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29 「「ZZZ」」「……」

先にことわっておきます。今回主人公の視点が一切出てきません。

ストーリー進行上必要なのでご了承下さい!

**************



 「おーい。聞いてるか~?」


 懐中時計に喋りかけるが、二人からの反応がない。


「なぁ。明日からのことを……」


 すると私以外、誰もいないはずの仕事部屋で…


「わっ!!」


 突然女性の声があがる。


「わああ!!」


 いきなり両肩を捕まれ、思わず椅子から少し浮いてしまった。

 ……誰かはわかる。メイロさんだ……


「い、いきなりおどかさないで下さいよ!!……それにまだ交信中ですし……」


 メイロさんが「やれやれ……」とジェスチャーをする。


「もう二人とも寝てるわよ?」


「……へっ?」


「当然じゃない。二人とも疲れてるんだし、それにもうこんな時間よ?」


 言われてみればそれもそうだな……それにしてもメイロさんはなんでも知ってるのだろう……

 そう疑問に思いながら水盆に波を立たせ、懐中時計の摘まみを引いた。


「ほらほら。今日のお勤めは終了!私の他に誰もいないんだし、むさ苦しい格好変えなさい……」


 ……むさ苦しいって……


「べ、別に嫌いとかそういうわけじゃないわよ!?!」


 メイロさんが手と首をブンブン降っている。……まぁそう思うのも仕方ないかもしれない。そう思わせる為にあえてこうしたのだから……

 そっと首のペンダントを明け閉めして、自分の体が光に包まれて元に戻る。


「……く、暗い顔しないでよ!?嫌ってるわけじゃないから!」


「……大丈夫。気にしてないから」


「そ、そう……」


 メイロさんはそれっきり何も話さず、テーブルを挟んで私の正面の椅子に座った。部屋には壁掛け時計の動く音だけがなり響く。……メイロさんは何を話しに来たんだろう……何かこちらから喋りかけるべきか……

 そう思っていると、メイロさんが先に口を開いた。


「カイト君達が風吹君と凛ちゃんを教育するみたいにだけど、どんな感じなの?二人は」


「……そうですね……」


 メイロさんのならとっくに把握していると思うが……上司の務めと言うやつだろうか。とにかく、全て話そう。


()人達・・とは違って、早く異世界に馴染んできている感じがしますね……確証は無いですけど……でも、それはとても良いことだと思います。能力に慣れるためにも、この世界で生きて行くためにも」


「そう……あなたがそう考えるなら、それでいいと思うわ。」


「ただ、私の仕事が今のところ……異世界の案内役は一応私なので……」


「いいのよ。今はカイト君達に任せましょう?無理に色々教え込もうとしなくてもいいのよ。きっとすぐにあなたの出番が回って来るはずよ」


 メイロさんはそう言って優しい顔で微笑む。

……他の人が言っているのなら、あまり信用出来ない言葉だが……メイロさんが言うなら確かなのだろう。


「わかりました……適度にサポートします」


「もう……前から言ってるけど、そんなに固くならなくていいのよ?」


「は、はあ……」


 ……いくら親しい友であったとしても今は私よりずーっと偉い上司。昔のままではいけないのだが……


「ま、順調そうで良かったわ……」


 そう言ってメイロさんが立ち上がって背もたれに掛けていコートを羽織る。


「あ、あの……いい忘れてましたけど……もう1つ」


「どうしたの?」


「その……カイト達が教育係だと非常に不安なのですが……今日もそうでしたし……」


 今日のクエスト様子とかを見ていても、相変わらずの様だったし……それに昨日だってゴーズキなんか引っ張り出しちゃって……


「……腕は確かですけどね……でもその他が……」


「……大丈夫じゃない?きっと三人とも成長してるでしょ……たぶん……」


 メイロさんがたぶんを使うのは珍しい。つまり「それほどまでは……」ということだろう。

 私はあの様子を見れば成長度0だと思うけれど……


「まぁ……しばらく見守ってあげましょう?そこをサポートするのもあなたの役目よ?」


「わかりました……」


「とにかく、頑張ってね。それに、それもどうにかしなさいよ……じゃ、おやすみなさ~い」


 そう言って金の懐中時計片手に、メイロさんはこの部屋からいなくなった。

 今日もいまいち、何をしに来たのか分からなかったな……さてと。書類整理をして寝ようかな……


 上質な羊皮紙を机の引き出しから出し、下敷きをひいてインクと羽ペンを出す。……風狙風吹(かざねらふぶき)君はっと……既にざっくりと行程などは書いておいた。

 峰薪凛(みねまきりん)ちゃんも同様だ。

 

 タオレ荘→ギルド→クエスト→ギルド→交易場→銀行→タオレ荘→ギルド→商店街(道具屋、服屋、カフェ)→ギルド(酒場)→カイト宅→風呂屋→タオレ荘


 …他に後は細かい事も色々ズラーっと書いておいた。後は付け足しだけ。

 えーっと……接触者、協力者等々……


『協力者。友人関係構築中。 カイト・セトゥル……』


 あ……ここは『セトゥル』じゃなくて『セーヴェン』でいいのかな……サラサラと書くべきところを埋めていく。

 それにしても……


「アイツに任せて……大丈夫かなぁ……」


 ため息混じりにそうぼやき、再度、報告書制作に取りかかった……





**************





「ハーックション!!」


「……どうしたの?風邪ひいた?」


 かわいいピンクのパジャマを着たイリーナが、そう言って俺のベットの上を這って近寄づいて来る。


 ちなみにここは俺の寝室で俺とイリーナのベットがそれぞれ置いてある。……ピッタリくっついてるから実質、ダブルベット1つみたいなもんだが……

 今は魔法ランプは消えており、寝室の明かりは窓からさす、月の淡い光だけだ。


「いや……きっと誰かが俺の噂してる……」


「こんな夜中に?」


「……う~む~……あの酒場の姉ちゃんかな……そういやぁ金返してねぇし……」


 するとイリーナが頬っぺをプクーっと膨らませ、ベットに膝立ちになって両手を腰にあて


「もう、またそうゆうこと言ってムード壊す!」


「いや、ムードもへったくれも無いだろ……」


 というか、何かと言葉を履き違えていると思うんだ……


「……そ、それは……とにかく!風邪ひいてそうなら私が一緒に寝てあげる!!とにかく寝るの!」


 ………なぜか、イリーナは何かとつけて俺と一緒に寝たがる。別にそうゆう意味があるわけではない。ただ純粋に、一緒に寝る。それだけだ…………本当だぞッ!


「ほら、布団暖めといたから!」


「う、うん……」


 ……これは5年程前、俺とイリーナがこの街に来てからずっとの事だ。

 最初は……そりゃあもう脳ミソ沸騰して心臓爆発しそうになって、俺の俺がああっーってなって、どうしていいかわからなかった。今はもう慣れたもんだけど。


 何度か「その……なんか思わないのか?」と聞いて見たことはあるが「え?お母さんと一緒に寝るのと、同じような感じじゃない?」と平然と返すもんだから俺も「お、おう……」と返す事しか出来なかった。


……なぜこんな事をするか、俺には未だに分からない。でも……


「ほらほら!」


 イリーナがパタパタと布団を叩いて呼び込んでくる。……思わず、見惚(みと)れてしまいそうな笑顔で……


「はいよ……」


 取り敢えずイリーナの左側に寝そべると、掛け布団を引き上げて一緒の布団に入る。


「暖かいでしょ?」


「ああ……」


 いい感じに(ぬく)いです。

 それに布団は一人用。イリーナと完全に密着した状態だ。イリーナの体温もなんとなく伝わってくる。……慣れたと言ってもやっぱり緊張して、自然と鼓動が早くなる。


 すると、イリーナが身をよじって俺の方をに体を向けてきた。しかも俺の右腕を抱き締めた。あ、あのーっ!胸当たってますよーっ!! ますます鼓動が早くなる。 


「もう、なんでいっつもブスーっとしてるの?」


 体を動かさずに横目でイリーナの方を見ていると、俺の眼を見つめて問いかけてきた。


「い、いや……ちょっと緊張するからな………」


 今この体勢で、上目遣いで見つめられていると特に……


「緊張するの?」


「あ、ああ……」


……やっぱりイリーナにはそうゆう概念がないのだろうか……これだからお嬢様育ちってのは……


「なあ……お前、もうちょっとでいくつになるんだっけ?」


「……今年で二十歳(はたち)だけど……」


「……なんで一緒に寝るんだ?」


「……そ、それは……」


 暖かいとか、そうゆうのは十中八九嘘だろうし……そうゆう系の意味が無いとしたら……


「寂しがり……?」


 再度横目でイリーナの顔を見ると


「………クカー。グースカピー、グースカピー」


 と、目を閉じてわざとらしくイビキをかいている。

 ……かわいい奴だ……


「あーあ。寂しがり屋さんは寝ちゃったし、俺は自分の布団に戻るとするか……」


 俺もわざとらしくそう言うと、イリーナがギュッ!と俺の腕を抱く力を強めた。


「か、カイトが寝るまで私起きてるから……」


「あれ?寂しがり屋さんを認めるのかな?」


「ち、違うもんっ!!」


 そんな風にいろいろ言い合っていると、隣の部屋の窓が開く音がした。

 ……ん、レイミーが戻ってきたな……

 すると、隣のレイミーの部屋から


「──明日はいつもより早いから早く寝てくださいよ……それに二人の会話、窓から洩れてます……」

 

 と、小さく声が聞こえた。


「は、早く寝ようか……」「そ、そうだね……」


 顔を真っ赤にして 俺とイリーナは急いで寝るべく目を閉じた……

 



 

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