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50 RPGゲーマーは、やはり……

ただいまです!!

 凛によって放たれた火球はゴウゴウと音をたてながら、ゴブリンの群れへと突っ込んで行き……


『ブゥォワァアッッン!!!……』


 突撃してくるゴブリンの群れの中央に着弾した。

 凄まじい音が鳴り、まるで爆弾のようだ。そして爆炎は一瞬にしてゴブリン達を包むと共に、小さなキノコ雲の様な形に広がる。爆発音に少し遅れて来た熱い突風が俺の髪を揺らし、コートをはためかせた。……凛の魔法ヤベェ……


「すんげぇ……」「流石ですね」「凛ちゃん……凄いけどこれは……」


「「「やりすぎ」」」「うん……オーバーキル」


「そっ、そうですか!?結構、手加減はしたつもりなんですけど……」


 手加減でこれかい……


 若干収まった炎の方を見ると、火の球が着弾した所を中心にして円形に大地が燃え、焼け焦げている。そしてゴブリン達は……なんか黒い塊が落ちてる。と言った具合にやられて焦げた大地に転がり、凄まじさ故か焦げた死体はバラバラになった物もある。


 イリーナさんは驚きつつ、凛に話しかける。


「……凛ちゃん。倒したいのは分かるけど、しっかりと威力を調整してやらないとダメよ?いつも本気でやってたら貯めた魔力がすぐ無くなっちゃうし、連携の時に仲間を巻き込んじゃうかもしれないからね」


 ……確かにそうだな。前にやっていた様な、イリーナさんが魔法で遠距離攻撃しつつ、カイトが近接で攻撃するみたいな時に、やたらデカイ火の球が飛んで来ても困るし。


「……はい。分かりました。気をつけます」


「徐々に範囲の調節方法を学んでいけば大丈夫よ……それと、全般的な制御もね」


「はい」


 改めて目の前の惨状を見る。さっきの炎は今も草原を燃やし、焦げ跡をどんどん拡大していっている。……こりゃ、カイトん家の時より凄まじいな……あの時の魔法は「試しに」だったから当然の事か。

 イリーナさんが、前にやったように魔法で出した水で消火を始める。


「凛、今のでどんくらいの力出したんだ?」


「う~んと……20%くらいかな……」


 オイオイ……

 すると、水を出しながらイリーナさんが


「普通のブリーチング・フレイムって、そこまで強い魔法じゃ無いから、私でも同時に5.6匹倒すのが限度なんだけど……」


 凛は20%で十何匹です。


「「「うわぁ……」」」


「あはは……別に大した事じゃ……」


 そう言いながら、凛が気恥ずかしそうに後頭をかく。

……凛。たぶんカイト達の「うわぁ……」は、凄いなって意味合いでは無いと思うぞ……

 ますます、凛の能力に引く三人であった。そして俺は、凛の能力の高さを改めて実感した。


 イリーナさんの消火が終わり、他の群れを探す為にまた草原を探索する。

 


∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



 その後も順調にゴブリンの群れ、そしてたまにコボルトの群れを数個殲滅し終わり、レイミーの探索魔法には何も掛からなくなったところで今日のクエストは終了した。

 そして今は日没まで少々時間がある中、一足早くギルドに向かって、街中の大通りを歩いている。


「――凛ちゃん。今回だけで結構魔法を制御できるようになったじゃないの。凄いわ」


「そ、そうですか?ありがとうございます」


 凛のブリーチング・フレイムは回数を追う毎に、次第に範囲を制御できるようになり、最終的にはほぼ完璧になったようだ。…………相変わらず威力は半端ないけど。

 おかげで今日は、俺が最初に倒す数体を残して消し炭になったので回収班は呼ばず、全部焼却処分する事になった。別にそれについてどうこうは言わないけど、それだけ凛の強さが半端無かったって事だ。


 既に明かりの灯ったギルドへと入ると……


「いや、おかしいだろ……」


 先ず、カイトがそう言う。


「昨日より早く来たのに、大して変わりませんね……」


 ギルド内には昨日と同じくらい多くのハンターがおり、そして偏りのある列は、銀ピカ調査団から避けるように曲がり、皆レイナさんとの会話に耳を傾けている。


「――という事でおおよそ、どのような部類のモンスターかは把握した。明日にはその分野に詳しいの専門家を数名こちらに呼び、より詳しい調査に入る。以上だ」


「分かりました。明日からもよろしくお願い申し上げます」


 そのまま何も言わず、銀ピカ達はギルドを後にした。

 そしてまた、昨日のようにギルド内は騒がしくなる。



∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



 クエスト達成の手続きを済ませたカイトが、先に酒場に席を取っていた俺達の所へやって来て座った。


「……ったく。こんな時間に皆帰って来やがって」

「皆分散して来るなんて、異常時体ね……」

「……これが本来あるべきギルドの姿です」


 レイミーの言う通り。寝坊ハンター達が昼近くに一気に来て、また日没近くにどっと戻ってくる方が異常です。

 そんな会話をしている内に既に頼んでいた料理が運ばれてきて、全員完食してから一息。カイトとイリーナさんがビールを飲み始めた。俺と凛、レイミーは黙ってその様子を見ていると……


「レイミーお帰り~」


 そう言いながら、唐突にレイナさんがレイミーの隣に腰掛けた。そして右手には木製ジョッキを持っていて、少し頬が紅潮している。……完全に飲んでるな。てか、受け付けの仕事はどうした。


 レイミーはほっぺに手を伸ばすレイナさんの左手を払いのけ、受付とレイナさんを見比べる。


「受け付けの仕事はどうしたんです?まだハンターが残ってますけど」


「そんなの、バズとあの娘に任せとけばいいのよ」


 おいおい。というか……

 ずっと思っていた事を口にする。


「そう言えば、なんでバズと交易場の受付嬢がギルドのカウンターにいるんだ?」


「ん?ああ、それはウチのバカハンター達のラッシュが尋常じゃないから、応援にきてもらってるのよ……」


なんでギルドの受付嬢を増やさないのだろうか……


「……ま、今は何故かハンター達が分散して来てるから、私がいなくても大丈夫そうだけどね」


 じゃあ帰ってもらいなよ……

 そんな目をする俺達に気付かないのか無視しているのか、レイナさんはそのまま話を続ける。


「そうそう。あの場に居合わせた貴方達に、あの事教えてあげようと思ってね。調査団からの情報とか……」


 そう言って手招きし、俺達がレイナさんに耳を近づけると小声で話し始める。


「いろんな憶測が飛び交ってるみたいだけどね……どうやら、闇属性か、それに近いアンデット系統の大型モンスターらしいってのが解ったそうよ……」


 闇属性と聞いた瞬間。カイト達の表情が険しくなる。しかし、俺はさっぱり分からない。凛も首をかしげる。


「闇属性……?」


 凛が小声で呟くと、レイミーがそれに答える。


「闇属性とアンデット系モンスターというのは、基本的にダンジョンや洞窟等にしかいない代わりに、基本的にどのモンスターも危険度は高めです。ですが……」


レイミーがそのまま黙りこむと、会話を引き継ぐようにカイトが。


「あの周りにダンジョンの入り口はねぇし、洞窟だって無い……ゴーズキの無属性みたいなモンスターなら、あそこまで行こうと思えば行けるが、闇属性とアンデットならあり得ねぇ」


「へぇ……」


なんとなく異常事態だという事は分かった。


「明日は専門家読んでくるって言ってたから、何かしら分かるといいんだけどね……」


レイナさんはそう言いながら、ジョッキのビールを飲み干す。


「プハァっ……ったくもぉ……なんで王都から来た奴って、皆変にプライド高いのかしらね。嫌になっちゃう……」


「そうだな……」


 確かに銀ピカ調査団はレイナさんがお礼をしても何も反応せず、当然といった顔でその場を去っていった。

 お陰で野郎どもに、めっちゃ悪口言われてたし。俺だって仕事といえど、流石にあれはないと思う。


「ね?レ~イミ~……」


 ほっぺたをフニフニしようと手を伸ばしたレイナさんが、レイミーが軽い取っ組み合いになる。……ますます二人が分からない。


「ふぁ~あ……疲れた……」


 凛が座ったまま伸びをして、今日も一日が終わる。






5話で打ち切る気だったけど、結局ここまで来たか……(内容は全く進まない)

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