25 夜ご飯と……
今回もあまりストーリーが進んでない気が……
そして少し短くなりました
ギルドの中に入ると……
「受け付けのお姉さんが言ってたこと。マジだったんだな……」
「本当だ……」
「ま、いつもの光景って感じだな……最近はこれでもマシになってきてる方なんだぜ?」
「少しもマシになってる様には見えませんけどね……」
「そうね……」
ギルドの中はハンターでごった返し、受け付けには長蛇の列が二本できあがっていた。
ギルドの受け付けのでは凄い勢いで羽ペンを走らせ、判子をボンボン押して猛烈に受領証を捌いているお姉さんが見える。……スゲェ……ん?もう一列の方を担当しているのは……あれ、交易所の受付嬢じゃないか?
様々な武器や防具を装備したハンターの
「先に酒場の席とっといて~」「荷物置いてきてくれ~」
などといった大声が飛び交っている。中には
「まだかぁ?」「早く~腹減ったぁ~」「急いでくれぇ~」
なんて声も聞こえる。……自分たちのせいでしょうが……
すると受け付けのお姉さんが
「あんた達が揃いも揃って遅いからでしょうがぁああっ!!」
と叫びつつ、作業スピードが更に上がって行く。……騒がしいな……
しばらくその様子を眺めていると
「──風吹~!こっち~!!」
酒場の奥の席から凛が手を振っている。
「へいよ~」
カイト達の座ったに長テーブルの席に向かった。
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レイミー、カイト、イリーナさんと、長テーブルを挟んで俺と凛が並んで座ると、すぐに酒場の美人店員さんが来た。
「ご注文は?」
「僕はドードーの唐揚げ定食を」「……俺は日替わりで……」「私はロースロースステーキを」
……なんじゃそりゃ?しかもカイトが一瞬固まった気がする。
「……じゃあ俺も日替わり」「……私も……」
「以上で」そう言うとお姉さんはカウンターの中に入って行った。
凛がギルドの受け付けの方を振り替えって
「……受け付けのお姉さん大変そう……」
と呟く。
「……ま、日が沈んだからな……沈んだばっかりだからこれからまだまだ増えるぞ」
「うわぁ……可哀想……」
同感だ。美人さんだし手助けしたいのは山々なんだけど。「もっと分けて来いやぁああ!!」と猛烈に受領証を捌いているのを見ていると、自分なら死んでしまいそうなので控えることにする。
「もっと分散してくりゃあいいのになぁ……」
「この風習は結構昔からって私は聞くけど……」
風習って……
「ええ、誰がこんな事を初めたのかは知りませんけどね……相当代々の受付嬢の方々に恨まれてますよ」
そりゃそうだろ……お姉さんを見てればわかる。
「誰なのかな……」
「さあ……その人が「あれ、この時間帯にクエスト受けるって、理にかなってんじゃね?」ってなってから他の皆が「おお~確かに」ってなって、皆どんどんこんな感じになって」
「その人達が新人を教育するときに、一緒にそれも継承されていく……と。そんな感じで今に至る。と言ったところですかね」
「完全に負の連鎖だな……」「うわぁ……」
よくこれまで、こんなんで回って来たな……
「……チリア山に結界を張った奴と同じだって説があるぜ?」
「む!あの偉大な人はそんな人が困ることしない!!」
「なんでソイツ肩持つんだよ!」
「そんなことはなーい!!」
カイトとイリーナさんがあーだこーだ言い争っている内に、お姉さんが次々と料理を運んできた。
「……もう二人とも二十歳過ぎているのに……いつまでも子供みたいな……」
レイミーがそんな事をぼやく。
本当にどっちが年上かわかんなくなってきた。
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今日は緑色のハンバーグと、パン。色とりどりの葉野菜の盛り合わせのセットだった。普通に旨い。イリーナさんは牛肉ステーキのような物を食べ、レイミーは赤色のチキンみたいなのを食べ始める。
皆黙々と食べていき、完食して一段落したところでレイミーが切り出す。
「……それでは、明日からの流れについて話し合いましょうか……今日は狩の場がどんなものか、というのを体験してもらうために中級の高めのクエストを受けましたが──」
どちらかと言うと一方的な虐殺に近かったが……
「──明日からは本格的に狩というのを実践して貰うために中級で一番簡単なクエストを受ける予定です」
「わかった」「分かりました」
「……ま、実際っつても試し斬り程度な。中級をいきなり受けるんだし」
「リンちゃんならけっこう軽く出来ちゃうんじゃない?」
「そ、それは……」
スッ転んだ実績がある。まぁ今日やってた基本の素振りを見てた限りじゃけっこう出来そうだけど…
「それは明日になってからのお楽しみという感じですかね……それにフブキさんの弓の練習もありますし……」
「……え?フブキ、マジで使うのか?」
「当然ですよ。適性があるんですから……そうでしょう?」
「え、あ、まぁ……」
一応ね……一応。あの魔導具とやらの判定じゃ『極少』って出たけど……
銃火器ばっかりのゲームやって来た俺にとっては、弓なんて原始的な武器は無縁だと思っていたが、思い直してみると実は使っていた。
まぁ例を上げればB○だとかC○Dだとかに、ネタ武器的なノリで出てきていたから、一応極めたことがあったのだ。一応ね。本当にネタ扱いされてたけど、俺が使えば無双武器になった。全然楽しく無かったから直ぐに使うの止めたけど。やっぱり銃が一番だったからな。
とまぁそんな感じでFPSで使っていたので、弓の能力がしっかり俺の体にあるだろうから、少し練習すれば│照準が直ぐに合うようになるだろうし、100発100中当てられる筈なんだが……
能力の測定結果が遠距離攻撃武器適性『極少』ときたもんだ。
「使えんのか?」
「……使っみれば分かる」
そうしか言えない。
「その通りです。あくまでも機会の測定値。実際やれば分かりますよ」
「ああ……明日は頼む……」
というか俺。正直弓とか使いたく無いんだけど。あんなのチマチマピュンピュン射ってる暇があったら黙ってアサルトライフルぶっ放しとけって感じなんだが。当然俺と凛以外にいない時にね。じいさんには悪いけど。
ま、人の目がある時の武器としてはちょうどいいかな……
「ところで、どのくらいの間クエストに同行してくれるんだ?」
「まぁ一週間はみてるけど……明日、明後日でどんくらい出来るかで判断するかな……それでいいんだよな?」
「ええ、それが一番でしょう」
「よし、じゃあそれで決まりだな」
一週間かぁ……慣れるのには充分かな……
「(私は1日2日で完全に慣れると思うけど……)」「(それはゲームだけの話だろ…)」「(……そうかなぁ……)」
能力があったとしても戦闘術とか体力とかそういう系統だけだろう。体を動かすのは初めてだし、メンタルとかはきっと変わっていないだろうからそれも鍛えなきゃいけないな……
「……ありがとうな」
「ま、当然の義務を果たしてるだけだ。気にすんなよ」
カイトがそんな事を言うと、レイミーとイリーナさんがジッとカイトの方を見る。
「カイト。お金儲けがどうとか言って無かったっけ?」
「言ってましたね」
カイトがギクッ!となる……おい……
「そ、それはだなぁ……改心したんだよ。改心。あん時は、その……口が滑っただけだからさ……な?」
……なんの弁解にもなって無いぞ……
するとレイミーとイリーナさんが急に笑顔になり
「そう、それは良かったわね~」「ええ、ホントに良かったです」
二人はゾッとする撫で声でそう言った後に席を立ってカイトの腕を片方ずつ掴んで強制的に立たせた!…………え?
「ちょっとお話したい事があるの~」「僕からも話したい事があります。フブキさん達は少々お待ちを」
そう言うと二人でカイトをグイグイ引っ張って、カイトの足をズルズルと引きずりながらギルドの出入口に向かった……
「えっ!?ちょっ!?!まっ!!??」
ギルド中のハンター達が静かになってカイト達に視線があつまる。関心の無さそうな、受け付けお姉さんの羽ペンを走らせる音だけがに聞こえる。
「たっ、助けてぇ~!!」
カイト達の姿が入り口から消えた。
「「「「「「「はぁ……いつもの光景だ……」」」」」」」
ギルド中の人々がため息混じりにそう言うと、またさっきのように騒がしくなりだした。
「こ、怖かった……」「そ、そうだな……」
イリーナさんあんな風になるとは思わなかった……
今回ばかりはカイトが可哀想……にならなかった。もう知らない。




