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Destino Finale  作者: 或祀 瀷&紅 凛刳
2/7

Ep.1 独り善がりのnoblesse oblige


「紅様ったら今どこにいるのかしら?」


深窓の令嬢然とした雰囲気を醸し出すこの女性は『黒霧まとい』。

魔界になる B&F という企業の社長令嬢である。

B&Fは近年目を見張るような成長を遂げている企業だが、社長の薄暗い噂話も囁かれている。


また、彼女の家系は吸血鬼の原点、純血種であり一人娘ということもあって蝶よ花よと育てられ、

そんな教育が起因しているのか彼女は非常にわがままな箱入り娘として成長していた。


「まといお嬢様、紅様とはどういったお方なのでしょうか?」


最近配属された侍女がまといの給仕をしながら問いかけると、まといはうっとりしながら饒舌に語り出す。


「紅様は学生時代のお付き合いしていた男性であり、執事の友人でもあり、そしてワタクシのフィアンセでもあるの。」


「彼との出会いはまさに運命的なものだったわ…。ワタクシは学園に向かった後執事に伝え忘れたことを思い出して執事養成科に向かったわ。そして執事と話している彼をお見かけしたの。

まるで他の生徒全てが凡庸に見えてしまうほどの容姿に思わず見蕩れてしまいましたわ…。

その後も彼と逢瀬を交わしておりましたが、無理難題もスマートに解決してしまう手腕、下々の者にも分け隔てなく丁寧に対応する慈愛の精神、そして何よりもワタクシの心を掴んで離さないあの笑顔…。」


「…この高貴で華麗なワタクシと釣り合うほどの殿方は他に居ないと確信したわ。

彼もワタクシのことを思ってくださっていた、でも少し奥手な彼は私の執事を通じてお話をされておりました。」


まといは如何に凛刳を想っているのか力強く話していた。


尚、実際には執事と凛刳が一緒にいる際、執事を口実に傍にいただけなのだが…彼女自身は恋人とイチャついているという認識であった。また、彼女が見た笑顔についても莉緒に向けた笑顔を遠目で見かけて、周りが見えなくなっている彼女はその笑顔は自身に向けられたものだと勘違いしているだけである。


「そんなところも愛おしい。紅様とは相思相愛でしたのに学園を卒業してからというもの、殆どお会いすることが叶いませんでしたわ。

恐らくはお仕事でお忙しいのでしょう。

奥手な所もある彼のことですし、きっと自分から会いたいだなんて言い出せずに四苦八苦して悩んでいることに違いないわ。

そんな可哀想な彼の為にワタクシ自ら彼の元へ赴き、一緒にいて差し上げることにしたの。

でも行方が分からないことには向かうことは叶わないしお父様にお願いして探してもらっているのよ。」


「そうなのですね!お会いできたらまたそのお話を聞かせてください!」

「えぇ。早く見つかるといいのだけれども…。」


侍女と恋バナに花を咲かせていると部屋の外から誰かが向かってくる気配が感じられた。


コンコン…。


「どうぞ。お入りなさい。」

「失礼致します。紅様の現在お住みになられているご住所が判明致しました。」

「っ!直ぐに教えなさい。」

「は、はい!どうやら人間界の方にお住みになられているようです。詳細はこちらに記してあります。しかし―――。」


興奮しているまといは伝令係の言葉を遮るようにいう。


「何をしているのです!執事にすぐにでも迎えるように準備をするように伝えてきなさい!」

「で、ですが、」

「何をつべこべ言っているのですか!早くお行きなさい!」

「か、畏まりました!」


伝令係が部屋から出ていくとバタバタとかけていく音がまといに聞こえてくる。


「全く、仕事が遅くては困ります…。ワタクシには一刻も早くワタクシに会えなくて寂しい思いをしているであろう、紅様にお会いするという使命がありますのに…。」


まといは凛刳に心を馳せながら支度が住むのを待ち、駆けるように凛刳の元へと向かった。

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