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あの、FPSゲーマーですけど。ジャンル違うんですけど。  作者: きょーま(電傳)
第三章 ありんこ達をやっつけろ!!
73/75

71 分隊発表、出発……出来ない。

「───凛、忘れ物は無いか?」


「うん。準備万端」


「よし……それじゃあ、行くか」


 フル装備の俺と凛は、自分達の部屋を出て一階へと降りる。しかし、いつも挨拶を交わすエレナさんの姿がそこには無かった。


「あれ……家主さんは?」


 凛はそう言いながら食堂の方を確認するが、どうやらそこにも居ないようで。しかし、食堂のテーブルにはいつもと違い、布を被せられたされたバスケットが一つ置いてあった。そしてその横には、手紙らしき小さな羊皮紙が一枚添えてある。

 手にとってみると、やはりエレナさんからの置き手紙だった。どれどれ……

 凛と一緒に、羊皮紙に書かれた綺麗な字を読んでいく。


『おはよう、風吹君と凛ちゃん!!よく眠れたかしら?大事な日だというのに、今朝は送り出せなくてごめんなさいね……用事が出来ちゃったの。簡単だけど、今日の朝ごはんとお昼ご飯をバスケットの中に作って入れておいたわ。忘れずに食べてちょうだいね。今日の作戦が上手く行くことを。風吹君と凛ちゃんが無事に帰ってくる事を祈ってるわ♪頑張ってちょうだいね♡エレナより』


「はい……」「……」


 内容は分かったけど、♡って……

 35歳(推定・レイミー)でも若い人である。外見もそうだけど。


 それにしても、こんな早朝からどこに用事があるのだろうか。あのローグとかいう筋肉野郎にでみ関係でもあるのだろうか……

 まぁ、そこで俺が気にする必要も無いのだけれど。


「……取り敢えず、食べていくか」


「そうだね……」


 布を捲ってみると、クロワッサンとマーガリン。お昼ご飯と思わしき紙包みが入っていた。クロワッサンって確か、作るのに手間の掛かるパンだった気がしたのだが……簡単と言いながら、良く分からない人だ。

 そんな事を思いながら、クロワッサンパクつく。


 自分にはパンの細かな違いは分からないけれど、なぜだか、過去に食べた事があるような味がした。




∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗




 朝ごはんを食べ終え、バックパックに紙包みを入れてからタオレ荘を後にする。懐中時計を確認すると6:32。大体予定通りだ。少々肌寒い通りを速歩きで抜け、相変わらず馬車で埋まった大通りを横目に中央広場へと向かう。

 中央広場は朝早いのと今回の蟻の件もあってか、馬車は沢山居ても至って静かで、周囲の建物には人気が全く無い。ただ帆船の形をしたギルドの建物は別で、ガヤガヤと大勢の人の声が漏れ出していた。何というか、この静かな雰囲気に場違いな程と言っても良いくらいに。


 大きな扉を開けると案の定、俺と凛は喧騒に包まれる。それにしても本当に騒がしいな……

 既にギルド内には相当な数のハンターが集結しており、各々パーティー内で談笑したりしているのだ。会話じゃなくて談笑。どこから笑いが出てくるのやら……作戦当日の朝だというのに、夜中に酒場が賑わってる時並みである。

 

 そんなことを思いながらカイト達を探していると、ギルドカウンターの近くにレイミーの姿を見つけた。ハンター達の間を抜ってカウンターに向かうと、レイミーもこちらに気がつく。


「おはよう」「おはようございます、風吹さん凛さん」


 挨拶を交わしてから、ふと気がつく。


「あれ……カイトとイリーナさんは?」


 見たところ、近くにはいないようだけど……


「ああ、二人は会議室の方ですよ。この後発表される分隊(チーム)分けについて、風吹さんと凛さんがリーダーにならないように、掛け合いに行ったようですが……」


「そうか……」


 腕は中級者かそれ以上の俺と凛だが、ハンターとしての経験値は低いのだ。それを考慮して、カイト達はフィナさんに掛け合いに行ってくれたのだろう。

 

「調子はどうですか?」


「ん?別に、普通だけど……」


「そうですか……」


 レイミーはそう言いながら、騒がしいハンター達の方を見つめる。珍しく、ボーッとした顔で。 


「どうかしたか?」


「え?いや………久しぶりの大仕事ですし、規模が規模ですからあまり実感が湧かないもので」


 明るい表情を作ったレイミーは、軽い感じでそう答える。いくら上級者といえども、流石にそういう心境にもなるのか……何故だが、ちょっと安心した。

「彼らもああやって、気を紛らわしてるのですかね……」

レイミーはそう呟きながら、カウンターの奥にある会議室へと続く扉に目をやる。

 

「さてと……そろそろ出て来てもいい頃なのですが……」


「そうだな……」

 

 話している間にも他のハンター達が集結し、ギルド内は詰め状態である。懐中時計を確認すると6:58。もうフィナさんの言っていた集合時間になるが……


 すると、カウンター奥にある扉が開き、カイトとイリーナさんにレイナさん。そしてフィナさんやミーナなど、調査団の人達も数人出てきた。カイトとイリーナさんは俺達の方に来て、フィナさん達はハンターをかき分けクエストボードの方に向かう。


 その姿を見送りながら、カイトが俺と凛の肩を叩く。


「よっ、二人とも。よく眠れたか?忘れもんとかねぇよな?」


「ああ、大丈夫だよ」「大丈夫です」


「そうか、それなら良かった。レイナとかフィナって人と話して、お前と凛ちゃんのチーム分けを調整してもらったぜ」


「レイミーから聞いたよ。………誰と一緒になった?出来ればカイト達と同じが良かったんだけど」


「いや、戦力のバランス的にそれは無理だったが……」



「みんな注目っ!!!」


 カイトが喋り終わる前にクエストボードがバンと叩かれ、皆の注目がそこに行く。


「レミントンさんが分隊(メンバー)の発表をするから。静かにして頂戴」


 レイナさんがそう大声で言い、騒がしかったギルド内が一気に静まる。

 クエストボードはいつもと違って大きな紙……見たところ、名簿のような物が貼り付けられ、それにフィナさんが手を添えていた。

 レイナさんの横にいるフィナさんは、一歩前に出て話し初める。


「おはようハンターの諸君。本日の天気は快晴で風も無し。蟻の巣に動きが無く、作戦決行に絶好の日よりとなった。さてと。昨日話したよう、君たちの能力それぞれを考慮した上で分隊の配分を私達で行った。これから一緒に組んで貰うそれぞれのパーティーリーダーの名前を読み上げるので、各自覚えておいて欲しい」


 そう言ってから、フィナさんが次々と名前と所属する分隊を読み上げていく。分隊は数字で分けられているようで、25番まで読み上げた。ここにいるハンターの総勢が大体200人で、それぞれの2パーティー8人で組むからそんな物なのだろう。

 カイト達は5番で、俺の知らない人と一緒だった。が、何故か俺と凛の名前は、一回も呼ばれていない。…………忘れてる訳じゃないよな?

 

 心配になった俺は、名簿に自分の名前は無いのかと目を凝らす。すると、見終わる前にフィナさんが俺と凛の名前を呼び出した。


「風狙君と峰薪君には、他の分隊ではなくて私達と一緒に動いて貰う。何か重要な連絡等があった場合、この二人を通じて伝達する可能性があるため、皆留意するように。……皆、二人の顔は分かるな?」


 フィナさんがみんなに問いかけると、各々「ああ」「もちろんだ」「分かんねぇ奴はいないだろうよ」などと答える。


 ……あの?なんか、ちょいと重要なポストについてません?

 

「以上で発表を終えるが、何か質問等は?チーム分けに付いては変更出来ないが」


 質問等ありますよ。一応初心者なのに、何で俺と凛がそんな役割に……カイトもそこら辺の事を言いに言ったんじゃないのか?

 変更出来ないと言われた手前、どうしたものかと手を上げかねているとフィナさんは続ける。


「……無いな。ここだとスペースに余裕が無いから、作戦の説明は現地で行う。先ずは移動だ、調査団の馬が先行するから皆付いてきてくれ。道は開けてある」


 指示を受けたハンター達がぞろぞろとギルドから出ていくのを唖然と見てると、フィナさんが俺達の方へと一直線に向かってきた。

 こっちに着くと、俺は真っ先に質問する。


「あの……分隊(チーム)分けについて聞きたい事があるんですけど……」


「ああ。今から丁度説明しようと思っていた。君と峰薪君は私達と一緒に、戦況に応じて臨機応変に戦う役職について貰う。まぁ、簡単に言うと高機動部隊みたいなものか」


 なんでそうなったんですか。


「二人の腕前は聞いているぞ?経験は浅いようだが、相当腕が立つらしいじゃないか。不安はあるかも知れないが、こちらも君たち二人が存分に戦えるよう、私達もサポートするから安心してくれ」 


「腕を評価して貰えたのは嬉しいですけど、その………」


 ……理由は分かったけども、何故俺と凛に。他にも腕の立つ上級ハンターがいただろうに……

 俺の心中を察したのか、エレナさんは少々不思議そうに言う。


「元々カイト君達の役職だったところを『是非ともうちの風吹と凛にさせてくれ。俺達と同じくらい強いから』と頼み込むものだから二人に変えたのだが……悪かったか?」


 …………は?


 イリーナさんやレイミーも含め、俺達は一斉にカイトの方に顔を向ける。


「おい。どういう事だ」「カイト……さん?」「本当です。何を話しに行ったんでうすか!?」「俺に任せろとか言って、まさかそんな事頼んでたの!?」


「えーっと……」


 皆でカイトを睨み問い詰めると、カイトは一歩後退り。額から汗を垂らし、頬をぽりぽりとかいて言いずらそうに答えた。


「その…………せっかくだから、良い経験になるかなーって……」


「「「「………」」」」


 この正真正銘バカ野郎。




 






 

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