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あの、FPSゲーマーですけど。ジャンル違うんですけど。  作者: きょーま(電傳)
第1章 この街で生きていく!(仮)
34/75

33 もう驚かない

ごめんなさい!遅くなりました、短くなりました……そして今回は説明会です。完全に。


今回、この小説を初めて読む方へ。


 誠に勝手な話しですが、出来れば一つ前、(32)の話から。試しに読んで欲しいです(今回、説明以外皆無ってレベルなので……)……………頼みます……

ラージコボルト(以下Lコボルト)の死体そばにて──


「……私の……防具が……グスッ……」


 血まみれの(リン)が、泣き出しそうな顔をしながら小さな声でそう言う。……最初にこの服着た時、あんなに嬉しそうにしてたからな……結構気に入っていたのだろう。


「うわ……ヒデーな……」


 カイトが心のないことを言い、レイミーとイリーナさんがカイトを睨む。凛の方は、服を気にしていて耳に入っていない。

 

 凛に付いている血は、勿論Lコボルトのものだ。胸元をざっくり斬られたLコボルトの下から、皆で凛を引っ張り出した時には(すで)に遅し。まぁ当然の結果か……あんなにカッコよくコボルトを倒した凛に、目も当てられない。


 そうゆうのに慣れているはずのカイト達も一瞬、引いてしまうほどだ。………当然、慣れていない俺のほうは盛大に引きかけたが、凛が可哀相なのでなんとかこらえた。

 

 ……というか凛。服よりも顔とか体のこと気にしようよ……マジで血だるまって感じでヤバイぞ……


「だ、大丈夫よ。早く洗えばなんとか……」


 そう言ってイリーナさんが杖を出して何かを唱え始め、淡い青色に発光しだす。……また魔法かな?


「スプリングス・ウォーター……」


 イリーナさんが最後にそう言うと、回りの芝生から水の球が次々と湧き出すように出てきた!

 それが凛の周りを取り囲み……


「……トルネード!!」


 イリーナさんがそう大きな声で言うと、水が一気に集まって渦のようになり、凛の取り込んで回転し始めた!!


「おっ、おい……」


「大丈夫よ。軽く水で流してるだけだから。空気が通る所も作ってあるし」


「そ、そうですか……」


 ……大丈夫そうには見えないんだが……まるで凛が洗濯機にかけられているみたいだ。

 少しすると回転が止まって、水が全部凛の足元に吸い込まれていった。

 ……凛の方は……一応顔とかその他肌の血と、髪の血は完全に落ちているようだが、服のほうは赤色を薄めただけになっている。


 いきなり丸洗いされて、目をパチクリしている。ビッチョビチョだが……まぁ、血よりはましか……すると


「凛ちゃん。動かないでね……風吹(フブキ)君も近寄らないように……」


 そうイリーナさんが言うと、また詠唱を始める。今度はイリーナさんの体の周りが、赤っぽく光りはじめた……まさか……


「トルネード・フレイム!!」


 そう大きな声で言うと、ボッ!!と瞬時に炎の壁ができて、凛を取り囲む形になるとまた高速回転し始めた!!


「……」


 もう口をあんぐり開けて見ているしかない。

 間もなくして炎の渦がパッと霧散して、カラッと乾いた凛が出てきた。


「り、凛……大丈夫か?」


 目を白黒させている。


「ごめんなさい。怖かった?」


 イリーナさんも一言断ってからやればいいのに……一応焦げてはいない様だが……


「う、うん……大丈夫……そ、それよりも……」


 凛がイリーナさんに詰めよって……


「……さ、さっきの魔法。教えて下さい!!」


 目を輝かせながらそう言った。

 イリーナさんは少し戸惑い


「べ、別にいいけど……難しいわよ?けど、それよりも……」


 その台風みたいな髪の毛を直してからな。



**********



 「さて、それでは昨日出来なかった。モンスターの素材回収についてですが……」


 そう言えばそんなのあったな……昨日はカイトとイリーナさんが、死体を木っ端微塵にしたから出来なかったんだった。


「既に説明は受けていると思いますが……こちらを」


 レイミーがポケットから、俺達もレイナ《受付お姉さん》さんから渡された、青い宝石を取り出す。


「使い方も習いましたか?」


「いや……」


 そう言えば「通信してくれ」としか言って無かったな……


「はあ、レイナはこれだから……そうですね………説明しますと、厳密に言うとこれは通信石では無くて、一方的に位置情報を知らせるだけの魔法石なんですよ」


 へ、へえ……


「簡単に言えば通信石の下位互換のような物です。だからこうやって……」


 レイミーが右手で宝石を握り、手の甲を上にする。そして手の甲を左手の人差し指で十字を切るように動かすと……

 レイミーの指の隙間から、青い光が漏れだしてきた。どうやら石が光っているようだ。

 ……そろそろ耐性がついてきたぞ……もう何が起きても驚かないぞ……すぐに光は無くなった。


「──はい。今やったようにすれば、いつでも回収班に位置情報を送る事ができます。実際。今回収班を呼びました」


 へぇ~


「わかった……」「わかりました」


 原理(魔法)は理解不能だが、意外と簡単に出来るもんなんだな…


「これって何処でも使える物なのか?制限とかも」


「基本的に何処でも使えますよ。洞窟や水中でも……ただ、特定のダンジョンの様におかしな魔力が流れているような場所や、近くで特定の属性の魔法が使われている所では使えませんので……」


……へぇ、ある意味GPS(全地球無線測位システム)よりは優れているんだな……


「……まぁその様な場所には普通行きませんけどね……そんな状況に陥る事は、よっぽどの高難度クエストくらいでしょうから、気にする必要は無いと思いますが……」


「そうね……私達も一回くらいじゃない?そういう事になったの」「そうだな……でもあん時、高魔力線中和魔導機あったからあんま気にしなかった気が……」「そう言えばそうだったね……」


 イリーナさんとカイトが訳の解らないことを話しだす。


「……ほら。二人とも過去の話はいいですから……とにかく、今は気にする必要は無いということです。ではこれから使用にあたっての注意を──」



************



「と、いうことです……」


「なるほど……わかった。気を付ける」「私も。大丈夫です」


「そうですか。では、自分達で使う時は、先に言った事をよく守って──」


 レイミーが丁寧に教えてくれた事を要約すると……

 

1.必ず、モンスターが死んでいる事を確認してから呼ぶ。

2.周辺に危険なモンスターがいないかを確認する。いる場合は、安全な場所まで移動し、そこで呼ぶ。

3.尚、それでも回収班に危険が及びそうな場合は回収班を呼ばず、自分達で運ぶ。それも不可能な場合は自己で焼却処分等をする事。

4.回収班到着後。回収不可能な場合は罰金が発生する可能性がある。


 ということらしい。


「──今回はこのままでも大丈夫そうなので呼びました……」


「……なぁ……回収班って何処でも来るのか?」


「ええ。何処でも」


「へぇ……」


 こんなデッケェモンスターを運ぶのか……大変だな……


「それじゃあ……回収班も呼んだことですし、他のコボルトを探しましょうか……」


 五人揃って再び歩き出した……



 

 


 

 



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