定のLvガ不足してイル為、お答エ出来マせン»
「へいへい、Lvを上げろって事ですね」
気を取り直したクウネルは立ち上がり、地竜が荒らして出来た道を辿り歩きだすのであった。
「地竜が此方から来たって事は……モロ達大丈夫だよね?」
◆◇◆
地竜により荒らされた道を進む事数時間、遂に巨木の森を抜ける事が出来た。
巨木の森を抜けた先は広大な草原だ。
広大な草原が見渡す限り広がっていた。
巨人のクウネルが目視で確認するだけでも、はるか先まで草原や巨木よりも低い木々の小さな森が点々としているのが見える。
「ふぉー! すげーー!! 滅茶苦茶綺麗やーん! ずっと森だったからね、気分も何だか良いぞー! スーハー! スーハー!」
深呼吸し、草原の香りを楽しんでいると腹の虫が鳴き始めた。
グギュルルルー
「おっと、またお腹が空いてきたぁ……気配察知に反応は~、ある! お肉かな? ひゃっはぁー!」
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