表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

チンアナゴの憂鬱。

作者: EKDA

また深夜テンションで書いてしまった。言い訳させてください。煽られたんです。よって私は悪くない。

 俺の名前はチンアナゴ。この名前は人間が勝手に付けた名前だが俺は結構気に入っている。「チン」て響きからは男らしさがにじみ出ているし、「アナゴ」なんてあの海のギャングだぞ?こんなに格好いい名前の生き物は少なくとも俺は見たことがない。


 さて、俺たちにそんな格好いい名前を付けた人間だが俺には奴等の心中がイマイチよく分からない。俺たちを捕まえると透明な海水の入った容器に入れやがった。すぐに食われると思ったがそんなことはなかった。ようしょく――よく鮭やら牡蠣やらがやられているやつだ――かとも考えたがそうでもないらしい。どうやら奴等は俺たちを見て楽しんでいるらしい。しかもそれだけでは飽き足らず、俺たちの形を模した「ぬいぐるみ」とやらも作っている。いったい魚を見ることの何が楽しいんだか……俺には理解できない。


 どうやら俺は「すいぞくかん」という所にいるらしい。ここには俺の他にも沢山の魚がいて、天敵がいない環境を自由気ままに泳いでいる。多少狭いが、命の安全が保証されるならそんなことはたいした問題ではない。それに俺たちチンアナゴはほとんど泳ぐことなく砂に埋まっているわけだから、ここはまさに天国だ。


 俺たちチンアナゴがいるのは他の魚たちがいる所とはかなり様子が違っているようだ。人間が話していることを聞くに、「みやげものや」というらしい。ここには魚の形をした物や絵が描いてある物が数えきれないほど置いてあり、人間たちは自分達で物を選び金属や紙と交換している。どう考えてもここに置いてある物の方が良さそうなのだが、紙をもらった人間はなぜか笑顔だ。そんな物をもらって何が嬉しいんだ。


 人間てのは本当に同じ生き物かと思うほどいろんなのがいる。


 俺がいつものように人間たちを見ていると、人間の雌の子供が親に連れられて、俺たち「チンアナゴ」のぬいぐるみの前で止まった。親は子供を連れて歩き出そうとしていたが子供の方はそこから動こうとせずにじっとぬいぐるみの方を見てたんだよ。心なしかぬいぐるみの方も子供を見つめているように見えたね。親は子供と少しの間話していたが、最後にはぬいぐるみと紙を交換した。あのときの子供の笑顔は魚の俺でも一瞬ドキッとするくらい可愛かったよ。そしてその笑顔にほんの少しでも俺が関係していると思うと少しばかり幸せな気分になれた。


 こんなこともあった。あれは秋の終わりが近づいてもうすぐ冬になろうとしていた時期だったな。俺たちがいるのはおきなわとかいう他の場所よりかなり暖かい場所なもんで寒さの苦手な人間どもはよくここに来ていた。

 人間の世界にはどうやら「がっこう」という場所があるらしく、この時期になると何百もの人間がここにやって来る。そんな大勢の人間の中で俺は一人の雄に目を付けた。そいつはたいして格好良くもないくせに雌を自分の周りに集め、ニヤニヤしている気持ち悪いやつだった。その男は小さなチンアナゴのぬいぐるみを手に持つとそれを人間の男性器にみたてて卑猥な動きをした。その時は腹が立って仕方がなかったね。そのあとそいつは周りにいた他の人間に唆され、持っていたぬいぐるみを買って紙や金属が入っている入れ物に結び付けると、立ち去った。俺たちチンアナゴを侮辱したあの男とそれを容認した周りの人間を俺は許さない。


 人間と関わっているとこんなふうにいろんなことがある。人間の行動は非常に興味深い。俺は近いうちに同じ容器内の仲間にいままで俺が見てきたことを伝えようと思っている。人間観察という娯楽の魅力は俺が独り占めするにはもったいなさすぎる。

シリーズ2本の方も書かないとですね。楽しみにしている方へ。ごめんなさい、ほとんど書いてません。気長にお待ち下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ