Ep.2 腐れ縁と因縁(まとい視点)
この扉を開ければそこに愛しの紅様がいらっしゃるのね…。
ここは一思いに―。
「紅様、いらっしゃいますの?ワタクシ我慢できずに来てしまいまし……た…わ…?」
「間が悪いですね、見ての通り取り込み中です。」
「……。」
扉を開けたら紅様が驚きつつも笑顔で迎えてくださると思ってましたのに、
そこには震えるニンゲンを庇うように抱き締め、
鋭い眼光でこちらを睨みつける紅様の姿がありましたの。
あれ、というか、よ、よく見たら は、はだ、裸ではありませんこと?!
「何をされているのですか!不埒な!」
「何、と言われれば愛し合ってる最中ですが。」
愛し合ってる最中!?なんと不貞な事を!
「ワタクシというものがありながら、どういうことですの!」
「何の話ですか?私は公私共にお嬢のものです。」
……え?紅様は一体何を仰っているの?
「悪いけど俺の愛が注がれるのは莉緒だけだ。今日のところは帰ってくれるか?」
―っ!この泥棒猫が紅様を惑わしたのね!
それにワタクシが来て差しあげたというのに敬うような態度も見せないだなんて!
「ワタクシに対してその態度、無礼だわ!どういうおつもり?」
「邪魔だって言ってんだよ。莉緒が不安がってるだろ。」
このワタクシを差し置いて泥棒猫を庇うだなんて、一体どうしてくれようかしら!!
「……覚えていることね。このワタクシを虚仮にしてタダじゃおかないわ。」
「どうぞ、ご勝手にしてください。お帰りの際は鍵は閉めていただけますようお願い申し上げます。」
「……ふん!」
紅様の態度も気に入りませんわ!もう帰りましょう。
このままでは埒があかないですし。