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あの、FPSゲーマーですけど。ジャンル違うんですけど。  作者: きょーま(電傳)
第1章 この街で生きていく!(仮)
33/75

32 伊達に引きこもりゲーマーじゃない

遅くなりました。そして今回は自信作……ではなくて自信話!!


「ど、どこだ!?見えねーぞ!?」


 カイトがピョンピョン跳ねて、レイミーが指差した方向を見る。


「今は地面を掘り返しているとことですよ……」


「なんで分かるんだ?」


 麦はレイミーの背丈より高いし、背の高いカイトからだって見えていないのに……


「気配察知の光属性魔法をですね……」


……なんじゃそりゃ


「す、凄い……」


 凛が魔法と聞いて目を輝かせる。


「チェッ……先に教えてくれればいいのに……」


「てっきり、とっくに気がついているのかと」


「……恥かいたじゃねぇかよ……」


 自信たっぷりに「あっちにいるはずだ!!」って言ったからな。


「動いたな……」「林の方に向かってますね……」


 確かに……麦をかき分ける音が森の方向に移動していっている。なおもカイトとレイミーは相談し続ける。


「……やるか?」「僕達も畑を荒らすことになりますよ?」「そうか……」


 じーっと五人揃って身を低くし、麦畑の端を見ていると……出てきた。ここから目測50メートル先。麦の間から、ぬっと姿を表したのは……


「あ、あれは……」


「ラージコボルト。スモールコボルトをそのまんまデカクしたような奴さ。ちっとはスモールよりも、知能と戦闘力が高いけどな」


「へぇ…」


 ほぼ真っ黒な体毛の人柄の生き物。頭はさながら犬を不細工にしたような形をしている。体格はあのゴーズキ程では無いが、それでも筋肉が隆起しているのがここからでもわかるし、身長は俺より少しデカイ……大体180センチ位だろうか。図太い両腕の先には、尖った長い爪のついた手がくっついている。


「……お腹いっぱいで森の巣に戻る所ですかね……」


「そうだな……周りは警戒してないみたいだし……(リン)ちゃん。後ろからザクッと斬れるか?」


「え?いきなりやらせんの!?」


 いくら能力高くても、いきなりそりゃないだろう……


「いや、昨日の練習を見てた限りじゃ、俺はイケると思う。二番の突撃。出来るか?」


 凛は少し迷ったようだが……


「……いけます!!」


 自信たっぷりにそう言った。……マジか……

 凛を引っ張って、耳元で小声で話す。


「(本当に大丈夫なのか?)」


「(うん……手応え良かったし、結構扱いに慣れたと思うし……)」


「(ゲームとは違うんだぞ。本当に大丈夫か?)」


「(大丈夫……信じて)」


「(……そうか……)」


 凛が真っ直ぐと俺の目を見てそう言う。……仕方ない……


 凛を離して、カイト達の方に向き直る。


「……安全なんだよな?」


 すると、カイトが眉をつり上げて


「あ?ハナッからハンターに安全なんてねぇよ。ただ、どれだけ事故を減らせるか。それだけだ」


「……」


……確かにその通りかも知れない……けれども……


「心配すんのは分かる。けど、このまま俺が殺ったって、大して意味は無いぜ?いつまでもビクビクしてたんじゃ始まんねぇ。俺達が全力でサポートするから、俺は(リン)ちゃんにやらせる」


 そう言うとカイトが大剣を鞘から抜いた。


「私も」


イリーナさんは右手上に、小さな火の球と水の球を浮かべる。


「僕も」


 レイミーは小太刀を抜刀する。


「あ、ありがとうございます」「……俺からも……ありがとう」


「ほら、そんな事言ってないでとっとと行った方がいいぞ。森に入ったら厄介だ。危ないと思ったら迷わずこっちに帰って来いよ?」


「はい!」


 凛がラージコボルトの方に駆けて行った。


「気を付けろよ~!!」


 俺もそう言って、さりげなく。ベルトに挟んだSAAリボルバーのグリップに手を添えた……



************



 現在、ラージコボルト(以下Lコボルト)はノッシノッシと、麦畑から山岳方向の森に歩いている。

 凛が、Lコボルトの視界に入らないように、麦畑すぐ横を颯爽と駆けて()く。スイッチが入ってゴーズキに突進した時よりは遅いが、それでも十分に速い。途中で直角に折れ、Lコボルトの真後ろから詰め寄る形になった。


 Lコボルトとの距離はみるみる縮まっていくが、Lコボルトはまだ凛の存在に気づかない。ゆっくりと歩くLコボルトは麦畑と森の間の平原。

 凛はさらに距離を詰め、残りLコボルトとの距離10メートル程。凛は走る速度を変えず、背中に肩の上から手を回して大剣の柄を握り締めた。


 残り……5メートル……

 凛がそこのまま大剣を抜刀して、振り被ったまま突撃する。


 すると、Lコボルトもそこまで低能ではなかったのだろう。凛の足音か何かに気が付いたのか、歩く足を止めて凛の方向に振り返った!!


「チッ……流石に気づくか……」


 カイトが舌打ちをして、自分の大剣を握り直す。俺も思わず、銃のグリップを強く握ってしまう。


 すぐにLコボルトは状況を察知し、「グゥオオアォォォッ!!!!」と盛大に吠えて威嚇する。ここまで空気が揺れるのが伝わってくるほどに、うるさい。


 凛は怯まず、更に距離を詰め大剣を振り下ろす体勢に入った。すると、Lコボルトの方も、己の鋭く尖った、長い爪の生えた手を振り上げた!


「おっおい!?」「(リン)ちゃん!」


 俺もイリーナさんも声を上げ、イリーナさんは火球を大きくして、俺は思わず銃を引き抜きそうになる。

 しかし、カイトとレイミーは俺とイリーナさんを手で制止しながら冷静に、


「……イケる……」「いけます……」


「グゥオオアァァッ!!!」


 Lコボルトがその凶悪な爪で凛を引き裂こうと、手を振り下ろして来た!!だが……凛のほうが速い。


「でりゃぁぁああああッッ!!!!」


 凛も負けじど、思いっきり声を張り上げ……コボルトの爪が届く前に、凛の振り下ろした大剣が胴体を右上から斬り裂いた!!


「グッ!グゥゥォオオオッッ!!」


 Lコボルトが振り下げ損なった右腕で斬られた跡をあてがい、唸りながら凛から数歩後退りする。傷口を手で押さえてはいるが、コボルトの出血量は凄まじい。このまま倒れるか……と思われたが……

 今度は大剣を振り下ろしきって、無防備になった凛の背中に尚も攻撃しようと左腕を振り上げた!


「クソッ!しぶとい奴め。イリーナ!!レイミー!!」


 カイトがすぐさま指示を出し、イリーナもレイミーもそれぞれ赤と白に発光して攻撃体勢になった。

 俺も心の中で舌打ちをする。


……チッ。ヤバいじゃねぇか!!クソッ俺がまた狙撃銃で……でもカイト達が……………


 ……構うものか。天界規定がどうした。人の目がどうした!護るために、凛について来たんじゃないのか!?迷っている暇はない。今が緊急事態だ!

 自分にそう言い聞かせながら懐中時計を取り出し、リクエストオーダーをしようとするが……


 「信じて……」


 ふっ、と凛が真剣な顔で、俺にそう言った事を思い出した。一瞬、リクエストオーダーと言いかけた口を閉じてしまった。

 ………すると、凛の方から……


「させるかぁああッッッ!!」


 凛がそう叫び、物凄い勢いで振り下ろした大剣を、そのまま上に振り上げた!!

 ドゴォォォォッ!!大剣の縁がコボルトの下顎に炸裂した!!さながら大剣のアッパーカットだ。


 「ゴッッ……グハァアアッッ!!」


 Lコボルトは最後にそう口から漏らし、硬直したまま両膝をガクッとついて動かなくなった。


 見守っていた俺たちは、攻撃しようとしていた腕を止めた。


「殺った……のか?」


「……生命反応は消えました……完全に殺りましたね……」


 凛はすくっと真っ直ぐ立ち直り、大剣をブオンッと振って、血を払った。

 ……か、カッケぇー……

 凛はそのままこちらに振り返って、


「や、やった……やったぁ!!」


 凛が嬉しそうにピョンピョン跳ねて喜ぶ。


「スゲェじゃねぇか!!」「よくやりましたね!」「凄いわ!!」


 そう言ってカイト達が凛の方に駆け寄って行った。

 ……モンスターぶっ倒して喜ぶ美少女って……ま、いいか。本人がそれで喜ぶなら。

 苦笑しながら、カイト達と一緒に凛の方に向かって駆け出したが……


「「「「あっ……」」」」


 俺たちは顔面蒼白になって足を止めた。


「えっ?どうしたの?」


 俺達が急に止まったので、凛が戸惑いながら俺達の事を見る。

 レイミーが恐る恐ると凛の後ろを指差して……


「う、後ろ……」


「えっ?後ろ?…………わっ!わぁああッ!!」


 凛が後ろに振り向いた瞬間。膝立で死んだ、血だらけのコボルトの死体が凛に向かって倒れ……


「助け………」

 

 凛の姿がLコボルトによって完全に見えなくなった。


「「「………」」」


「………は、早く退けろぉ~!!」


 俺がそう叫び、(みんな)我に帰って凛の元に駆け寄った……












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