19 昼休憩は、バカ発揮
「それにしても…この時計の動力源はなんですか?ゼンマイ式だとしたら最新技術ですけど…」
ゼンマイが最新なのかよ…
「たぶん…ゼンマイじゃないと思うぞ。…貰い物だしよくわからない」
貰ったときに色々いじくり回したが、ゼンマイを巻くためのものは特に見当たらなかったし。
「…魔法石を動力源にている魔導具タイプですかね…それだと尚更凄いのですが…その類いの気配は感じないのですが。…もっと何か…違う物を感じる気が…」
え?なに?
「そう?私は何も感じないけど…」
何の話をしてるんだ…
「…なんでそんなに興味津々なの?」
すると当然。という顔で、
「そりゃそうよ、私達の街にはあんまり最新の機械とかがあんまり入ってこないのよ、田舎だから。みんなこうゆうのには興味津々よ?レイミーは元々機械好きってのもあるけどね…」
「…僕は元々王都出身ですから……」
…田舎の人というのは、普通こんな感じなのだろうか…
東京からほとんど出たことの無い俺にはよくわからない。
更にレイミーが時計を鑑定?して…
「…ひょっとしたら魔光石を動力源に使ってるのでは?」
「えぇ!だとしたらもっと高価な物よ!?」
え?この時計そんなに高いの?天界製だからかな…なんか召喚とか通信もできるし。
「なんか光属性を感じる気がするんですよね…」
…なんか色々解析されてるけど大丈夫か?
「…本当にそうだったら……土地付きで王都に大きな家が建てられるわよ…」
「いったいどの家の出身なの………」
レイミーとイリーナさんが一歩後ずさる。…やめてくれよ……迂闊に時計出すんじゃなかった…
どう切り返そうか迷っていると。
「……まぁ人には聞かれたくない事を人間なら一つや二つあるでしょう。変な詮索を掛けた私たちが悪かったんです。これ以上は気にしませんよ。」
「……それもそうね…ごめんなさいね。質問攻めみたいになっちゃって」
そうゆう言い方はよしてよぉ…確かに人に聞かれちゃまずい事はあるけどさぁ…
「あ、あやまらなくていいですよ…」
「いいのよっ、秘密の一つ二つ持ってたって。よっと……じゃあ見張りに行ってくるわ」
そう言うと杖だけ持って川の方へ歩いて行った。
変な勘違いをされてしまった…
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今度はレイミーが俺の隣にちょこんと座ってサンドイッチを食べ始めた。
イリーナさんはなぜか、右手に長い杖を持ったまま川ぶちにしゃがみこんで川が流れて行く方ジーっ見つめている。
「…ねぇ、イリーナさん何やってるの?」
「見張りじゃないですか?」
川しか見ていない気がするが…レイミーが言うならそうなのだろう。カイトと凛は未だに遠くの方で大剣をぶん回している。
にしても……俺さっきから何もしてねぇなぁ……別に自分の意思でハンターになったわけではないが、これから生活していく上で必要なことだ。それで折角色々してもらえるのに何も出来ないのは流石に気まずい…というかなんというか…
「なんか…すまないな…ついてくだけで…なにもしないで…」
レイミーが少し驚いた顔をしたが、すぐに少し嬉しそうな顔で
「別にいいんですよ、ハンターなりたてで何も出来ないのはよくあることです。気にせずとも、そのうちに役立てるようになりますよ。」
「そう…なのか」
「それに上級者が初心者にハンターの全てを教えるのは当たり前のことですよ。助けてもらった借りもありますしね。一人前に狩りができるまでとことん教えてあげますよ。」
「…ありがとう」
そうゆうものなのか…俺も何か使えそうな皆の前で武器の使い方の一つでも覚えたいところだが…銃を堂々と使うのは気が引けるしそもそもじいさんのほうが許さないだろう。
「まずは使える武器を探さなきゃな…」
このナイフしかないし、はっきり言って使えない。
「そうですね…」
兵器類をポンポン召喚して使う気でいたが、よくよく考えれば流石に謎の武器(魔導具とか言われそうだが)をいきなり召喚して、遠距離から一方的にモンスターを虐殺するのもあれだろうし…手元のサバイバルナイフは論外。そもそも俺には剣の才能は欠片も無いなんて測定さてたし、能力に含まれているであろうナイフ等々を使った対人近接戦闘〈CQC〉くらいしか出来ないだろう。
投げナイフくらいはできそうだけど…そんなんじゃ、やっていけなさそうなのは俺でもわかる。
…なんか俺の才能と能力がクソ役にたってない気が…銃が無いと俺はダメなのだろうか。どこからともなく湧いたオートマ(自動拳銃)とSAAは保留だ。
クソっ…天界規定ってなんだよ…
レイミーが紅茶を一口飲んで一息おくと
「弓系統の武器を使うのはどうですか?適性は一応あるようですし。」
一応、ね…極少らしいけどな…
「…弓…ねぇ……」
「僕もある程度使えるので基本くらいならお教えする事はできますけど」
「そうなの?じゃあ…よろしく頼むよ」
なんとなく銃のような、遠距離攻撃武器の弓を使うことになるのでは思っていた。
「その…弓って強いのか?」
「そうですね…やはり、近接攻撃しか出来ない相手に、遠距離から一方的に物理攻撃を加えられるのが強みですかね。」
やっぱそれだよね。
「威力もそこそこありますし、熟練の方なら一人で殲滅したり仲間が近接攻撃をしていても的確にモンスターにだけ当てて援護できる方もいるらしいですけど…相当ハードルは高いですね。あと魔法を乗せて射る方も…」
もう…魔法とかわからん…
はたして適性極少らしい俺が持って使い物になるかどうか…
「…大丈夫ですよ、弓は慣れが大事とよく聞きます。一からやれば適性が低くてもしっかりとした戦力になりますよ。」
「ん、わかった…やってみるよ…」
「では僕が明日弓矢を持ってくるので、使い方を一から教えますよ」
「ありがとう…」
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それからしばらく無言で紅茶をすすりながら、カイトと凛の練習を眺めている。
「───おーし、基本の動作はこんなもんだ。にしても短時間でここまで出来るのはスゲェぞ。よし、取り敢えずここまでにしておこう。ちょっと遅いけど昼飯だっ!!」
「…はい──」
そんな会話が聞こえたと思うと、大剣を背負って二人がこちらへ歩いてきた。
「ん、やっと終わりましたか…」
カイトは途中で小走りになると、大剣を風呂敷の横に投げてスライディングするように「メシだメシだ~!!」突っ込んできて…レイミーの構えた盾に頭を強打した。
「勘弁してくれよぉ…」「落ち着きがないからです。」
安定の流れ。
カイトが座り直してる間に凛も来て、風呂敷に座った。
凛は汗をかいて暑そうだ。
「凛、紅茶飲むか?」
紅茶を注いだコップを差し出す。
「うん。紅茶?……ありがとう。」
凛が紅茶をグイグイ飲んでいる間にレイミーがバスケットを配る。
「今日のお昼ご飯です。どうぞ。」
「おっ、今日はサンドイッチじゃねぇか!俺の好物ばっかりだぞ。いっただきまーす…」そう言うとサンドイッチにがっついた。
「ありがとうございます。」
凛もバスケットの包みを広げると…
「わぁ…美味しそう!」
目を輝かせている。
引きこもりゲーマーでも、女子らしくこうゆうのに反応するんだな…
「イリーナさんのお手製だってさ。すごく美味しいぞ。」
「へぇ………凄い…」
二人がサンドイッチをモシャモシャ食べている間に、「ちょっと行く先の下見をしてきます。」そう言い残すとレイミーは小太刀と小盾を持って、川に点々とある岩を軽く乗り移って、川の反対岸の方の森の奥まで行ってしまった。
イリーナさんは…何やってるんだ?今度目を閉じて杖を持っては川べりに立ち、川の方に向かって空いた右手をつきだし、何かを持つようにゆっくりと上に上げていく。すると…
「なんか…すげぇ…」「う、うん…」
なんと、川から数本の水柱が上がってきた!
「イリーナさん何やってるの……」
「あ?ああ、見張りながら遊んでるだけだぜ…っと…ごちそうさん。」
遊んでるって…
そう言うとカイトが空になったバスケットをポシェットに突っ込んで、イリーナさんのところにソロリ、ソロリと凄くゆっくり歩いて行った。
なにする気だ?あの牛歩じゃ時間かかるだろ…
「……なぁ、大剣の手応えどんな感じだった?」
「あんまり好きな武器種じゃないけど…まぁあぁいいかも。なんかセンスがいいって言われたし、極めるまで頑張ってみるよ」
なんか。で極めるんかい…完全なる引きこもりゲーマーの性。時間がありあまりすぎて武器を全部極めたくなるのだろう。……俺も暇だから全武器種極めたけどね。
「…そうか…それならよかった。頑張るのはいいけど、あんまり焦んなよ?」
「うん…」
凛はこうゆうことになると周りが見えなくなることがあるから一応言ったのだ。
凛としばらく無言で、カイトの超低速歩行とイリーナさんの出す水柱を、紅茶を飲みながら眺めていると、とうとうカイトがイリーナさんの一歩手前まで近づいた。すると…
「わっっ!!」
カイトがいきなりイリーナさんの真後ろで大声をあげ、
「キャッッ!!」
イリーナさんが驚いて、魔法が切れたのか身長の三倍ほどになっていた水柱が、一気に崩れ落ちた。『ザッパーン!』
当然凄い量の水が一気に水面に叩きつけられたのとおなじなので…
「うわ…「ビッチョリ…」」
「うえーい、またしてもやってやったぜ~」「こらぁーー!!!!」
カイトが逃げ回るのをイリーナさんが水の球を引き連れて追いかけ回す。
野球ボールくらいの水の球をポンポン乱射しているがカイトが「やーい」と回避する。
「こらぁ!大人しく当たりなさい!」
びしょびしょの髪をと杖を振り回しながら追いかける。
「やなこった!」
華麗なステップで全て避ける。
子供かい……すると…
『グワシャァァッッ!!』『ブワシャァア!!』「うげェッ!」
小さな逃走劇はレイミーのエルボーとイリーナさんの水の球によって幕を下ろした。




