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1-28 エニス島の冒険

 無事にお弁当を持って、一向はエニス島ツアーへと旅だった。当然、ガイド兼乗り物は俺さ。きっと世界一美しい乗り物だと思う。島はすぐそこなんで、マリエール号は出すまでもなかった。

「間もなくエニス島~、エニス島~。ボーーー」


「ねえブルー。最後のボーーーは何?」

 エニスが、その綺麗な澄んだ緑色の瞳で、こちらを見ながら訊いた。


「知らないの? 汽笛だよ。大きな船が鳴らすんだ」

「へー、なんで?」


「そりゃあ、色んな事を知らせるためさ。単に挨拶で鳴らすこともあるし」

 俺の場合は、単なる気分ねー。鳴らしてないけど。


「そんな事よく知ってるわね」

「えー、何の話だったっけ」

「もうブルーってば、賢いのかそうでないのか、よくわからないわね」


「姉ちゃん、そいつに言っても無駄だってば。それよか島に行こうよ」

 ラウに催促されたので、俺は鰭エレベーターで皆を降ろした。ラウなんか、飛び込んで上陸しかねない勢いだ。


「うへえ、これは凄いや。秘密基地だな」

「どっちかっていうと、漁業基地なんですけどね」


「もうブルーったら。ここは素敵なエニス島なのよ!」

 この島は、もうすっかりエニスのお気に入りと化したようだ。


「ほお。この島の下には、大きな魚が集まってくるんだなあ」

 村長さんが感心している。


「ここに、あの大きな『栄光のマリエール号』を浮かべておいても、きっと魚が集まってくるよね」

「ああ、ちくしょう。こんなでっかい魚を見ると、漁師の腕が疼くぜ」


 ラオって、いつも「畜生、漁師なんか」とか言っている割には、いつも漁をする気満々だよね。もうすっかり刷り込まれているなあ。


 村長さんは、ウッドデッキを全周回って、色々と具合を確かめている。ついでに魚の具合も。


「ブルーや。お前が作った竿をちょっと貸してくれないか。ちょっと試し釣りをしてみたい」

 おお、需要が~。せっかく作ったので、使ってみてほしいよねー。


「はい、これ」

 そう言って渡したものは、結構本格的な物だった。ちゃんと「リール付き」だ。しかも金属製の。


 海の中で拾った物を回収したり、海水中に解けている資源物質を集めたりで作った金属素材。あるいは、海底の泥を食べて回収した元素。そういった物から苦労して作ったものなのだ。その苦労が報われる瞬間!


「これはなんだ!?」

 村長さんが不思議がるのは、リールだ。そう。この世界にはリールという物がない。述べ竿というやつらしい。昔ながらの竹竿だ。


「それはリールというものですよ~」

 昔の事で、俺の軽い脳みそが珍しく割とハッキリ思い出すのは、海がとても好きであったという事だ。そして、なぜか釣り道具の事は、しっかりと覚えているようだ。なんていうのか、イメージがよく残るっていうのか。


 俺はその事を考えると何故かそわそわしてしまって、色々試みてしまうのだ。色んなものを組み合わせてステンレスなるものも作ってみた。ステンレスが何なのかよくわからないけど、大変に魅力的なものだった。アルミも魅力的だった。要は錆びなければいいのだ。


 自分が使うわけでもないのに、何故か釣り道具を作る事に関しては熱中していた。金属粉末も作ってみたし。体の中で溶かし、混ぜ合わせ、ギュっと圧力をかけて固めて。海水を使ったウォーターカッターもあみ出した。これは身を守ったり狩りをしたりにも使えるんだけれど。


 そして必殺の鰭で細かく細工して形を整えた。その最中で、何をやっているのかわからなくなって放り出した事が何度でもあるが、これだけは諦めなかった。


「リール……」

 村長さんは、首を捻ってそれを見ていたが、針に餌を付けて垂らした。餌は、そのへんにいた小魚を網ですくって切り身にしたものだ。


「それを巻いたり緩めたりして、魚を引き揚げるんだよ。そこのオープンデッキの筒の中に竿を入れて固定してね。大物は大変だよ~」

 さすがに電動リールは無理なんで、人力で頑張ってもらうほかはない。電動って、何だったっけな。


 村長さんは、色々試していたが、大物相手に奮闘していた。このへんの魚は擦れてないから入れ食いだよね~。


「うおお~、何のこれしきー。わしとて若い頃は~」

 ラオは、そんな脂汗を流した村長さんを横目で見ながら、リールを使いこなして次々と釣果をあげていた。ドラグ調整までかなりモノにしてしまった。ラオが狙うのは、50cmくらいのほどほどサイズだ。


 やっぱ、子供は新しい事への順応が早いよね。というか村長さん、道具の使い方もわかっていないのに、いきなり大物なんて無茶だな。。


「さすがラオ。やっぱり漁師の子だね~」

 ここは、ヨイショしておこう。


「へ! 当然だぜい。ラオって名前は父ちゃんから引き継いだものなんだからな」 

 あっという間にご機嫌は急上昇した。ラオってば、俺並みにチョロイぜ!


おっさんのリメイク冒険日記2~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~

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