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9 あ、こいつら…

 

大通、中央広場をへてギルドに入った。

 昼は気が付かなかったがランプが吊り下げられていたようだ。…火、なのかな?数のわりにはギルド中が明るい。

 酒場の方は夜ご飯を食べたり酒?の様な物をジョッキで飲んでいる人たちでいっぱいだ。


 俺と凛がギルドに戻ってきて何人かがチラチラ見ている気がするが…殆どの人はご飯を食べながら仲間と話しているようで気が付いていない。

 カウンターのほうは頬杖を着いたお姉さんだけだ。


 カウンターに近寄って行くとお姉さんはこちらに気が付いた。


「初クエストどうでしたか?」


「まぁ、何の支障もなく…」


「そうですか…」


 薬草の束を受け渡すとお姉さんはそれを抱えて奥のテーブルへと持っていった。……他に職員は居ないのだろうか…ぜんぶ一人でやってるみたいだぞ。現に今も薬草のカウントもやっている。なんか大変そうだなぁ…

 少しすると受付のドアの奥に持っていってすぐに戻ってきた。


「回復の緑草30本、攻転の赤草10本。計45本の薬草すべて確認しました。こちらが報酬金の5メガです」


 そう言うと革製のつり銭受のようなトレイの様なものに乗った金貨5枚をカウンターの上に置いた。


「ほう…」「へぇ…」


 俺と凛はトレイに乗っている金貨をまじまじと見つめる。

 これが異世界の通貨か…全体的にくすんだ金色をした円形の硬貨外側にはちょっと荒いが100円玉みたいなギザギザが入っていて、剣、盾とドラゴン?のような紋様が入っている。よく見ると右下に「1」と刻まれている。

 

「…あの、何か?」


 おっと、眺めている場合ではない。


「あ、いいえ。なんでも…」


 そそくさと自分のコートの内ポケットに硬貨を落とし入れる。


「そう…あ、そうだ。初心者の方達がおいしいクエストをもっていかれて嘆いていましたよ?」


「…俺達今日登録したばっかでずけどね。」


「それもそうですけど…せめて☆2くらいは…」


 凛の高い能力はあくまでも開花させただけであってすぐにフルパワーを出せる訳ではない。それは俺も同じ。


「慎重派なんで…そもそも外を歩く事にも慣れてないんで。」


「は、はぁ…」


 お姉さんは首をかしげている。

 慣れるまではしばらく超慎重に行かせてもらうよ。慣れるまではね…


 「さて、宿をとって来るか…」


 すると凛が俺のコートをクイクイと引っ張ってきた。


「風吹…お腹減った…」


「お、それもそうだな」


 もうちょいで七時半だ。先にそこの酒場で飯にするか…1メガでどれ程の物が買えるかわからないが…と、そこで…


「ふぁ~疲れたぁ~」「「…」」


 例の三人組がギルドに戻ってきた。



*********



 あの三人組が説教されてる時にフォローに入った二人も一緒に入ってきた。バカ大剣野郎を除いたみんなくたびれた顔をしている。


「…死体調査と回収だけで何があったんですか?」


 するとゴツい大きなおっちゃんが


「いやな、大して探し回る事もなく無事発見して回収したはいいんだが…戻ってくる途中にグレシャー・ウルフの群れとでくわしてな…ちょっと手こずった。まぁ粗方ブッ飛ばして撒いたが…」


「…そうでしたか…無事で何よりです。それで、ゴーズキのほうはどうでしたか?」


 微妙に酒場のやつらの意識がこちらに向いた気がした。


「ああ、それがな。見事に頭が吹き飛んでたよ。」


「(おおー)」「(ほんとだったのか…)」「(ゴーズキを一撃…)」

…やっぱり…騒がしくなる。「スゲーな…」

 オイ、張本人の一人がなんで混じってんだよ。大剣バカがこちらを傍観しながら座って水を飲んでいる。本当にバカ…いやクズか。

 一方紫ローブの小柄な司教男はそれに反して


「周辺には死肉に寄ってきたモンスターは居ませんでした。ゴーズキ、その他モンスターの二次被害もありませんでした。死体に生命サーチをかけましたがアンデット化はしていなかったのでそのまま回収してきました。」


…事務的な奴だな…


「そうですか…それならけっこうです。以後このような事にならないように努力してくださいね?」


 お姉さんが少し優しい声で告げた。

 あんなに怒ってたけど優しいなぁ…


「はい。日々精進します。」


 堅いな…若干お姉さん引いてるぞ。


「はいっ。以後気を付けて頑張ります!」


 魔法使いの人もちょっと気合い入りすぎ…

 大剣バカは…知らんぷりしている。


「クズだな…」「そうだね…」


 俺も凛もそう言わざるをえない。すると…

『シュンッッ!!』

 俺達の頭上を何か茶色い物が通過したと思うと。

『ボカッッ!』


「フギャッッ!!」


 お姉さんの投げたトレイがバカ大剣の脳天にクリーンヒットした。


「何てことすんだ!!」


 ……救いようが無い。



********


 おっちゃんが帰り際に


 「あ、そうだ。受付の姉ちゃん。ゴーズキの素材代金どうすんだい?ありゃあ相当な額になるぞ。」


 へぇ…あんなキモいのが?


「そうですねぇ…一応緊急避難の討伐でしたからね…無許可討伐みたいにギルドが全額没収することはありませんが。半分人為的な危険でしたから一部は持っていかれる可能性が無くも無いですが…」


 へぇ、複雑なんだな。


「そんなぁ…」


 バカ大剣がすっとんきょうな声をあげた…は?


「何言ってるんです?報酬は全て討伐したリンさん達に支払われるんですよ?何ちゃっかり貰おうとしてるんですか?バカですか?」


「ヒドイ…」


 お前の頭がな。


「「「「はぁ…」」」」

 

 仲間もおっちゃんもお姉さんも呆れてるぞ…

 と、そんな空気も無視してクズ大剣は『パンッ』と手を鳴らした。


「ま、そうゆうことで一件落着…また明日。」


 さらっとその場を後にしようとする。すると…


『メコッッ!!』


 司教男がバカ大剣をぶん殴り、雰囲気が一瞬変わった。

 さっきより低くて凄みのきいた声で。


「今、すぐに、戻、れ。」


 …こ、怖い…く、黒い…


 ヒイッ!そう叫ぶとビーンと戻って来て直立姿勢で固まった。

 えぇ~そうゆう上下関係なの!?!?凛も驚いている。


 司教男の雰囲気がもとに戻った。

 また物静か感じで。


「本当にうちのリーダーがすみません。昼の件に関しても深くお詫びさせて頂きます。危険なモンスターに巻き込ませてしまい本当に申し訳なありませんでした。」


「「すいませんでした。」」


 ま、ただのバカではなさそうだな…結果オーライだ。凛が危険な目に遭ったのはあれだがそれはほとんどこちらのせいでもあるわけだし。


「まぁ、別に気にしてないからいいよ。若干俺達のせいでもあるし…な?凛。」


「はい。別に大丈夫ですよ?」


「お許しいただきありがとうございます。」


 そう言うと深々と頭を下げた。

 律儀だなぁ…ちょっと苦笑していると。


「できれば何か御礼をさせてほしいのですが…」


 はぁ…本当に律儀だこと…まぁちょうどいい…


「じゃあ、お言葉に甘えさせて貰おうかな。夕食を一緒にどうだ?」


「はいっ。是非奢らして貰います!ではこちらに…」


 世の中まだこんな人が居るんだな。あ、そうか…ここ異世界の街だったな…


 そんなことを思いつつ俺と凛は空きっ腹を抱えながら三人組に着いて酒場へ向かった。


 


 



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