ライトレ三題噺
「ねぇ兄さん。いつもどこに行ってるの」
玄関で靴を履いていると後ろから声をかけられた。
「んー…秘密基地」
「ひみつきち」
俺の言葉を繰り返す弟の顔が少し寂しそうに見えた。
「誰かいるの?」
「いや、俺1人」
「じ、じゃあ連れてって」
まぁ、1人で行くのにも飽きてきたとこだしなぁ。そう思い、いいよと返事をすると嬉しそうに靴を履く弟。
「よし履けた」
「ん、じゃあ行こっか」
迷子にならないようにしっかり手を繋いで家を出た。
「なぁ、弟よ」
「どうしたの兄さん」
「秘密基地といえばやっぱり合言葉だよな」
「山って言ったら川って言うやつ?」
「そうそれ」
俺は繋いでない方の手で指をさす
「お兄ちゃんってどうかな」
いい案だろ。と、笑ってみせた。
「恥ずかしい」
「えぇ〜いいと思ったのに」
「ていうかなくてもいいじゃん」
「照れんなって」
結局合言葉は決めず、秘密基地で少し遊んで帰った。
次の日弟に遊びに誘われた。
「お兄ちゃん一緒に遊ぼ」