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アラン バルタン星人に襲撃される

タンバ国は、灼熱の国で、大きな河や海がない。草原と砂漠の国である。

そんなかれらは、魚介類が苦手だ。

アランの大好きなお寿司のネタが、大きなお魚の一部を食べていることは、アランにはほとんど意識されていない。おいしい食べ物だと、思っている。


オサム君が水族館に行きたいというので、工藤博士のおばあちゃんとおじいちゃんは、大ハリキリで、計画を立て始めた。東京には、たくさんの水族館がある。

タンバ国に海が無いことを知っている工藤博士は、アランも一緒に行ったらどうかと声をかけてくれた。前回の東京探検でも、おばあちゃんとおじいちゃん、オサム君とアランはたのしい探検をしたので、今回も大丈夫だろう。アランは、満員電車が嫌いだ。だいたい小さすぎる上で、混んでいる。地下鉄は、洞窟の中を走り回っているのに、電車自体が、小さいので、ますます、閉じ込められた気分になる。息が自由にできない。

頭がどうしても、天井についてしまう気がする。しかも、満員なのだから、どうしようもない。


電車に乗っている人全員で、たぶん、タンバ国の1つの町に住民より多いに違いない。首都はさておき、郊外の町は、家々がほつんほつんと立っている。最近は、電気や水道、自動車も普及して、たいぶ、町らしくなってきたが、人間が、ギュウギュウ詰めの状態になることは、考えられなかった。


おばあさんは、おじいさんとオサム君、そして、アランを引き連れて、大きな水族館に行った。大きな海辺の公園の中に、その大きな水族館があった。

アランには、地面がなくなって海になっている浜辺は、なんとも、地球のはずれにきたような錯覚を覚えた。どこまでもどこまでも歩いて尽きるはずのない大地が、突然、終わりを告げているのだ。もちろん、その向こうには、アメリカがあることは知っているが、どんなに目のいいアランにも、アメリカは見えないのだ。


巨大な水槽越しに、大きな魚をみた。とても、大きな魚がいて、アランはびっくりした。海は不思議な世界なんだ。とても、同じ、地球とは思えない、違う世界にしか思えなかった。


ほんとうに、こんな大きな魚が、水、海の中を泳いでいるなんて、変な気がした。


とんでもない生き物が、たくさんいた。なんだ、クラゲ、イカ、タコ もう、よくわかない。

すると、オサム君が、「イカやタコはおいしいね」と、いった。「アランも大好きだよね。」


「エ!、僕は、こんなイカやタコを食べたことなどありません。見るのもの始めです!」

「でも、おいしいとお寿司をたべていましたよ。」

「エ!、僕は、これを食べていたんですか? これを、これをですか。」


なんだか、アランがめまいがしてきた錯覚がした。血がどこかにぬけたような気分だ。


大きなカニやエビをみた。なんだ。この宇宙人のようなやつらは。

すると、オサム君が、「僕、カニもエビも大好き」と、いった。


アランは、こんなものまで、人間は食べるのか? 不思議な気がした。

「アランも、カニ、エビ、大好きだよね?」

「うん。まあね」


お寿司の中で、食べれなかったものはなかった。みんなおいしかったのだから、その中に、カニ、エビもあったに違いない。5人前を一人で平らげたのだ。まずいものは、なかったのだ。


アランは直感した。すべての生き物は、おいしく食べることができるにちがいない。

僕の知らない食べ物が、この地球にはたくさんあるんだ。僕は、みんな食べてみせるぞ。


水族館を出たあと、砂浜を歩いて、今日の楽しい一日は終わった。


工藤博士に家に、オサム君を送っていった。

エビやカニは、なんだか、地球の生き物みたいではないと、いうと、オサム君が、面白いものを見せてくれると、部屋に戻ってくると、手には、大きなハサミをもった、バルタン星人がいた。

「これが、宇宙人 バルタン星人だよ。」と、笑ってみせてくれた。

工藤博士の子供のころ、テレビでやっていたらしい。


寮にもどって、眠りについた。

水族館の暗がりから、巨大なバルタン星人が現れて、バルタン星人に足元には、無数の手のひらサイズのカニがいて、アランに向かって動き始めた、夢をみて、アランは悲鳴をあげて、飛び起きた。


カニやエビは、いったい、なんなのだ。


きっと、ゴードンが、大ザリガニのハサミに挟まれた話に触発されたにちがいない。

エバが知ったら、アランも大ザリガニは、苦手と、短信を報告したに違いなかった。


そういえば、まだ、ハル君は、工藤博士の家に戻ってきていないようだった。

ハル君は、カニやエビをどう思うだろうと、ぼんやり、考えた。





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