悪役令嬢がどうやら転生したようなので全力で邪魔しようと思う。
この世界がどこかの誰かに創られた世界だと知ったのはいつの頃だろうか、そしてこの物語の主要人物で、いつからその行動が本来の道筋と違うと気づいてしまったのは何でだろうか。
そいつはよく知らないが悪役令嬢で、この国の王子との婚約が決まっていたのに見に覚えのない罪で国外追放にされる哀れな貴族令嬢だとか。
「物語に逆行するとするその態度は面白い。なら俺は手助けをするのが普通か、とっ思ったが全力で邪魔しようと思うがどうだろうか」
俺は今までの経路を目の前にいるメイドに話してみた。
「ヘイト様、妄想も大概にしてください。それとも危ない薬でもやっているのですか」
これでも俺はお前の雇い主の子だぞ、それに向かってその態度は何だよ。
「妄想で薬もやってねー、それとその態度には俺がビックリだよ」
「お褒めに預かりまして光栄です」
おい、何で俺の両親は外見だけは綺麗で中身がポンコツなメイドを選んだんだ。確かに外見は大事だが、主人に対する礼儀がなってないぞ。中身も吟味するべきだ。
「綺麗だなんでありがとうございます」
今度はなに勝手に俺の考えを読んでるの、おかしくね。
「はぁー、もういいよ何かあったら呼ぶから。それまで待機な」
「その命令は聞き入れません、私は貴方専属のメイドです。いかなるときもご主人様から離れるわけにはいきません」
嫌だよ四六時中コイツが側にいるのは、一人になる時間ぐらいいいだろ。
「主人の命令は絶対じゃないのか」
「絶対ではありません、私は奴隷ではないのて。それともヘイト様は私が奴隷の方がよろしいのですか」
いや、お前の奴隷姿なんて思いつかない。そしてお前はメイドなのか。
「今までどうりでいい」
「そうですか、私はヘイト様が望めば貴方様の奴隷にでもなりますよ」
本当に奴隷にでもなるてもりかよ、俺は別にどうでもいいけとさ。
「ヘイト様は私のことを捨てるのですが」
見尻に涙を溜めてすがるような雰囲気を出すな、これが演技なのかそうでないのか分からん。だから女の涙は嫌いだ。
「捨てないか」
「本当ですか」
涙を溜めた瞳で俺を直視しないでくれるかな。
「本当だ捨てないか安心しろ」
「それでは一生ご主人様憑いて行きますからね、いいですか」
「分かった、分かったから」
面倒なメイドだなすがりつくような態度をするなよ、何だが悪いとをしているみたいじゃないか俺が。
「どこまでも憑いて行きますからね」
あれ、このメイド危険じゃないかと思ったが。気づいたときには遅かった手遅れだった、今までのワザとだろ聞けないくらいに。
機嫌は治ったが謎が多いメイドだ、両親はどこでこのメイドを見つけたのか心配になる違法な方法で雇ってなければいいが。
「私のことがきになるのですか。何でも聞いてもらってかまいませんよ」
「そうだな。後で何でお前みたいなメイドを雇ったのが聞いてみるわ」
「私自身のことは聞かないのですか、今着ている下着の色から何でも話せることは話しますよ」
「お前の下着の色を聞いて俺はどうすればいいんだよ」
やっぱりこのメイドはおかしいな、変だよ最初の頃のあの凛としたたたずまいが嘘のようだ。
「この姿が私本来の姿です、ちなみにご主人様だけにしか見せてません」
とうとう話さなくても考えを読んで会話が成立したぞ、どうなってだこのメイドの性能は。
「自慢ではないですが、一国と戦えるほどの戦闘力は持っています」
お前が言うと嘘に聞こえないよ、何その無駄に高すぎる戦闘力は何の役に立つの。
「ご主人様、いかなる敵からも護れます」
いかなる敵って何だよ、国でも乗っ取ろうとでもするのかなこのメイドさんは。
「望めば国の一つ二つは」
ヤバイよ目がマジだよ、本当にやりかなねいよ。
人間じゃない、メイドなんて言う別の生物に思えてきたよ。
「ご主人様それはいささかひどいですよ、私は人間ですよ」
当然のように考えを読んで話しているけどおかしいからね、普通はできないからね。
「ご主人様専属のメイドですからできるんよ、貴方専用です。何だからエッチな響きです」
顔を赤く染めるな近づいてくるな、息を荒くするな。
本当に外見だけはいいのに、何で中身が伴わないんだ。
「こんな姿を見せるのはご主人様と二人きりの時だけですよ」
もう、俺たちは何も話さなくても会話が成立するのが当たり前なのか。
「まあいいや、話は戻すが令嬢は確か王子との婚約が決まっている。シルビアと言う令嬢か」
「はい、そうです。調べたところ悪いお方とはお見受けできないのですが」
結局は調べてるのね、使えるのか使えないのか分からんメイドだ。
「そうだろうな、どちらかと言うと悪いのはこの国の王子だ」
「王子さまですか」
「調べてないのか」
「申し訳ありません。私が気になる異性はご主人様だかなので」
よし、無視して話を進めよう。
「この国の王子はだな、簡単に言うとこの国を滅ぼす」
「さすがにそれはどうかと」
信じてないな、そうだよな自分の国を自分で滅ぼすなんって思わないよな。それでもこの国の王子はそれをやりとげてしまう。ある意味天才だ。
「確かに信じられないのも分かる、やつがただの無能ならよかっものの魔族の領域を侵してしまう。それが火種だ」
まっ、この出来事で人間と魔族の戦争の火種になるとは思ってもないわけだが王子は。
「それは本当ですか」
「まだ、先の話だやつが国王なってからの話だ、身の程を知っていればいいの身の丈以上の物を欲しようとしたからな。バカのせいでこの国に住まう人々に罪はないからな」
「ご主人様がこの国の王になるつもりですか、それなら手伝いますが」
「いいや、この国があろうがなくなろうがどちらでもいい」
「この国の貴族とは思えない発言ですね」
この国に忠義なんてないからな、それでもこの国に住まう人々に火の粉がかかるなら取り払うまでだ。人がいなければ国ではなくなるのだから、王族は他にやりたい貴族がなればいいことだし代わりはいるんだからな。
「国に仕えたいと思ったことはない、自由に生きられるならそれで結構。偉くなると色々と面倒だしな」
「なるほどだから長男であられるのに、跡取りを次男に譲ってしまわれたのですね」
家を継げばそれは裕福な暮らしはできるが、それじゃつまらない。それに弟は家を継ぎたいと言っていたことだし、やりたいと言っているなら俺は引くことにした。その為かなぜがメイドを一人持たされたが、親心ってやつかな。
「面倒は嫌いだそれも人の上に立つてことは、俺より弟の方が適任だろうし」
「私はご主人様も人の上に立つ資質はあると思いますけど、見えない陰で色々と暗躍して自分が優位になるようにして」
「ありがと、でもそれじゃ悪役ぽいね」
どう考えても悪役にしか考えが浮かばん、表だって行動をより裏であれこれやってる方が自分に合っているとは思うが。実際に言われるとあまり好ましくない、だからこそ弟に託すんだけどね。
「それでどうやって王子失脚させるのですが」
「弱みを握って落とし入れるか、王子の腹違いの兄にこの国の後継者になってもらう」
「えっ、腹違いの兄がいるのですが」
「お前は本当に異性に興味がないな」
「そんなことないですよ、私の映っている異性はご主人様だけですよ」
また話が進まないので無視するとして。
「それでだ現在の王候補の王子の弱みを握るからだが、王子の母親が影響が強い何が何でも国王にしようと躍起になっている。その為が腹違いの兄とその母親を人の目がつかない所に追いやっている」
「まるでご主人様みたいですね」
確かに裏でこそこそやっている所は同じで認めるが、俺との違いは裏だけじゃなく表からも動いてるから。それはもう面倒な事に。
「表だって動いてることは別に見られても大丈夫なことだから置いておくとして、裏で隠している腹違いの兄と母親が弱みになるな」
「どうしてそれが弱みになるのですが」
「腹違いの兄は王子より才能があるからな、甘やかされて育った王子様よりね」
王子の母親が腹違いの兄を隠したいのは、その才能が知られてしまえば王の座が危ぶまれてのことだろう。国王は狂ったような王子の母親を見て腹違いの兄のことを話すことはないが、内心は悪いことをしたと懺悔をしていることは知っている。
「どうやって王子を失脚させるのですか」
「腹違いの兄と母親を助け出す」
あれこれ策を巡らせるもいいが、簡単にできるならそれに越したことはないし。使えるモノは使っていこうか。
「助け出すてどこにいるのか分かっているのですか」
「知っている。それに隠しておきたいものほど自分の近くに置いておきたいものだ」
物語の全容を知っているから分っているよなものだけどね、それでも見つかってはいけないほど自分の手の届く範囲に置いておきたいものだ。
「隠し場所は城の地下」
「地下ですか、そこからどうやって連れ去るからですね」
「お前は大丈夫だろ、国を滅ばすことができる戦闘力を持っているお前なら」
「滅ばすのと、連れ去るでは違いますよ」
「できないのか」
「できないことはないですが」
「なら大丈夫」
「どこからその自信は来るのですか」
「信じているからなお前のことを」
真っ直ぐにメイドの目を見つめていると、目線をそらされてしまった。
「もう分りましたよ、それとこれが令嬢の件とどう関係性があるのですか」
「令嬢の方も物語の全容を知っていると思う、だから王子の誕生パーティーの時に婚約破棄されることは分っている。だから当日に腹違いの兄と母親には出席してもらい王子とその母親には地獄を見せる」
アチラさんも事前に色々やっているとは思うがそれらが意味を無くすことになるけどいいよね、俺が事を起こすか令嬢が事を起こすかの違いだし、結末は同じことだし。
「それでは王子の誕生パーティー前までには連れ出せばいいのですね」
「そうだな、できるだけ誕生パーティーの前日がいいかな。前日なら誕生パーティーが中止になる恐れも少ないだろうし」
あまり早く連れ出してもそれで誕生会パーティーがなくなり、捜索が始まれば面倒な事だ。できるでけ中止にできないだろうとギリギリで連れ出さなくては意味がない。
「分りました」
「頼んだよ、それと城に忍び込む時はこれを持って行くといい」
「これはなんですか」
「認識阻害の魔方陣が織り込まれたローブだ、お前一人の時は見つかるおそれはないと思うが。連れ出す二人のこともあるから帰りが心配だから」
俺は三枚のローブをメイドに手渡した。
「高価な物ではないのですか」
魔方陣が書かれたり織り込まれている物は確かに高価だそれでも使いきりではないぶんいいものだ、壊れないがぎりは使うことができるのだから。
「気にするな俺の金で支払いはされているから、家の者には気づかれていない」
さすがに三枚も買うのがばれてしまうと何に使うかと聞かれてしまうからな、俺個人で買うならその心配もないと踏んでのことだ。
「準備がいいようで、本当に裏で色々されていますね」
「裏ではな、後のことは頼んだよ」
「かしこまりました」
メイドは綺麗なお辞儀をして俺の命令を受け取った。
さって、後は誕生パーティー当日の演出をどうするかだな。
「お飲み物になります」
「ありがとう。それと立っていって疲れないのか、椅子に座ってもいいのだが」
「私の立場上はそのようなことはできません」
変な所で真面目なメイドなと思いながら午後のひと時は過ぎ去って行くのだあった。
誕生パーティー当日、正装を着こんだ俺は城に来ていて。
他の貴族の連中が来ている、その中には婚約破棄される令嬢の姿も見て取れた。
「和やかな雰囲気だ、悪くないな」
王子が来るまでの間に手に持っているグラスに酒が入っており口にする。
「どうやら主役の登場か」
王子の後に王と王妃が続くように会場に入ってきた、拍手で出迎える会場の貴族に合わせるように俺も拍手を送る。
パーティーの始まりと行こうか。
「このたびは私の誕生パーティーに集まってくれて感謝する、それと伝えなくてはいけないことがある」
最初からクライマックスか面白い、準備は整っているいつでもいいそ王子様。
「シルビアこちらに来てくれ」
王子は自分の婚約者の名を呼ぶ、ここで正式に婚約破棄が令嬢に知らされるのだが。
シルビアは王子の前までやって来る、その顔はこれから婚約破棄を渡される顔ではなかい。知っていらその余裕の顔ができるのか。
「何でしょうか」
「私はシルビア、お前との婚約を取り消しこの者と婚約をすることをこの場をかりて正式に発表する」
シルビアと違う令嬢が王子の言葉を聞き駆け寄る。
「貴方はリース、何で貴方が」
「シルビアお前のことはリスーを通して色々聞かせてもらった、私と結婚するために色々やっていたようだが全て無駄であったな」
悠長に話すじゃないか、それでシルビアはどう出るのかな。本来ならここで暴挙に出て家族ごと国外追放だが。
「はっー、そうですか分りました婚約破棄は受け入れましょう。それでなんでリースが王子の隣にいるのですが」
そうだよな、今まで自分がいた立場の場所に知った人物がいるなんって。でもお前はその理由を知ってるだろシルビアさんよ、楽しんでるな。
「リースはシルビアのことで落ち込んでいた私を支えてくれたのだ、お前とは違うのだ」
「そうだったんですが」
そろそろいいかな、この場を盛り上げるサプライズはこれからですよ王子に王妃のお二人さん。私からのプレゼントです、隠れているメイドに合図を送る。
認識阻害のロープを脱ぎ姿を現した腹違いの兄とその母親、二人の突然の登場に会場は静かになる。
「ななっ、貴方たちがこの場所にいるのですが」
静寂を破ったのは王妃であった、それもそうだよな地下に幽閉していたのにいないんだもんな。いくら探したのにどこにもいなかった存在が今ここにいるんだもな、そりゃ驚くよな。隣の国王は固まったままだ。
「王妃様、何で私たち二人を城の地下に幽閉などしたのですが」
王子の腹違いの兄は王妃になぜ自分と母親を幽閉したのかをこの聞く、聞くまでもないが邪魔だった目障りだがら幽閉なんてしたてたんだろ。
「知らない、知らない。私はこの者たちなどしらない」
「国王様、私たちがここで平穏な生活ができないのであれば出て行きます。だからこの子が次期国王の権利を破棄しますだからせめて平穏生活をください」
母親の言葉を聞いた国王様はどう動くのかな、知られてしまったから断罪かそれとも別な答えをだすのか。
重い口を開き国王は語る。
「すべては元凶は私だ、妻を恐れるがゆえにお前たち二人に長い苦渋な時間を与えてしまった」
国王は自分の過ちを話し出した、まったく国の王がこれじゃな。
「すべては私が手綱を握り切れなかったことに責任がある、そしてこのような事になるのも分っていた。次期国王はハルスにする」
次期国王の権利を国王は腹違いの兄であるハルスにすると言い、会場は騒がしくなる。
突然の国王の言葉に王妃が慌てる。
「何を言っているのですか」
「私が何も知らないと思ったか、妻よそしてアトリお前たちは行動は掴んでいる」
国王は自分の妻とその子である王子のアトリが裏で汚い事してきたのをしていることを掴んでいた、それをここで白日の下にしたのか。まったく無能な国王ってわけじゃないか、でも遅すぎたけどね。
絶望で床に膝まづく王妃と王子の二人に会場はまた静かになる。呆然と立ったいるリースにシルビアは置いてきぼりをくらって固まっている。そうだよな自分の婚約破棄だけかと思っていたらまさかの出来事に遭遇するんだもんな。
でも、これでこの国は少しはよくなるだろ。
それから王妃と王子の裏での出来事が摘発され王妃と王子はその姿を表舞台から消えた、代わりにハルスが次期国王となり母親と共に重役たちと国を支えることになった。
シルビアは幸せに成れたんじゃないのかな、ハルスの婚約者になれたのだから。二人の関係は良好で結婚も近いらしい。
リースは何も知らない平民の子で王子と結婚できると思っていたのだが、それは王妃が操りやすいと思って平民の子を選んだろう。不幸な子だ、今は元の家に戻っているが。
この国もこれで少しは良い方に向かっているのかな。
「貴方は結婚しないのかしらね」
俺はと言うと、母親に結婚しろ結婚しろと毎日のように小言を言われているが。俺は家を継ぐ気はないから弟のほうが早く結婚した方がいいと思う、後継ぎがいないと御家がつぶれるからな。早く孫の顔を見せるんだぞ弟よ。
「奥様、大丈夫ですよ」
メイドがそう言うと。
「この息子の自由な性格を分って制御できる子がいないかしら」
母親はメイドの方を見るが。
「なっなんですが、奥様」
「いないかしら」
「やめてやれ母さん、困ってるだろ」
「お似合いだと思うのだけれど」
からかって言っているのか、まったく敵わないね母親には。
「そいやさ、このメイドさんどこから連れて来たの」
俺は疑問に思っていたことを母親に聞くことにした、メイドに聞こうとしても教えてくれないから。
「あら、言ってなかったの。この子はエルフの王女なのよ」
「はっ……」
なるほど規格外なことができると思ったが、少しこのメイドの異常性が分かった。それでも国と戦える戦闘力を持っているとはエルフって存在するのか。そもそもどうやってメイドにして連れて来た、ますます疑問が増える。
「これからも末永くお願いしますね」
微笑みながらそう言っているエルフメイドとのこれからの付きあい方を考えるのでった。