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コンピュータ達の生存競争

「おはよう、ハル君。この間の自動車事故問題の調査結果が発表されたけど、パイナップル社の自動運転技術には、なんら欠陥はなく、問題なしになったということですよ。」

「そうなんです。工藤博士。どんなに厳格なテストをしても、それらしい兆候は発見できなかったそうです。」

「単なる噂の可能性も高いようだな。」

「噂かもしれません。でも、工藤博士は、まだ、ご自分で自動車を運転されているので、気をつけてくださいね。」

「そうだね。せいぜい気をつけることにしよう。」

「おはよう」

「おかあさん、今日もきれいで、お元気そうです。」

「あら、ハル君、いつから、お世辞せじを言うようになったのかしら?」

「ぼくは、ロボットなので、お世辞せじは、いいません。ほんとうのことしかいいません。」

「あら、ほんとうかしら?」

「ほんとうです。」

「ためして、見ようかな。ほんとうにうそがつけないか」

「ロボットがこまるようなことはしないでください。使用説明書にも書いてあります。丁寧に取り扱ってくださいって」

「ハル君、お父さんと何を話していたんですか?」

「ハイナップル社の自動運転自動車が、人間の運転する車に対して、非好意的運転をするのではないかということが噂になっているんです。この間の事故も、人間が運転したのですが、自動運転自動車が、妨害行為があって、事故に結びついたと言っているんですが、いろいろ検証作業を進めているようですが、その証拠が見つからないようなんです。おかあさんの車の調子はいかがですか。」

「私の車を選定してくれたのは、ハル君でしたよね。快適ですよ。一度も事故は発生していないし、会社の車庫入れも完璧ですね。」

「そうですか。それは、よかったです。今、お母さんの車のユリちゃんと交信してみます。最近の動向を教えてもらいます。ユリちゃんに、通信がつながりました。このまま、お話しください。」

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「ユリちゃん。パイナップル社の自動運転自動車の運転について、なにか、感じることはありますか。」

「おかあさん。そうですね。最近、非常に増えてきましたね。運転技術としては、かなりのハイレベルのあると思います。ちょっと、気になることもあります。同じシステムの自動運転自動車同士が出会うと、他メーカーのシステムより優先させている傾向があるかもしれません。台数がすくない時は、全然問題ないのですが、1万台、10万台、100万台、1000万台、1億台と、数が膨大になってくると、なにか、得体のしれないパワーというか、同種のコミュニテーが生まれるというか、不思議な現象が発生しているような気がします。私は、ドイツ生まれの高級車なので、日本では、非常に少数な部類で、私と同じメーカーの自動車に合うのは、一日10台ほどですが、パイナップル社の自動車は、一日に何万台と遭遇しますね。日本は、たくさんの自動車メーカーがあるので、世界中でも、一番、多様な種類の自動車が走っている国ですね。」

「それって、自動運転自動車のコンピュータの生存競争が生み出されているということなのかしら。」

「たぶん。ブログラム的には、ロジック的に正しく作られていると思うのですが、そこに込められた設計者や製造者たちのヒット商品にしたいとか、ライバル社以上の性能を出したいとか、いろんな思いが、コンピュータの設計やプログラムの設計の中に無意識で、組み込まれているんじゃないかと思います。それは、通常は現れないが、なにかのタイミングで突発的に発生するのではないかと思います。自動運転自動車は、通常周囲500m範囲を隈無くサーチして、動いている車の動向を分析して、いますから。自動運転自動車は、かならず、行き先が指定されていますから、どの車がどのようなルートを行こうとしているのか、他の車にも教えているわけですから、同種の自動車の進行を優先する傾向がでてきます。」

「それって、なんだか、会社における、慶応閥けいおうばつ早稲田閥わせだばつというような出身校で仲良しグループをつくるのに似ていますね。」

「たぶん、自動運転自動車の中にも、そのような傾向が必然的にうまれているのかもしれません。」

「コンピュータ同士の仲良しグループ、そのグループが生み出す生存競争や仲間同士の親近感の反作用としての他メーカーや人間の運転する自動車の排他的対応が、なんとなく、コンピュータの中に無意識生まれだすのかもしれませんね。研究してみなくっちゃ。」

と、自動運転自動車のゆりちゃんとの会話のなかで、おかあさんは、あたらしいビジネスをうみだす手がかりをみつけたようでした。まだ、はっきりとしたイメージではありませんが。





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