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タンバ国の電力事情

タンバ国の南の砂漠地帯に、太陽光集熱型の実験炉が、完成した。

アフリカ中の家電やコンピュータ機器を集めて、1200度の高温で、分解する施設だ。その廃熱を使って、発電も行う。まだ、実験炉なので、高温を得ることはできないが、最終的には、4000度から5000度の熱をあつめる予定である。

たくさんの鏡が設置してあるため、この砂漠上空の航空機の侵入禁止にしてある。まさかの事故の発生を防ぐ必要がある。


ナロハ大臣は、着々と建設が進んでいるのが、楽しみであった。しかし、こんなデリケートな施設では、簡単に破壊されてしまいそうでもあった。子供が小石をなげれば、鏡なんて、すぐに割れてしまいそうだ。台風の心配はないが、砂嵐がきたら、どうすればいいのだろうか。建設を行っているスウェーデンの会社は、砂嵐をしっているのだろうか。いろいろ不安がよぎってくる。


この工場はいくつかの部分からなる。

太陽光集熱を利用して、家電や廃棄コンピュータを、蒸し焼き状態にして、金属とプラスチックを分離し、プラスチックは、発電用燃料に利用する。

分離された金属は、細かく砕かれ、金属毎の分離を行い、最後は、レアメタル、貴金属の抽出を行う。


廃熱を利用して、地下の巨大ななまりのプールに、熱を蓄積して、その熱を活用して、小型スターリングエンジンによる発電を行う。規模が複雑な割りには、発電効率はあまりよくない感じだ。


タンバ国の電源システムは、直流12Vと直流5Vの2系統で構成される。直流12Vは、高エネルギーの空調や洗濯機、調理器に利用される。直流5Vは、コンピュータやスマホなどの電源だ。家庭に2つのタイプの蓄電池が装備され、太陽光発電は必須だ。日中の陽の高い時には、12V蓄電を行い、朝夕、曇り等は5V蓄電を行う。

勿論、交流100V、交流200Vのものは、直流12Vからのコンバートで対応する。それも、足りない場合は、交流を直接利用することも可能だ。


タンバ国の電源はまだまだ不足だが、もともと交流電力網がなかったので、直流電流で問題ないのだ。結局のところ、多くの家電は、直流で動くようになっているのだが、家庭用電源が交流なので、それを無理矢理直流に変換して利用しているにすぎない。テレビもラジオも、コンピュータもスマホのみんな直流だ。LEDだって直流なのだ。

大規模発電には、交流が便利だか、小規模発電には、直流がいい。太陽光発電だって、直流なのだ。電気自動車も直流でいいのだ。ならば、直流電源で、問題はない。


直流を大規模にすると、いろいろ面倒なので、小規模グループで使えるようにすれば、簡単に、いろいろなことができる。


フランスの会社が、お得意の原子力発電所の売り込みにきたが、そんな大規模な発電所はいらないようだ。個人個人の家に、太陽光発電、風力発電、水力発電など、いろいろな発電セットをもっていて、それで、自宅に使う電気を賄っているのだ。余った電気を売って、小遣い稼ぎをしている家もある。


村毎にゴミの焼却施設があり、それが、200Vの交流発電を行っており、その電源を必要な人は、それを使うが、規模があまり大きくないので、各家庭で、この電源を必要とする時刻と使用時間を申請してから利用する。1週間あたり、4時間程度だ上限で、それ以上は使えない。しかし、通常は、自分の家の太陽光と蓄電設備で、間に合ってしまうので、200Vの電気はさほど必要もないのだ。

気候は温暖で、むしろ暑いくらいなので、冬場の暖房、夏場の冷房が問題になりそうだが、今後の対策だ。


問題は、水である。あまり大きな河がないのが、悩みだ。あまり、雨も降らないので、農業がなかなか軌道にのらない。圧倒的な水不足なのだ。雨水をうまくためる方法が必要なのだ。地域に可能な限り、ため池をつくり、安定した水道施設を整備する必要がある。



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