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あの、FPSゲーマーですけど。ジャンル違うんですけど。  作者: きょーま(電傳)
第1章 この街で生きていく!(仮)
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37 二体とは……


 

 森を駆けながら、先頭のレイミーにカイトが話しかける。


「こんな所でラージコボルトにちょっかい出す奴。見当つくか?」


「いや……ここら一帯だとラージコボルト以外は……グレシャーウルフが万が一ここまで来ているという可能性も、生命反応の大きさから見て無いとは思うのですがっ……」


「チッ……また変なことをっ……」


 倒木を飛び越えつつ、レイミーが更に足を速め、それに続いてカイトのスピードを増していく。カイトとレイミーが、焦っているのがひしひしと伝わってくるようだ。

 ……あ、あぶねっ!俺も慌てて飛び越える。

 

「……なぁ!!本当に大丈夫なんだよな?」


 サバイバルナイフで、垂れ下がるツタを切り裂きながら俺も問いかける。


「確証はありません!それを確かめに行くのですから!」


 するとイリーナさんが、ふと


「……ラージコボルトと同じくらいの大きさって……まさか……」


「それは無いと思いますが……」


 えっ……なにそのフラグ。


 ……今更思い出したが、俺って出来るだけ面倒事には突っ込んで行かない(FPSでも同じ)主義だったんだが……まぁ今回はいいか……

 テキトーにそんな思いを胸にしまって、俺も全速力で走り続けた。



***********



「はぁ……はぁ」


 能力があってもそろそろ限界が来そうなんだが……結構走ったぞ……

 300メトラ=300mだとしても、既に着いていてもおかしくないはずなんだが……

 しかし、カイト達はともかく凛も大して疲れていないようだ。……FPSのキャラってそんな貧弱だったかな……それとも、俺のチート能力への慣れが遅いだけか。

 能力があっても元、帰宅部ゲーム派FPS部門所属。とにかく、そろそろムリです。


「な、なぁ……まだコボルトの所に着かないのか?」


 マジで……もう……ムリ……


「……3体揃って、僕達から逃げるように移動しています……偶然だとは思いますが……」


「チッ……運わりーな……」


 カイトが愚痴をこぼした時、木と草だらけだった視界が開け、草原に出た。どうやら森の中にポッカリと空いた原っぱのようだ。

 そこそこ広そうだが、先は隆起していてここからは見通せない。


「距離は?」


「250メトラ先に3体とも止まっ……ッ!」


 レイミーが急に足を止めた。俺たちも慌てて止まる。……助かった……じゃ無くてどうした?

 レイミーは眉を潜め、険しい顔になった。


「ラージコボルトの生命反応が……もう……」


「それって………」


「限りなく、死に近い……瀕死かと……」


 カイトも険しい顔になる。


「他の二体は?」


「まだ近くにいます」


「……上級ハンターとして、この件は見過ごせねぇな……すまないが、風吹(フブキ)(リン)ちゃんはここに残ってくれ。俺とレイミーだけで行く」


「そ、そんな」


 凛が抗議しようとするが、カイト左手で制し


「……これは異常事態だ。駆け出しを巻き込む訳にはいかねぇ。来ても良さそうだったら合図するから、残っててくれ……イリーナ。ガード頼めるか?」


「勿論よ。……ほら、凛ちゃん。そのあいだに魔法のお話一つして上げるから」


「分かりました……」


 凛は渋々引き下がった。……昔よりは少し成長したか。


「そいじゃ……ちょっくら見てくるわ」


 カイトさっきとは打って変わって、軽い感じでそう言い、レイミーに続いて草原を走って行った。




*****************



 それから数分。草原と森の境目の木に寄りかかって、イリーナさんが凛に魔法の話をしている……てっきり凛に魔法を教えるのかと思ったら、まさかの、あの伝説の魔法使いの話の続きだった。俺も隣の木の根に腰掛けて休む。


 すると、白い光の珠がレイミー達の向かった方の空に上がった。きっとレイミーの魔法だろう。

 イリーナさんがそれを見て


「……来てもいいって合図ね……行きましょう」


 凛を先頭になだらかな坂を越え、平原が見渡せるところに出ると、遠くの方にポツン。と黒い塊と、その横に身長差のある人影が2つ。

 凛に続いて小走りでそこに向かうと、徐々にその黒い塊が何かが分かってきた。


 間もなくしてカイトとレイミー二人と……体の至るところが、あらぬところに曲がり、捻られたラージコボルトの所に着いた。仰向けに横たわったコボルトの体には、無数の深い切り傷も見え、赤い血がドクドクと流れ出ている。


 思わず目を逸らしそうになったが、相変わらずカイト達は冷静に観察し、凛は驚きともなんとも言えない顔で凝視している。……ほんと、皆よく見てられるな……


「な、なぁ……コイツ……」


 なんとか目を背けずに見ていると、僅かながら胸が上下している事に気がついた。


「ええ、まだ息があります………このままでは辛いでしょうに……」


 そう言ってレイミーはサラリと、鞘から小太刀を抜いた。ラージコボルトの犬のような大きな顔は、苦しそうな顔をしており、虚ろな目はどこも見ていないないかのように見開かれている。

 この時ばかりは、人に危害を加える、俺達が狩る対称でしかないと思っていたモンスターも、少しばかり可哀想に思えた。

 

 カイトとイリーナさんが目を逸らし、俺も微動だにしない凛の頭を強引に回転させてから目を逸らすと、シュンっと小太刀が命を絶つ音と、鞘に小太刀を納める音だけが、草原に響いた。



*************



「痛みを、出来るだけ感じ無いように切りましたよ……」


 レイミーがそうい言って一歩下がる。


「いつになっても……命を頂いてる仕事だって事を忘れんなよ……これは上級者ハンターとして教える事と、俺から教えたい事だ。……ちょっと早くなっちまったがな……」


 少し照れくさそうにカイトがそんな事を言い、後頭部をポリポリ掻きながらしゃがみこんで、傷口などに顔を寄せて観察し初めた。レイミーも同じように調べ始める。

 ハンターも、ただ単にモンスターを狩りまくってるワケではないのか……

 ……これからはいつものカイトと、ハンターとしてのカイトを別人として扱おうかな……


 しかし、色々調べようとしていたカイトはすぐに立ち上がって


「……ダメだ。俺は専門じゃねぇからよくわかんねぇわ。レイミーは?」


「僕もダメですね。素人じゃとても……」


 レイミーも立ち上がり。再度険しい顔になった。

 あ、すっかり聞くこと忘れてた。


「なぁ。ところで他の二体は?」


「あ?ああ。言うの忘れてたな……それが……」


「『消えた』んです」


「「「えっ!?」」」


 俺と凛。イリーナさんが同時に声を上げる。

 イリーナさんがすかさず


「レイミー、ずっと探知魔法使ってたんでしょう?」


「それがですね……目視で確認する前に僕の探知範囲から消えまして……」


「外側に行ったんじゃなくて?」


「ええ……反応は僕の探知限界距離よりの50メトラ余裕がありましたから……それなのに途中でフッと反応が消えまして……」


「そ、そんな事って……」


 イリーナさんも黙って考え込み初めた。


「再度掛け直したのですが、反応も無く…………とにかく。原因不明です。ですが、今は何処に行ったのかではなく、重要なのはその二体が共にこのラージコボルトを襲って、瀕死に追い込んだということです」


「……それにざっと見た限りじゃ、こりゃ殺しきれなかったんじゃなくて、あえて途中で離したって感じでもあるからな……」


 再度検死していたカイトも立ち上がり、そんな事を言い出す。


「とにかく、すぐにギルドに報告しなくては」


「……そんなにか?」


「ええ、ここらは初級ハンターも訪れる場。正体不明のモンスターが出没するとなっては、初級、中級ハンターにとっても十分危険ですからね……」


 なるほどな……


「そうね……じゃあ一応これでクエスト完了だし。戻りましょう?」


「そうだな。俺がこのモンスターをさっきの場所まで運ぶ」


 コイツ運ぶのか!?……凄いな……


「そしたら回収班をもっかいよんで、街にもどるか……」


「わかった」「分かりました」



**************



 そこからはカイトがさっきの場所にラージコボルトの死体を置いて、回収班を呼び、麦畑の横を街の方向に向かってひたすら歩き続けた。

 急いで伝えるためだろう。流石に走りはしなかったが、行きの時よりもハイペースで歩いて行く。


 そして体感で一時間ほどして、街の城壁に大分近づいてきた時にカイトがふと


「あ、そういやぁ。今日大剣とかの練習出来なかったな……どうしよう」


「そうですね……フブキさんの弓の練習も……一応?」


 やんなくても大丈夫だと思うが……俺は一人で銃を撃つ練習でもしたい所なんだが……まぁ凛の練習もあるしな……今回は見送るか……

 するとカイトが


「……家の庭でやるか?」「いいんじゃない?それ」


 武器の訓練って家の庭でやるものなのか?

 そんな事を思いながら大きな門をくぐり抜け、皆で街へと入って行った……


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