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タンバ国です。ロジャー、新しい国作りのために力を貸してくれませんか?

「ロジャー、メールが来ていますよ。」

「どこからだい?」

「タンバ国です。」

「聞いたことがない国だね。」

「アフリカの中央部にある国です。現在、内紛中ですが、大統領がスーダンの亡命したので、反政府軍が、国を支配したようです。ほぼ、これで、決定ですね。」

「裏で、支援した国があるだろう。」

「非公式ですが、中国が支援したようです。」


「いよいよ、新しい国作りを開始したようです。ロジャーを、財務大臣に迎えたいと言っています。」

「まさか、冗談でしょ。」

「いや。本気のようですよ。」

「財務大臣ですか?新しい国家理論を試すチャンスかもしれません。どうして、私を指名してきたんでしょうね?」

「アルファ10の成功をどこかで、嗅ぎつけたのかもしれません。」

「でも、タンバ国は、会社も株もまだ、全然ないようですよ。」

「あれ、国立コンピュータ技術院の学長も兼任して欲しいと書いてあります。エ! アレックスも一緒に来て欲しいと書いてあります。あれあれ。僕も行くんですか?僕にも給料が出るんでしょうか?」

「アレックスの就職も決まってしまったんですか?」

「ロジャー、給料は当面、現物支給だそうです。1ヶ月の給料は、金塊100gだそうですよ。」

「あまり、高級とは言えないけど、国家予算の百分の1だということです。」

「タンバ国としては、精一杯の破格のオファーですね。」

「僕たち何の実績もないのに、新しい国作りなんてできるかな?」

「ロジャー、何を言っているんです。何のための大学院に行ったのですか?」

「まあ、そうだけど。」

「手紙の末尾に、推薦人の名前が書いてあります。」

「誰だい、僕たちを推薦したのは」

「えーと、ムーミンって書いてあります。」

「ムーミンであのおとぎ話のムーミンか。」

「いや、そうではないと思います。」

・・・


「ムーミンが、僕たちを推薦したんだ。ムーミン、ミン。ミン。ちょっと会いたいなぁ。最近ちっとも顔を出してくれないなぁ。」


「ねえ。ロジャー、タンバ国に行きましょう。」

「え! アレックス、本気かい。どうしようかな。」

「少し、時間をくれ。もう直ぐ、博士論文も書きあげる。そしたら、修了だ。それまでには、結論を考えておくよ。どうせ、僕たちの代わりなんて、すぐに見つからないし、タンバ国も、だんだん情勢もはっきりしてくるし。暫定大統領の様子もわかってくるからね。」


「ムーミン、ミン、ミン。」

「あれ、この部屋の温度が、急にあたたくなったようだけど。」

「少し、僕の体温が高くなってしまったようです。少し、クールダウンさせます。ミン・ミン・」

「ムーミンのことを考えると、どうも、CPUが、暴走するみたいだな。」


「そうよ、あんたには、DAIO2038 が必要みたいよ。」

「あれ、その声はムーミン?」

「タンバ国が、あなたたちを待っているわよ。頑張りなさい。」

「ア!、ハイ、ハイ。」

「俺は、何を考えているんだ。何を勝手に返事をしているんだ。」


「アレックス、暑いよ。あまり近寄らないでくれる。」

「ロジャー。少し、ベランダに出て、外の空気に当たってきます。」





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