6 取り敢えず…第一目標に到達
「大きいね…」
「デカイな…」
ポカン、とたどり着いたら城壁を見上げている。
「あ、門あったよ!」
凛が門の所へ駆けて行く。一体どんな街なのだろうか……
門には甲冑を着て、大盾と槍を持った衛兵のような人が数人居たが、特に検問のようなものも無く、普通に入れた。
ここが……異世界の街……
「THE中世のヨーロッパ風の街並みだね……」
建物はどれも石や木で建てられているようだ。地面は見た限り石畳で綺麗に整備されている。確かにヨーロッパ風だ。
「俺もなんか見覚えがあるような……」
テンプレの異世界の街ですね。
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街に着いたので取り合えず懐中時計の摘まみを元に戻す。
「────以後気をつけて使ってもらいたい」
「りょーかい……」「わかりました。気を付けます」
「反省して貰えればそれでいい」
勿論内容は一切聞いていない。
「で、じいさん。次はギルドに行くんだろ?どこにあんの?」
「この大通りを真っ直ぐ行けば中央広場に出る。その一角にあるぞ。」
「あんがとさん……」
それにしても……だいぶ賑わってるな……
大通りに穀物の様なものを乗せた大型の馬車?が行き来している。
馬が普通の馬の2倍近い大きさだったり目が4つ付いていたりするのは気のせいだう。馬車の邪魔になら無いように、端の一段高くなったところを歩く。恐らく歩道だろう。
大通りと繋がっている横路は露店が多く出て、大量の人々が行き来している。「いらっしゃーい!」「新鮮だよぉー!」なんてかけ声もよく聞く。チラッと覗くと見たことの無い食材?が大量に売っている。
「わぁー……」
ゲーム以外の事には余り興味を示さない凛も見たことの無い物や動物が居て辺りをキョロキョロしている。俺だって興味深々だが、いい年してみっともないので我慢する。凛はいいんだよ、別に。
古い街並みだな……いや、この世界じゃ普通なのか。雰囲気が出てていい。わざわざ露店を出してるって事は、ここら辺は全て住宅なのだろう。さっきから大通り沿いの建物と、露店通りの窓から物干し竿のような物が沢山出て、洗濯物がぶら下がっている。
皆何で生活しているのだろうか。まぁ今はいいか……
幾つか露店が出ている大きな横路、小さな路地などを横切りながらしばらく歩いていると……前方の視界が開けた。
「……おっここか?」
「ウム、ここが中央広場だ」
「広い。人がいっぱい……」
これまたデカイ広場だ。中央広場の中央には大きめの噴水があり、その回りが円形のロータリーのようになっている。そこから俺達の通ってきた道を含めて八本の大きな道が等間隔に延びている。
中央広場に八方からやって来た大型馬車?が集結して一つの大きな赤レンガの建物に吸い込まれて行く。大方あの建物が流通センターってところだろう。これだけの規模だと人口がありそうだ。
「なぁじいさん、ここどうなってんだ?やたら馬車の数が多いけど」
「……そのくらいは、自分で街やギルドの人に聞いたらどうだ?会話の種になるし二人の若干のコミュ障もどうにかなるぞ」
いきなりなんだ。ウゼェ。まぁ話の種になるっていうのは一理あるが。
「わ、私コミュ障ですか!?」
俺とは大丈夫だけど見知らぬ人となると……な。
「で……ギルドどれだ?」
中央広場のロータリーの周りにはデカイ建物が幾つかある。
さっきの赤レンガ、なんか屋敷っぽいのとか……
「それはだな……」
「あ!あれじゃない?」
ひときわ目立っている建物……というか帆船。そう、まんま大きな帆船の船底を、削って置いたような建物を指差している。建物と言っていいのか解らないが。
「……ウム、あれだ」
「やっぱり!」
また仕事一つとったぞ……勘弁してやれよ……
確かに……よく見ると、これ見よがしに船首には何かの巨大な頭骨が張り付いているし、広場方向に倒れかけたマストには剣とモンスター?の描いた旗がぶら下がっている。
「行くか……」
「うんっ!」
人と馬車をかわしながら、船底近くの横に開いている大きな木の扉をくぐって中に入ると…
「あなた達は馬鹿なんですかっ!」
受付の綺麗なお姉さんに怒られている、例のバカ三人組が居た。
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ギルドの中は想像以上に広い、右奥(船尾)にはカウンターと掲示板と本棚。左奥(船首)は酒場になっていて沢山のテーブルと椅子がある。正面には左右に広がるように階段が二階の高さに位置する渡り廊下に繋がってそこにも椅子とテーブルがある。
そこにらに座っていた人と掲示板の近くに居た合わせて30人ほどの男どもの視界が受付のお姉さんの怒鳴り声を聞いてカウンターに集まっている。
話を戻そう。
ヒッソリ……
綺麗なお姉さんの怒鳴り声で辺りが静まり返った。
「あなたたち、最近上級者になったばかりでしょう?それなのにこれですか!」
「は、はい……すみません……」
三人とも完全に萎縮している。
「ダンジョンから、よりにもよってあんなゴーズキみたいな凶暴な上級モンスターを引っ張り出した挙げ句。引きずり回すなんて!」
どうやらあの牛モンのことらしい。
「引っ張り出した訳じゃ……」「勝手に着いてきて……」「間違えて深層エリアに入っちゃって……」
「誰かが巻き込まれて、被害にあったらどうするんですか!」
あ、俺達被害者……かな?半分凛のお陰で巻き込まれたけど……
「とにかく、直ぐにギルドが他の上級者を召集して、調査と討伐をします。当然報酬は全額貴方達に負担して貰いますよ……なんですか?おまけは当然しませんからね。」
三人組が世界の終わりと言わんばかりの顔をしている。
すると、さっきまで黙っていた小柄な司教?男が声をあげた。
「でも……謎の大剣を持った人が途中で突っ込んできて……」
「そ、そうよ!そうだったわ!その後は私達は逃げて……後ろから炸裂音がしたからきっとあの人が倒した……かな?」
「だから討伐隊を組まなくても大丈夫かと……」「あの女剣士かっこ良かったぜ!」
スッ転んだけどな。後、倒したのは俺。
受付のお姉さんは拍子抜けしたような顔になって……それからだんだん腕をふるふるさせて……
「嘘おっしゃい!!出動費を出したく無いからって、いい加減な嘘つくんじゃありません!!レイミー!貴方までなんですか!?」
「いや、本当に……」「私達の言ってることは本当ですってば!」「凄い人だった!」
ブチッ──何かが切れるような音が聞こえた気がした。
「だったらとっとと死体の回収でもあなたたちだけで行ってくればいいでしょう!!貴方達への罰では無くて街の安全の為です!!」
おうおうヤバイぞ……すると見かねたのか筋肉隆々のゴツいデカイおっさんが。
「なぁ受付の姉ちゃん。そこら辺にしてやったらどうだ?コイツら嘘ついて無いようだし、過去にもそうゆう事があったんだから……な?」
「そんな都合のいいことがあってたまりますか!!」
今度は俺くらいの年の青年が。
「あの……レイナさん?そのくらいに……」
「レイナって気安く呼ばないで!」
どうやら受付のお姉さんは最強らしい。
──手がつけられないな……てか、いつになったら俺達の番に……他の受付は現在、無人のようだ。
すると、今度は凛が……
「あっ、あのぅ……倒したの……たぶん私達です……」
三人組と受付姉さん。三人組と受付に向いていた野次馬の視線が一気に俺と凛に向いた。
オイオイ……このタイミングでかよ……
「あっ、この人だ!」
おい大剣バカ。凛に指差すんじゃない。
「あ、あなた方!そうです、この人です!」
倒したのは俺な。すると受付のお姉さんが。
「……ほ、本当ですか!?」
「え、あっ……」
凛は長い引きこもりの弊害。コミュ障絶賛発動中。
しゃーない、俺が出るか……
「ああ、確かにそこのバカ三人組と、ゴーズキ(牛モン)に横やりを入れたのは俺達だよ…」
「じゃあゴーズキは……」
「ワンパン……じゃ解んないか。一撃でしたよ、お姉さん」
ざわざわ…ギルド中が一気にざわめく。「(マジか…一撃だってよ…)」「(本当か?…)」「(そんな奴らがなんでここに…)」「(あいつらヤバイぞ…)」
耳がいい俺には全て聴こえる。どうやら相当驚いてるようだ。目立ちたく無かったんだけど…
「その……死体は、ほっといちゃいましたけど…」
凛も口を開いた。お姉さんが若干疑わしそうな顔をしながら。
「……そうですか。三人組!あなたたちはもう一パーティーと組んで死体の調査と回収に直ちに向かって下さい。」
「「「はっ、はい…」」」 「俺達が行ってやろう…」
三人組とゴツいおっさんがギルドを出て行った。
また視線が集まる。
「コホン……それで、ゴーズキを軽く倒せる方々が、なんの御用件でしょうか?」
お姉さん完全に俺達の事疑ってるな……ま、いいか。
「えっと……ギルド登録を、お願いします……」
「(登録!?)」「(マジか……)」
またざわつく。
「登録…ですか…ありがとうございます。他のギルドに登録している場合はそのギルドの許可証が必要ですが……」
「ん、初登録だから大丈夫です」
「「(初登録!?)」」「(ゴーズキを余裕で倒せる奴らがか!?)」
外野うるさいぞ…
「そ、そうですか……それなら……ちょっと道具とか取ってくるので……」
そう言うと、お姉さんが奥の部屋に引っ込んで行った……
2017/05/30 に内容を一部変更しました。
「最近中級者になったばっかり…」⇒「最近上級者になったばかり…」




