02話 学校
制服に着替えた少年が玄関の扉をガラガラと開け
「いってきま~す!」
「はい、いってらっしゃい。車とかには気を付けるんだよ。」
「分かってるって、んじゃばあちゃん行ってくるよ!」
少年はそのまま扉を閉めると駆けだした。
少年の家は町から少し離れており、学校まで毎日走って通っていた。
駆ける道ですれ違う老人や畑仕事をしている老人に声を掛けながら少年は町へと入っていった。
幼い頃からこうやって走りながら通う少年は、細いながらもちゃんと筋肉が付いており、学校の陸上部を初めとした運動部から引っ張りだこなのだが、なぜか何処にも所属することはなかった。
少年は教室へと入り
「おはよう。」
そう声を掛けると
「「おはよう。」」
とクラスメイトから返事が返る
目も良いことから少年の席は窓際の一番後ろの席であった。
少年が席に着くと、腰のあたりまで黒髪を伸ばした少女が少年へと近づき
「おはよう。天空寺くん!」
少し頬を染めた少女ははにかみながらも挨拶をした。
「あっ海堂さん、おはよう。」
すると海堂は
「今日も走って来たんですね。」
すると少年、天空寺 要はクンクンと自分の匂いを嗅ぎ
「ごめん、汗臭かったかな? 着替えたんだけどなぁ~」
すると海堂 鈴花は慌てふためき顔の前で手のひらをブンブンと振り
「そんなことない、天空寺くんは臭くないよ。その、あのバスから走ってるのが見えたから・・・」
「おっ相変わらずイチャイチャしてんな。」
声のした方へ視線を向けると短髪のオールバック風な髪形の少年が
「2人ともおはようさん!」
「おはよう。」
「おっおはよう日高くん・・・ってイチャイチャなんてしてないよ。してないからね。」
要は普通に挨拶して、鈴花は慌ててイチャイチャを真っ赤な顔で否定した。
「昇ぅ~あんた何レイちゃんからかってるのよ!」
ショートヘアの少し胸の大きな少女が昇のさらに後ろから声を掛けた。
「ミコちゃん~」
鈴花が少女、神薙 美琴の胸に飛び込んだ。
美琴は鈴花の頭をなでながら
「よしよ~し、後で昇の奴は懲らしめとくから。」
「・・・うん。」
そして他愛のない世間話をしているとガラガラと教室の扉が開かれ、担任の無気 力が入って来た。
「あ~席に就けや~・・・だる。」
そう言いながら教卓に着くと、生徒たちは自分の席へと座る。しかし生徒は疎らであった。
「ん?ひの・・・ふの・・・みの・・・登校拒否されちまったのか? まずいな・・・」
すると生徒の1人、七三に髪をそろえ、眼鏡を掛けた少年、生真 一が
「無気先生。」
「なんだ? 生真面目?」