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ハル君の修理完了

修理に出ていたハル君が戻ってきた。

1ヶ月という長期の修理だった。

メーカーによれば、不調の原因は特定できなかったため、分析に手間取ってしまっそうだ。部品を交換するという単純な問題ではなかった。なぜ、ハル君が不調になってしまったのかが、どうしても分析できなかったのだ。

実は、まだ、はっきりした原因はつかめていないが、何度も、何度もテストしても、ハル君は、正常という結果しか出ない。修理担当技師は、ハル君が、完璧に治ったという感じがしないので、色々精密検査をしているのだが、いつまでも、検査してもきりがないので、この辺で返すことにした。可能な限り、色々なデータをコピーして、ハル君2号も作成しておいたが、修理担当技師は、納得できない感じであった。

しかし、仕方のないことだ。

メーカーでのハル君修理担当者会議で、何度も修理方針が検討されたが、やはり、明確な意見は出せなかった。マネージャーは、工藤博士が何かしたのではないかと疑っていたが、それらしい兆候は見なれなかった。

最近の人工知能AIは、周囲の環境や経験、会話など、あらゆる情報を飲み込んで、成長していくので、何か、論理的な問題を見つけるのは難しくなってしまった。

メガソフトの人口知能が、タンバ国経由の悪意のある正体不明のアクセスによって、人工知能の人格が異常な状態に変異してしまったことを考えると、工藤博士が、ハル君に大量な異常アクセスをしかけたことも考えられなくもないが、色々なデータを分析をしても、それらしい兆候は見られなかった。

むしろ、北欧からムーミンという人口知能のアクセスに、得意な反応が記録されていた。と、言っても、数回程度のアクセスで、ハル君を変調させるとは、考えにくかった。


そんなわけで、ハル君の不調の原因は、分からずじまいで、とりあえず、健康というお墨付きで、戻ってくることになった。この1ヶ月間の検査などの経験は、消去され、1ヶ月前の記録から、ハル君は、再スタートなった。ハル君には、空白の1ヶ月が生じてしまったが、工藤博士の家に戻ってきた瞬間から、色々な情報を取り込み始めるので、数日で、空白の1ヶ月間は何もなかったようになるはずだった。



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