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12 「Zzz」


「コルトSAA…」


 アメリカで最初に開発されてから100年以上経っている名銃……といっても時代遅れなリボルバー。

 ハンマーを二段階上げてシリンダーを回転させると、6発装填されているの確認出来る。


「こっちは…Mk22か?…これは……」


 こちらもアメリカ製………確か製造されて50年程の筈。発射音を極力抑えるために、亜音速特殊弾とサプレッサーを使う。スライド音も抑えるために強制的にスライドを固定される使用だ。サプレッサーは最初から付いていた。 

 マガジン(弾倉)を取り出してみると、なんだこれ…………ダーツ?

 一発引き抜いて窓の月明かりに照らしてみると、ダーツに「Zzz」と水色でプリントされていた。麻酔弾だろうか。


そんなことよりも何でベルトに……天界からそのまま持ってきた訳ではないだろう。じいさんには全部没収されたし、そもそも拳銃といえども所詮は銃。ある程度かさばるし、重いからずっと入れていたら気が付く筈だが。

 いったいどのタイミングで………そもそもナゼあるのかもわからない。


「ああー面倒だ。明日だ明日………」

 

 窓際の棚の引き出しに二丁を突っ込む。

 すると…


「ん……風吹?」


 凛がベットから上半身を起した。


「あ、ゴメン………起こしちまったな」


 凛が首を横に振って


「そんなことないよ。私眠れなかっただけだから……」

 

「なんだ、明日からが楽しみなのか?」


「うん。それもあるけど……いろいろ不安になっちゃって」


「なにが?」


 喋りながら、俺はソファーに寝そべる。


「私昔からこうゆうのに憧れてて、これからがすごい楽しみなんだけど。でも……風吹はあんまり行く気じゃなかったのに、私が行くならって……」


 なんだ、そんな事を考えていたのか……


「別に、凛が行きたい世界に俺も行ってみたいって思っただけだよ。それに、凛一人だと心配だし」


「……私ってそんな危なっかしいかな」


 現に、モンスターに向かって無謀にも突っ込んでったじゃないか。まぁ、言うと怒りそうだから口には出さないが……

 

 そうだな、これからの異世界生活は一体どうなることやら……


「そういえば凛。学校行ってるか?」


 ビクッ!となった。

 行ってないな……


「こ、こ、高校は……その……」 


「行ってないんだな」


「そ、そうなの。………ごめん」


 だよなぁ……

 実は凛、中学生の頃も若干不登校ぎみだったのだ。

 俺が頑張って卒業できるくらいまでの出席日数分は連れていったが、高校に入るときは離ればなれ。自分からは学校にいかない凛が、一人で学校に行くはずがない。


「もう二学期後半だぞ……」


 ま、この世界にいる以上関係の無いことだが。


「……ごめん」


「別にいいよ……俺が一緒に居れなかったのも悪い」


「相変わらずお人好しだね……」


 はは、全然そんなことないぞ。


「それよりも、中学は卒業できたか?」


 凛が中三の二学期の時、急に家庭事情で離ればなれになったからわからない。


「一応、風吹のお陰で卒業は出来たけど……」


「そうか、それは良かった……」


 完全に、履歴書中卒だな……


「まぁ、この世界に来たお陰で、学校に行く必要が無くなったから高校とかどうでも良いんだけどな」


 ぶっちゃけ俺もずっと引きこもってゲームしていたい。一応高校と大学は行くつもりだったが……どうでもいい。


「ま、凛といて楽しければ。それだけでいいよ…」


 ……流れにのって変なこと口走ってしまった。少し恥ずかしい。


「ありがとう。一緒に来てくれて」


「ん……どういたしまして」


 ちょっと照れるな……


「………寝よっか」


「そうだな。おやすみ」


「おやすみなさい……」


 二度目のおやすみを言って、今度こそ俺と凛は眠りに着いた……



*************



─時は少し遡る─



「──おやすみ……」


「おやすみなさい」


 テーブルの上の自分の懐中時計から二人の声が聞こえる。


「ウム。また明日」


 そう告げると、向こうからランプの消える音がした。

 自分の懐中時計の横のボタンを押し、テーブルの上の水盆に波をたたせて水面上に映る地図を消す。


「ふぁ~疲れたぁーーー」


 椅子から立ち上がって大きく延びをする。

 ここは自分の仕事部屋兼自室。そこそこ豪奢であり、高級感溢れるゴシック調の木製家具が沢山並んでいる。


「……」「……」


「……ん?」


 懐中時計から微かに音が鳴っている。

 まだ何か話しているな。聞こうと思ったが……


「これ以上聞いているのも、野暮かな……」


 時計上部の摘まみを引いて音を消した。

───さて、資料を整理したらもとに戻って寝るかな。そう思ってまた椅子に座り直すと……


「こんばんは~」


「わっ!」


 いきなり私の上司。メイロ・フェーンが肩をポンと叩いてきた。


「一体いつからそこにいたんですか?」


「ついさっきよ。どう?一日目は…」


「一応予定通りには行ってますけど…」


 モンスターの遭遇は予想外だった。一応結果オーライだが…

 二人の人格を思うと少し先が思いやられる。


「大変そうね…」


「はい…」


 やっぱりメイロにはお見通しのようだ。


「…今回は失敗しちゃダメよ?絶対に。」


「はい。」


 自分のせいなのだから。全て…あの世界をあんな風にしてしまったのも…


「…ほら、暗い顔しないの…というかあなた、いつまでそんな格好してるの?」


「ん?あっ、ああ…」


 懐のペンダントの蓋を開けて閉じると自分の体が光に包まれてもとに戻った。


「……そろそろそれ、どうにかしなさいよ?」


「は、はい…」


 私の心中を察したのだろう。それ以上は何も言わない。

 少々の沈黙の後…


「いい?もう一度言っておくけど。今回、失敗は許されないわよ。慎重にね。」


「……はい」


「ほら、元気だしてっ!全部あなたのせいって訳じゃ無いんだから」


「はい……」


「もう……元気だしてよ」


 そう言うと、背もたれの後ろにまわって私の髪を優しく撫でてきた。


「はやく治しなさいよ?あなたの気持ち、解らなくもないけどいつまでもそのまんまじゃダメよ。私、悲しくなっちゃう……それに、私に敬語は使わないこと。昔っからの仲なんだから」


「……うん」


「そういえば彼の前に出たときに、そのままみたいだったけど……どうしたの?」


「いや、あれは事故で……」


「彼、あなたに…」


「え?」


「あ、ごめん。なんでもないっ」


 なんだろう……

 するとメイロが話題を変えてきた。


「今日一日はどうだった?二人は」


「まぁ、普通に街の人達と交流出来てるようで……」


 あまり普通の人とは交流してないが……


「そう、それは良かったわ。それにしても、いいコンビになるかもね」


「そう……ですかね」


 片方は自分勝手。片方はおっちょこちょいだけど……


「相当強くなる筈ですが……」


「彼、結構男前ね……」


「はいっ!?何を……」


「冗談よ」


 メイロがフフっと笑っている。


「でも、実際そうじゃない?凛ちゃんが行くから心配だって、自分も行くことにしたんでしょ?」


「そうですけど…」


 確か資料には『超絶的に自己中なことがある』と書いてあったが、そんな人が本当に……

 あ、そう言えば昼の事を報告しなければ。


「その……今日の昼に私の監督不行き届きで、風狙君が召喚を……」


 どうしよう……天界規程ギリギリを、メイロさんがどうにかしてあの条件下で使えるようにしたのに……

 まさか一時間近くで破るとは思わなかった。下手したら総議会行きになるかもしれないというのに。


「え?ああ……昼の事ね。あれなら大丈夫よ」


 へっ?


「言ってたでしょう?『出来るだけ』使うなって。今回は緊急事態だったから多目に貰えるわよ」


 上にそんな文句が通用するのだろうか。


「大丈夫よ。大丈夫」


「そ、それならいいんですけど……でも、やはり彼が心配です……」


「兵器召喚の事?」


「それもありますけど……最高神(さいこうしん)様の今回の人選の理由が解りません」


 地球で言う「プロゲーマー」とやらを開花させると相当な戦闘力を持っているのは知っているが、彼はどうやらこれまでの人とは違うらしい。


「だって魔法適正は無し。剣とかは全く使えず、出来るのは対人近接戦闘のみというのは果たして……」


「召喚とか、他にもいろいろあるだろうし、なんとかなるわよ。彼言ってたでしょう?」


「簡単に行くとは思えないんですが…」


「きっと……最高神様にも何か考えがあってこの二人組にしたのよ」


 本当にそうなのだろうか……

 メイロは自分の金色の懐中時計を取り出して


「あら、長居しちゃったわね。私はもう帰るわ。じゃ、おやすみなさい」

 

 そう言うとメイロは白くて長い髪を揺らしながら、部屋の中央に現れた光の柱に吸い込まれていった。


 一体何をしに来たのだろう……

 首をかしげながら資料と報告書の整理に取り掛かった……




 



 

いや、銃が現れたからって縛りプレイは続行ですよ?





それと今回、途中で視点が変わりました。


私の文章力のせいで…誰の視点?となっている方々に教えますと。


懐中時計の向こうにいる人の視点です。はい、分からなかった人には謝ります。すいません。




ちょっとでもこれから読んでいきたいと思って頂けたら、またいつか超絶暇になったときに読んで貰いたいので……是非ブックマークを……(吐血)

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