表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/75

48 虚栄心……

こちらは、以前削除した(前47話)の後半を若干含んでおります。言動や描写を訂正しましたが、一度(前47話)を読んだ方は読まなくても大丈夫です。でも、読んで貰えたら幸いです。



後半は新しい話だから、是非とも読んで下さい!





「すいません……遅れました」


 階段の最後のステップを降りつつ、椅子に座った美人家主さんに話しかける。


「いいのよ。まだ寝るような時間じゃないし」


「そうですか……」


 既に羽ペンとインクが置かれた丸テーブルを挟んで、置いてあった丸椅子に座ると、家主さんは手に持っていた編み物を置いて、手を差し出す。


「見せて頂戴」「はい……」


 二枚の上質な羊皮紙を家主さんに手渡す。俺のと凛の、一枚ずつだ。家主さんはそれに目を通して……


「……そこまで沢山書くことは無いわね……ちゃちゃっと書いちゃうから、ちょっと待ってね」


 そう言って家主さんは羽ペンの先にインクを浸けて、猛烈な勢いで羊皮紙に文字を連ねていった。羽ペンの先が走る走る。

……すげぇ……よくインクが垂れたり、滲んだり、掠れたりしないな……まるでギルドの受け付けのお姉さん。レイナさんみたいだ。


 俺が驚くなか、ものの数分で家主さんは書く所を書き埋めてしまった。家主さんが書き終えた書類に目を通す。


「あ、あの……」


 俺と凛の名前と年齢まで書いてくれている。


「ん?ああ。知ってる事は既に書かせて貰ったわ」


「そうですか……ありがとうございます」


 スゲぇな……

 ええっと。その他は……

『アデネラ 南北ブロック138 タオレ荘 301』か……これがここの住所か。家主さんの名前はエレナ・フェイムと言うらしい。その他にも、『同意するか』という欄にサインが書かれている。……速い上に、凄い上手な字だ。


「あとは、出身地とかを、サインを書くだけよ」


「はい……」


 若干、家主(エレナ)さんの視線を気にしつつ、『東京都』と書く。職業はそれぞれ「ハンター」と……

 それ以外の、『同意するか』という直筆サイン欄にサインをする。凛のは……『保護者代理サイン可』って書いてあるからいいか……凛のサインもする。


「……書けました」


 エレナさんが書類を覗きこんで、少し眉を潜める。


「トウキョウト?どこ?聞いたこと無いけど……」


 やっぱ、そうくるよな……


「え、ええ……その。物凄く遠い所にありまして……」


「へぇ……」


 セレナさんは顎に手を当てて、考え込み……


「ま、世界は広いわ。私の知らない街だってあるでしょう」


 この世界には無いけどね。まぁ、それ以上追及せずに、流してくれたから良かった。……だいぶ心残りはあるみたいだけど……

 すると、書類に目を通していたセレナさんが急に真剣な顔になって……


風吹(フブキ)君……」


「は、はい……」


 な、何かマズイ事でも書いたか?


「風吹君…………字が汚い」


 ズリっ!!


「大丈夫!?」「だっ、大丈夫です……」


 思わず椅子から滑り落ちかけた。……なんだ、そんな事か……字が汚いって……

 しょうがないだろう。元々字が汚いという自覚はあるし、羽ペンなんて、だいぶ前に行ったイギリス留学で習ったのと、最近ちょっと使ったくらいだし。すると……


「私がコツ。教えてあげよっか?」


 そう言ってセレナさんは立ち上がり、長い栗色の髪の毛を揺らしながら、俺の背後に回りこみ……


「先ずはね、こうやって持つのよ……」


 そう言いながら、俺を後ろから抱くようにして、右手と左手を掴んだ。そして、この椅子に背もたれは無い。よって……

 推定年齢35歳独身(レイミー談)でも、豊かな胸は張りを持っていて、俺の背中を圧迫してくる。あっあのー!!胸が当たっておりますよーっ!!?


「あっ、ちょっ!?」


 顔を真っ赤にして、慌てふためくと……

 

「あら。刺激しちゃった?ゴメンなさいねっ♪」


 ピョンっと嬉しそうな顔で、後ろに飛び退く。こ、困るのですが……ちょ、ちょっと嬉しかったけども……


「ふふっ。やっぱり人の男の子に、手を出さない方が良いわね。じゃ、書類はそれで良いから、明日にでも銀行に出しておきなさい。今夜も頑張んなさいね。おやすみっ♪」


 俺がいきなりのハイテンションについて行けず、唖然とする中。セレナさんは楽しそうにしながら『私の部屋』と書かれた札の掛かったドアの向こうに消えた。


「な、なんだったっんだ……」


 俺は首をかしげつつ、書類を持って階段を上がる。

 いつしか「タオレ荘か……頑張れ」と言っていた、カイト達が脳裏に浮かんだ。



∗∗∗∗∗∗



 部屋に戻って再度、魔法ランプをつけて部屋を明るくする。凛は相変わらず、枕を抱いて眠っているようだ。

 時たま「ふぶ…き……」なんて言いながら。……こう言ってはなんだが、耳に毒だ。


「あ~あ……やる事もないし、寝るかな……」


 いつもならスマホをいじり出す頃だが、この世界にそんな物は無い。


 ホント、今日も疲れた……

 風呂屋に持って行ったバックから出した拳銃と共に、書類も棚に入れると……


「ん?何を持っていたんだ?」


 棚の上に置いていた懐中時計から声が。

 ま、まずっ!そういえば周囲が察知できるんだった!


「い、いや……書類とかをしまっただけだ」


「そうか?なにか……他に持っていた……拳銃?」


「んな訳あるかよ。この世界に銃が無いんだし、召喚したんだったんならそっちが分かるだろ?」


「そうか、勘違いか……SAA(シングルアクションアーミー)の気配がしたもんだから……」


 どんな気配だよ。というか当たっているのが恐ろしい。とにかく、なんとか流せた。


「SAAと言えば……」

「言えば?」


 すると、じいさんはちょっと声色を変えて……


「シングルアクションアーミーか……」


 しょうがない。話を逸らす為にも乗ってやるか……


「ああ。もうアクシデントは起こらない」


「あれが、アクシデントだと?あれは貴様の虚栄心が生んだ必然だ……」


「なに?」


「確かにいい銃だ。ただ、その彫刻(エングレーブ)は何の戦術的優位勢(タクティカルアドバンテージ)も無い。実用と観賞用は違う!」


「く……」


「それに、お前は根本的な間違いを犯している。お前に、俺は殺せない……」「なぁ、飽きた。もういいよな」


「ええ~!?これからじゃん!ちょっとまっ……」


 これからは踏んだり蹴ったりで終わりだろ……どうする気だ。大体、なんでお前がこれを知ってるんだ。

 摘まみを引いて音を消す。さあ、明日からも忙しいぞ。魔法ランプを消し、ソファーに寝転がった。




 反射した月明かりにのみ照らされた天井を見てふと思う。

 そう言えば……拳銃の存在に気づいたのは、こうやって寝転がった時だったな……突如俺の所に現れた二丁の拳銃。SAAとMk22。確かに、どちらも俺が好きな銃でもある。だが俺は召喚なんかしてないし、欲しいと願ってもいない。懐中時計の故障か?それとも、天界のミスか?でなければ……故意?


 しかし天界は、世界がどうたらとかで武器召喚に厳しい制約を掛けてきたくらいだ。召喚しなくても銃をあげる、なんて事はしない筈だ。じいさんだって知らないみたいだし。


 ミスだって、神様の世界にあるのだろうか……あんなジジイがいるのだから、あってもおかしくは無い?多分そんな奇跡は無いと思うが……

 この世界に銃は無いというし、例え存在してもピンポイントで俺の所に来るなんて事無いだろうし。大体、この二丁の拳銃はどう見てもアメリカの銃だ。


「はぁ……やっぱ、考えても分かんねぇな……寝よう……」



「ふぶきぃ……う~ん……ムニャムニャ……」


 寝れるだろうか。



∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



「ハァー。今日も終わった……」


 椅子に座ったまま、ぐーんと伸びをする。……さてと、報告書の整理をしなければ。


 机上に置いた二個の懐中時計の摘まみをいじり、水盆に浮かんだ地図を消し。胸元のペンダントを開け閉めしてから、報告書に取りかかる……


――二十分後――


 最後に自分のサインを書いて……


「よし。これで終わりっ……」


 トントンと報告書の角を机で揃えながら、ふと呟く。


「……確かに拳銃……SAAとMk22かM92fっぽい感じがしたんだけどなぁ……風狙(かざねら)君が持っている筈も無いし、やっぱり気のせいかな……」


「そうよ。貴女の気のせいよ」


「ですよね……ってメイロさん!いつからそこにっ!?」


 いつも突如として現れる人だ……


「フフ。貴女と風吹(ふぶき)君がお芝居を始めた頃かしらね」


「なっ……」


 メイロさんは唇に手をやり、クスリと笑う。

 ……は、恥ずかしい……あんな事やってるのを見られてしまった……きっと、私の顔は紅潮している事だろう。なんとか恥ずかしさを堪える。


「すっ、すみません。職務中に遊ぶなんて……」


「別にいいのよ。仲良くなることは重要な事だわ。それに……」


 メイロさんは微笑みながら続ける。


「男性とそこまで打ち解けられるようになったんじゃない。いい進歩よ」


「そんな事……無いです」


 そう言うと、メイロさんは少し眉を潜める。


「そ、それに風狙(かざねら)君は男性と言うより、まだ男の子の年齢……」「もう18歳だし。十分に大人の男性よ」


 そうキッパリと言い、メイロさんが立ち上がる。


「……い、いや……その……あくまで男として、声だけで接したという事もあって……」


「最初に転移の()でも直接会ったでしょ?」


「あれは……その……」


 それ以上。否定する言葉が出てこない……私は……男性とは……男と……そんな……


「……貴女がその姿で、男の人と接したくない気持ちは解るわ。あんな事があったんだし……でも」


 メイロさんは私の座る椅子の前にしゃがみこみ、私の手を握った。そして少しうつ向いた私と目を合わせる。


「ずっとこのままでいるのは、私はいけないと思う。無理にとは言わないわ。けど、ここまで来れたのだから次のステップを踏んでみるべきよ」


「次の……ステップ……」


 そうか……あの一時期考えてた『社会復帰』か……


「ええ。先ずは男として。他人と接する事から初めないとね。勿論、風吹君とのみたいな声のやり取りだけじゃなく、しっかりと人と会ってね」


 私は、耐えられるのだろうか……


「少なくとも、そこから初めないといけないわ……これは上司としてではなく、友人としての命令よ。今度、暇ができた時にでも考えておきなさい」


 そう言って、メイロさんが私の手を離して立つ。

 ……風狙君とは、なぜか大丈夫だったが……しかし他は……私は……いったい……


 そんな考えを巡らせている内に、メイロさんは白く長い髪を揺らしながら、部屋の中に現れた光の柱へと入る。


「それと拳銃の事。あれは貴女の気のせいよ」


「………は、はい」


 私が返事を返す時には、既にメイロの姿は消えていた。

 

 今日のメイロの口調は、いつもより厳しい気がした。



  





















                      


    

ネタが入りました。入れました。

なんのネタか分からなかった人には謝るしかないです……いったい何人の方が理解してくれたのか……


何のネタかと言うと、メサルギア……じゃなくて「メタルギ○ソリッド3」のとあるシーンです。はい……

すいません……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←是非とも、気にいってくれた方は押していって欲しいです。 コメント絶賛募集中。よかった感想欄等にご記入して下さると幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ