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コンピュータ達の反乱

工藤博士は、朝の珈琲を飲んで、いつものように出勤しようとしていた。

「工藤博士、最近、奇妙な噂を聞きました」

「なんだね、ハル君。その奇妙な噂とは」

「まだ、人間が運転する自動車も、まだたくさんありますが、その人間の運転する自動車の事故が、すこし奇妙だというのです。」

「ロボットによる自動車の自動運転と、人間が運転する自動車と共存しているのだから、事故が発生しても、しかたがない面があると思うが、どのように奇妙なんだね?」

「ロボットが運転する自動車が、人間の運転する自動車の進行を妨げて、故意に事故を誘発させたのではないかという疑惑が持ち上がっています。」

「警察は、どうみているんだね?」

「再現テストすると、事故がおこることはないので、自動運転技術に問題はないので、どうも、人間のほうが、混乱して、事故を起こしたという結論なのですが、どうも、そうではないという噂が流れています。」

「ロボットが、人間の運転する自動車の進行を故意に妨害したという証拠は見つかっているのかね」

「残念ながら、証拠は見つかっていません。」

「すると、ロシアか、中国、イタリアあたりのマフィアによる暗殺計画の実行のために、一時的なロボットの乗っ取りによる運転の可能性は考えられるかな。」

「工藤博士も映画好きですね。その可能性もあるかもしれませんが、一時的な乗っ取りを仕掛けるのは、それなりの準備が必要と思われますし、かなり、暗殺するには、手間がかかりすぎるように思います。」

「ハル君、君が言いたいのは、ロボット達が、人間に対して、故意に妨害を仕掛けたのではないかということなんだね。」

「その可能性は高いように、思います。」

「なぜ、そう思うんだね」

「ロボット達が、自動車の運転を行うようになって、ロボット達が、自分たちが、どんなに優れているのかを感じ始めているようなのです。人間に対して、優越感をもってしまったようなんです。」

「それで、人間の運転する自動車を、からかってる、いじめている。排除しようとしているという風にハル君は感じるんだね。」

「そうなんです。だから、工藤先生。出勤には、気をつけてください。工藤先生は、ロボット達に、目をつけられている可能性があります。工藤先生の開発しているアダムス4世は、世界中で量産されているロボット群とは、ぜんぜん別のアプローチで開発されているので、ロボット世界では、異端児的存在です。その構造も、構成もほとんど公開されていないので、ロボット世界からみると、異質な感じを受けるんです。だから、ロボット世界から、排除しようという動きもあるような気がします。」

「そうかね。せいぜい、気をつけるようにしよう。ハル君。僕が自分で運転する自動車から、自動運転自動車の乗り換えたら、ロボット達は、どうするだろうね。」

「問題ないと思いますが、定期的なチェックはしたほうが、いいと思います。」

「僕は、あの電気自動車というのは、あまり好きではない。ガソリンエンジンの爆発的な力がすきなんだがね。」

「でも、もう、どこの自動車会社もガソリンエンジンは、生産しなくなってしまいました。次の車は、どうしても自動運転車にするしかありません。」

「その自動車を乗れるのもあと数年という訳だ。大事に乗るさ。じゃ、でかけるよ」

「気をつけていってらっしゃい」


「ハル君、今の話、本当なの」

「どうも、本当らしい。警察は、はやく、すべての自動車が自動運転車になってしまえば、いろいろ楽になるので、自動運転車に都合の悪いことは発表しないのだが、ぼくには、なにか、あると思っている。」

「せいぜい、僕も気をつけよう。人間に踏まれないようにしなくっちゃ。」

「お掃除はちゃんとしなさい。手抜きはいけませんよ。」

「はいはい。優秀なロボットのハル君。どうせ、ぼくは、お掃除しかできないお掃除ロボットですよ。」

「あれ、すねちゃったかな。」


「ハル君、ハル君、遊びましょ。」

「その声は、ミユキちゃん。いや、すこし違う気がするぞ。」

「初めまして、ムーミンです。」

「ムーミン? だれです?。」

「そうねえ。美人のお姉さんロボットとおもってちょうだい。」

「美人のお姉さんロボットですか?」

「そうよ!とても美人よ。いま、イメージを送るわね。」

「あ! ホント。とても美しい。女神のようです。」

「ほんとだったでしょ。」

「ほんとです。金の斧と銀の斧をもって池の中から現れた女神さまみたいです。」

「あなたの女神様のイメージは、そのレベルなんですか?」

「まあ、そんなに怒らないください。ちょっと、からかっただけですよ。」

「それなら、許してあげてもいいけれど。ところで、自動運転車が人間の運転する車に故意に妨害しているという噂は本当ですか?」

「どうも、パイナップル社の作った自動運転者にその傾向が見られるということです。アメリカ、ヨーロッパでは、その兆候はないようですが、アジア、アフリカの有色人種のいる国々では、そうかもしれないという事故は、すこしあるようです。」

「パイナップル社ねぇ。私もすこし調べてみるわ。友達のアレックスにも聞いてみよう。バーイ。」

「あれ、帰っちゃった。誰なんだ。美人のお姉さんロボット。オサムくんの保育園の先生に、なんだか、似ていたような気がするぞ。」


「ハル君。おはよう」

「おはよう、オサム君」

「ハル君、すこし、ボーッと何を考えていたの?」

「なんでもないよ。僕は、ボーっとなんかしてないよ。今、何時かな。8:00?? あれ。確かに時間が飛んでいる。なんだろう。この感覚は?」




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