表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/284

タンバ国の危機 大干ばつを切り抜けろ

アフリカ大陸のほぼ中央にあるタンバ国は、灼熱と砂漠の国でもある。豊富な地下資源の採掘と輸出で、経済は安定し、財務大臣のロジャーによる実験的ビットコイン経済は、順調にすすみ、周辺国がうらやむ状況になっていた。前大統領一派が、タンバ国の奪還を目指しているといううわさは、たえずあり、国境の警備は不可欠になっていた。

 あまり、雨の降らないタンバ国の農業は、なかなか厳しい状況にあった。その上、バッタの大発生というのが、数年起きに発生し、食料問題は、タンバ国の課題であった。

 今年も例年に比べて、雨がすくない。乾期と雨期があるが、夏は乾期にあたり、暑い夏が、ますます暑くする。

 南の砂漠に建設した太陽熱発電所の実験と拡張をすすめて、規模を拡大していた。それなりの電気を生み出すことには、成功しているが、それで、国内の需要を賄うのは、無理である。

 大統領の計画では、可能な限り、太陽光発電を村々、町々に設置して、基本は、自給自足的な構想が基本である。


大統領と財務大臣のロジャーは、毎日、空を仰いで、雨のふるのをまっていた。気象衛星写真を眺めては、雲の様子、近隣の様子を探っていたが、アフリカ全体、とくに、アフリカ中央部は、干ばつがひどい。このままでは、国家の存続にも影響しそうである。国連にも、食料の緊急援助を要請しているが、アフリカ全体の食料危機が懸念されているので、タンバ国まで、食料支援が難しい状況だと思われた。


工藤博士の家に遊びにきた、アランの食欲がいつもと違うのをめざとくみつけたお母さんが、さりげなく、アランの声をかけた。

アランの前に並べられたたくさんのたべものをみながら、「タンバ国が、この年、大干ばつで、食料危機になっている」といった。アランは、日本人の何倍もの量を食べるので、テーブルの上に並べられた食べ物はまるで、アラン一人のために並べられたような印象をあたえた。

アランが、工藤博士に、なんとか、よい方法はないかと聞いた。工藤博士は、アフリカの気象状況を素早く調べながら、簡単な解決策は、すぐには、見当たらないようだと、答えた。すぐ、解決できるようなら、誰かがなにかをしているはずだからだ。


それを聞いていたハル君が、1500年前に日本の四国で造られた弘法大師のため池の例がありますけど、口を挟んできた。その声に、アランが振り向きながら、ハルとの再会に大喜びをした。ハル君のタンバ国の美しい大草原の花畑を是非みせたい。そして、いっしょに駆け回りたい。そして、そうだ、大草原をここゆくまで走り回れるように、すてきな足というか、乗り物をつくってあげるから、そうしようといった。


ハル君は、アランは、本当に憎めない奴だなと、改めておもった。そして、同時に、やはり、アランが椅子から立ち上がり、ハルの側までやってきた動きを、うまく認識できなかった。アランは普通の人間なのに、どのような身のこなしをしているのかが、よくわからないのだ。もしかすると、通常の人間の動作とはすこしちがう、タンバ国特有の運動能力があるのかもしれない。それ故に、ハルの人間動作解析プログラムで追随できないだけなのかもしれなかった。なぜなら、アランの動作が機敏なのは、みんな驚くのだが、それが、マジックのような不思議さではないので、日常なにか、トラブルや誤解があるわけではないからだ。ハル君がうまく認識できないという問題らしかった。


アランは、こんなに豊かな日本で、気候も温暖で、水も豊富な日本でも、食料を作るためのため池や新田用水や開墾の歴史があることを、ハル君に教わり、その現地をいくつか見てみたいと思った。

そこで、四国のため池と、東北の新田開発の様子を実際にこの目でみる計画をハル君といっしょに考え始めた。自動車の自動運転も普及し始めたといっても、アランが一人で、自動車で行くのは、難しい。

そこで、アランは、電車と徒歩を組み合わせた冒険プランを考えた。四国を歩いて横断するほどの勢いのプランで、徒歩区間は、1日半で70kmを予定していた。

東北はさすがに、2カ所の新田開発をみて、その一つは、江戸時代に用水路を20kmを歩いてさかのぼるというものであった。


アランは、旅のガイドにハル君とのコンタクトすることで実施することにした。ハル君が、アランの行動を工藤博士の家の中でナビゲートして、アランが困ったことや、会話など翻訳などもスマホを通じておこなうことにした。

2週にわけて、金曜日の夜に四国行きの夜行バスにのり、土日で四国を歩き回り、日曜日の夜に夜行バスで東京にもどるという計画だ。翌週は、同じようにして、東北にいく。


工藤博士は、アランとハル君の無謀な計画を聞いて、せめて、新幹線を使ったらどうかというと、アランはタンバ国の主要な交通機関は、バスで、すこし、遠くまでいくときは、丸2日、3日乗り続けることも日常だという。工藤博士は、タンバ国がアフリカの中央に位置している小国と思っていたが、面積は、日本の国土の7倍以上あるということで、びっくりした。アフリカの国々は、おもった以上に大きな面積をもっているようだった。


アランは、タンバ国を救う秘策をみつけだすことができるだろうか。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ