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45 調査団のご一行


 空は夕暮れのオレンジ色に染まり、辺りは徐々に暗くなってくる。街の灯りがポツポツと灯る中、既にランプで明るいギルドに入ると……


「うげっ……」


 カイトが入ったとたん、おもむろにそんな事を言う。


 ギルドの中には既に沢山のハンターがいて、受け付け付近にたむろしているからだろう。しかし、(何故か)ギルドの真ん中の受け付けにいる、交易場のお姉さんと、左端の受け付けにいるおっちゃん(バズ)、列に並ぶハンターや酒場にいる人達は、一言も喋らずにある一点に注意を傾けている。


 カウンターに並ぶ列が、途中で曲がっている場所。ハンター達が少し距離をとっていて、話し声が聞こえる方向だ。俺達も見るためにギルドの奥に入ると……


「──で、その時に居合わせたハンターと、後に出した調査班も何も見つけられ無かった……と」「はい──」


 そこには、全身を銀色に反射する金属質の甲冑を全身を包み、青いマントを付けて腰に剣を携えている。まるで中世ヨーロッパの騎士みたいなやつが四人。二列になってキチっと立っている。

 そして、その四人より一歩前に出て、レイナさんと話しているのが一人。そいつは他とは違った、鋭角の少し派手な兜で赤いマント。一回り大きな剣を携えている。リーダーの証の様な物なのだろうか。

 全員の兜が頭全体を覆っていて、顔の所は縦の隙間が4,5本あるだけなので、顔は分からない。

 にしても、全員デカイな……


「そうか……状況は把握した。調査開始は明日の早朝からだ。では」


「ご協力感謝します」


 レイナさんが頭を下げるなか、騎士はマントを翻し、きびきびと歩いてギルドを後にした。他の四人もカチャカチャと金属音をたてながら、それに続いてギルドから出ていく。

 そして、騎士達の姿が闇に消えた瞬間。ギルド内は喧騒に包まれた。



∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



「なんだよ、お高くとまりやがって」「ああ、本当だ」「いけすかねぇ……」


 ギルド内の男達はそんな事を言いながら、それぞれ自分達の行動を再開する。


「レイナさんが頭下げてんだ。なんとか言いやがれク○野郎」


 そこまで言う必要あるのかよ……

 レイナさん方はふんっ。と鼻をならしてからギルドの一番右のカウンターに戻って、受け付けを再開する。

 俺はその様子を見ながら、カイトに訪ねる。


「なんだったんだ?」


「……王都から派遣されて来た、調査団の奴らだろうさ。大方、到着の報告と事実確認にでも来たんだろう」


「へぇ……」


 あれが王都って所から来た人達なのか……

 あんな装備だと、調査団と言うより討伐団に見える。


「ま、そういう話は後だ。それより……なんでこんな人多いんだ?」


 ギルド内は人で沢山。

 3つある受け付けにはそれぞれ……ではなく、中央の交易場お姉さんの所に約二十人。右端のレイナさんの所も二十人ほど。左端のバズの所は……三人ほど。……偶然では無いだろうな。


 とにかく、昨日のこの時間帯より人が多いのは確かだ。二回の酒場の方にまで人が沢山いる。


「おかしいな……第一ウェーブはもうちょい後のはず……」

「そうですね……第一ウェーブがたまたま早起きだった、とか?」


 第一ウェーブってなんだよ。ウェーブって。


「そんな事無いでしょ。早く起きたら、家でゴロゴロしてる筈よ」


 ダメダメだな、この街のハンター。


「とにかく、早く来るハンターが増えて来たのなら、それなりにハンターの来る時間帯が分散して、良いことだとは思いますけど……」


 そうだな、レイナさん凄い大変そうだったし。いつも一気に来るからキレていた。


「明日はもうちょい早く来るか……じゃ、先に酒場で待っていてくれ。クエスト完了報告してくる……」


 そう言ってカイトは迷わず、一番長い真ん中の列へ……

 レイミーが直ぐ様、カイトを引き留める。


「人を待たせている。という事をお忘れずに。それに……」


 レイミーは横目で、ツンっとしているイリーナさんを目で指す。

 これ以上仲が悪くならないようにするためか……優しいな、レイミー。


 しかし、カイトのほうは無言で「へっ?」という顔をしている。……やっぱバカだ。次の瞬間。ムギュウという音が足元から……踏まれてるな。


「イデデッ!!」「とにかく早くしてください……」「わ、わかったからっ!」


 逃げるように左端の列へ……レイミーの優しさがバカのお陰で台無し。

 レイミーは小さなため息をついてカイトを見送り、酒場の方へ。


「先に酒場で注文して待っていましょう……」


「あ、ああ……」


 なんかレイミーが可哀想になってきた。

 


∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



 酒場の空いているテーブル席に座り、メニューから選び、それをレイミーがまとめてウエイターのお姉さんに注文してくれた。カイトも直ぐに帰ってくる。


「取り敢えず、受け付けは済ませて来たぞ……」


 カイトがそう言いながら席につく。今日はレイミーが真ん中なのは、言わずもがな。そして、レイミーの努力を無に還す事を言う。


「隣のお姉さんが良かった……あんなじいちゃんじゃなくて……」


 俺だって分かるぞ、その気持ち。接するなら美人さんの方だ、っていう考えは俺もある。でも、イリーナさんが一緒のテーブルにいるこの場面で言うという行為は愚かだ。

 というか、イリーナさんという(ひと)がいるというのに、なんでそういう行動に走るのか……


 レイミーは額に手を当てている。イリーナさんの顔に表情はない。どうしたものか、この状況。

 すると、凛が唐突に


「あの王都の人達、カッコ良かったな……」


「えっ!?」


 あんなゴツゴツの甲冑野郎共がか!?


 不意にそんな事を聞いて、変な声を上げてしまった。

 周囲のテーブルの人達の視線まで集める。


「あ、あんなのが好きなのか?」


「……うん。ああいうの着て戦ったりするの、憧れるし……どうしたの?」


「い、いや……」


 てっきり無機質な男が好きなのかと……

 変な勘違いをしてしまった……恥ずかしい……


 すると、カイトがニヤニヤしながら俺をつっついてくる。


「おぉ?一体何を勘違いしてたんだ?」


「……」


 さっきまでバカの心配をしていた、俺が馬鹿だみたいだ。

 睨んで手を引っ込めさせると、タイミングよく。


「おまちどうさん!!ポッカレイの照り焼き定食!」


 ウエイターさんが料理を次々と運んできた……



∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗



 ボリュームたっぷりな肉料理を食べ終えて一息。

 俺は気になっていた事を、水を飲んでから口にする。


「そういえば、あの王都から来た調査団の人達。レイナさんが呼んでから来るまでにあんま時間かかってないみたいだけど、そんなに王都って近いのか?」


 レイナさんが王都に連絡したのは、行った奴らが帰ってきた、昨日の夜辺りだろう。


「いや、速い馬車で休み無く走っても、10日程かかる距離です」


 え……


「じゃあ、どうやって……」


「この(アデネラ)の領主の館に、大規模転移魔方陣が組まれていまして、王都の城と繋がっているのですよ。だからある程度の魔力さえあれば、王都と領主の館を一瞬で往き来する事ができるんです」


「へ、へぇ……凄いな……便利だな……」


 魔法ってヤバいな……テレポートができるのか……ゲーム的に言うとファストトラベルが。


「でも大型で、造りやすいものではありませんし、そこしか往き来出来ませんけどね」


「わ、私も使ってみたいです!!」


 凛は目を輝かせながら、身を乗り出してレイミーにそう言う。

 レイミーは少し驚きなが凛を諭す。


「いや……国や街自体に関わる様な、重大な事に関わる者。しかも基本的に王の使いか、貴族の人しか使えませんよ?」


 夢の移動システムあっても、簡単に使えるって訳じゃ無いのか……


「そう、ですか……」


 声をすぼめて腰を下ろすと、小さな声でぶつぶつと……


「(そ、そうか……私がこの街の周りのモンスターを絶滅させて、王様に表彰されるようになれば……)」


 ……なんか凛が危険思考になっているが、止めた方が良いのだろうか。狩るのはまだ良いが、絶滅はヤバい。生態系壊す気かよ……


「明日から活動開始らしいな。王都から派遣されて来た奴らだから、何か掴んでくれると良いんだが……ま、俺が気にする事はないか。メシも食い終わったし、さっさと風呂にでも行くか……」


 既にギルドは、いっぱいいっぱい。ギルドの受け付けの方も、酒場の順番待ちの列も長くなってきた。


「そうだな……あっ……」


「ん?どうした?」


「いや、銀行に用があって。閉まる前に行きたい」


 住民登録の書類を、銀行に取りに行かなくてはならない。しかも今夜、家主さんの所にも持って行かないといけないし。危うく忘れる所だった……


「そうか……じゃ、先行って待ってるぜ」


「分かった」


 夕飯の代金を払ってギルドを出て、カイト達と別れ俺と凛は銀行へと向かった……




 









 

 






中途半端でしたね……

やっぱり1日に何話か掛かってしまう……

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