表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

マーニャとジョセフ

「あぁ、マーニャ……。やっと、会えた……。


 どうか、君は、無事で……」




 ※ ※ ※ ※




―― 1939年 ドイツ ――




「……セフ!ジョセフったら!」


「……んっ?」



(まぶた)を開けると、高く青い空が広がっていた。


僕の真ん前には、見慣れた、幼馴染(おさななじ)みの顔。


「……マーニャ」


「居眠りしてる場合じゃないわよ。


 ほら、礼拝に遅れるわよ?」


「分かったよ」


マーニャに手を引かれて、僕は立ち上がった。


どうやら、春の陽気に当てられて、木の下で、ウトウトと眠ってしまったらしい。


「牧師様が、待ってるわよ」



「……天に()します、我()の父よ。御名(みな)が、(あが)められます様に……」


「牧師様!」


「おや、マーニャに、ジョセフ。いらっしゃい」


村外れの教会では、クルト牧師が、父なる神様に、祈りを(ささ)げている所だった。


「遅くなりました」


「いいえ、今、始まったばかりですよ。


 一緒に、お祈りをしましょう」


「はい!」


()は、急いで、席に着いた。


「天に坐します、我等の父よ。


 御名が、崇められます様に。御国(みくに)が、来ます様に……」


「……アーメン」


「アーメン」


「さて、今日のお祈りは、ここ迄です」


「牧師様、これは?」


教会の片隅には、カンバスに立て掛けた、描き掛けの絵が置いてある。


「あぁ、私が描いたんだよ」


「相変わらず、お上手ですね」


「ははっ、下手の横好きだけどね」


クルト牧師は、そう言って笑った。


「ねぇ、戦争が近付いてるって、本当なの?」


「あぁ……」


明るかった牧師様の顔色が、急に(くも)った。


「最近は、どうも、キナ臭くなって来た様だ」


「やだ、怖いわ」


「本当に……お偉いさん方は、民衆の事など考えずに、自分達の都合で、戦争を始めてしまう。


 巻き込まれるのは、いつも、立場の弱い者達だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ