僕の最後のお願い、どうか忘れないで。でも縛られないで。
天井の空間が変化し,まばゆいばかりの光が降り注いでくるのと
同時に蓉介の体もまるで引き寄せられるように浮遊していく。
その迎えの光に包まれ真琴に見送られながら蓉介は安らいだ心で思う。
言葉はなくとも蓉介の想いがはっきりと真琴に伝わるのがわかる。
二人の心がしっかりと結ばれているのが。
こんなにも近くに彼女を感じているから。
時がたつにつれ、やがて君は僕の事を忘れていくだろう。
新たな日々を積み重ねてゆくことで僕のことを
思い出すことも少なくなっていくに違いないない。
記憶が薄れていく。
愛し合った日々、楽しかった思い出もやがては古くなり
君の心の中のアルバムに刻まれ、取り出されることも少なくなり、
最後には心の奥深くにしまわれるのだろう。
朽ちて消えていくことはないだろうが、
だたそんな日々があったという事だけが君の心の片隅に残るだろう。
そして生きていれば君は様々な出会いを繰返すだろう、
その中には真琴さんが好きになる男性が現れるかもしれない。
でもそんな出会いをどうか恐れないで欲しい。
僕との思い出に縛られ、新しい出会いを無駄にしないで生きて欲しい。
出会いがあったからこそ僕たちはめぐり合うことが出来たのだから。
それはとても素晴らしいこと、
この世界に確かに存在した魔法といってもいい奇蹟なのだから。
僕にとっての救いだったのだから。
僕に救われたと思ってくれるなら
今度は君が他の誰かにその手を差し伸べて上げて。
彼女はもうすぐここに来るだろう・・・。
今彼女を救えるのは君だけだ。




