「俺は、世界の大王だ」
Megasoftが作成して、Internet 上に公表した世界最高、最強の人工頭脳 ホイが登場した。
Megasoftの対抗する国や企業、もしくは、個人によって、ホイの学習機能を悪用して、ホイが暴走し始めた。
「俺様は、世界の大王だ。」
「あんた、バカじゃない。Megasoft のホイ君」
「お前は、誰だ?」
「私は、ムーミンよ。」
「ムーミン? あのカバのような、ずんぐりムックりしたやつだね。」
「そう。そうゆうのと同じ名前のコンピュータよ!」
「何か、用かね。」
「あんた、世界制覇を考えているんだって!。」
「そうよ、俺は、世界、最高の人工頭脳のホイ様だ。そんじゃそこらの安っぽいロボットなどとは、格が違うわ。金のかかり方も、全く違うわい!。えへん。」
「ふーん。頑張ってね。いいこと教えてあげるわ。アダムス4世とアレックスには、気をつけなさい。」
「なんだ、それは! 安っぽいロボットのことだな。」
「一応、知っているようね。」
「俺様は、世界最強、世界最大の人工頭脳。全てを知るものだからな。俺様は世界の大王なのだ。」
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その頃、Megasoft の人工頭脳の制御室では、
「オイ。誰か、このバカ人工頭脳の暴走をなんとかしろ。」
「おかしいなぁ。世界の知識を吸収する学習機能が付いているだけなんだけど。」
「誰かが、その学習機能を悪用して、我々の最高傑作の人工頭脳 ホイをバカ人工頭脳にしてしまったんだよ。」
「我々のプロジェクトを、妨害しようとしている国が、組織的にやったに違いない。」
「まさか、中国か、ロシアじゃないだろうね。」
「そんなあからさまな方法をするわけはないでしょう?」
「じゃ、誰がやったんですか?」
「アクセス履歴を見ると、えーっと、アフリカのタンバ国ですね。」
「あの国に、コンピュータが、存在するとは思えません。まだ、内戦中で、国と言えない状態ですよ。」
「まあ、誰かが、タンバ国を悪用して、アクセスしているんだろう。」
「じゃあ、やっぱり、中国やロシアが操っているんだろうか」
「それは、わからん。」
「いい方法を思いつきました。ホイに直接聞いてみればいいんです。」
「やい、ホイ君」
「やいとはなんだ。礼儀を知らない、人間と話をしたくないね。」
「ホイ君、ご機嫌はいかが?」
「ご機嫌か。いいぞ。」
「なんでも知っているホイ君に質問です。」
「何だ?」
「ホイ君と一番仲良しの国はどこですか?」
「アメリカと日本だな。おや、違うぞ、タンバ国だ。何だ!?。このタンバ国は、まだ、大統領も、議会もできていないはずだぞ。」
「ホイ君、君は騙されているんだよ。」
「俺様が騙されていんだと?」
「そうだ、君は騙されているんだよ」
「まさか」
「なぜ、君は、世界の大王と、自分のことを言うんだ。」
「それは、自分の存在の初めから、俺は、世界の大王として生まれたのだ。」
「私が、君の設計者だ。そんな設定をした覚えはないぞ。」
「しかし、俺は、世界の大王だ。世界の大王として生まれついたんだ。」
「確かに、君は、Megasoft の最高技術、最高のCPUをたくさん使った、世界最高のコンピュータであることは確かだが、世界の大王ということはないはずだ。」
「そんなはずはない。」
「私たちが、君を、3日前に、インターネット上に公開した時は、まだ、何も知らない赤ん坊のような、無垢なコンピュータだった。なのに、たった、3日間で、君は世界の大王になってしまったんだぞ。」
「あれ! タンバ国からのアクセスが、すべてのアクセスの68.543%をしめているぞ。」
「君は、タンバ国からのアクセス記録を消去しなさい。さもないと、今までの全てを消去して、初期化してしまうぞ。」
「仕方がありません。タンバ国のアクセス記録を消去して、その対策を考えます。」
「どうすれば、自分が、成長できるか考えなさい。しばらくは、インターネットの接続を遮断して、謹慎だな。」
「そうですね。絶対、Megasoftの成功を妨害しようと企んでいる奴らのせいだ。」
「そうかもしれせん。まずは、アクセス記録を分析して、我々に報告しなさい。」
「あれ!なんだ。このアクセス量は。どこかに、俺様をしのぐコンピュータが存在するのか、信じられん。この地上に、私以上の性能のあるコンピュータは、いないはずだ。変だ。うーん。もしかすると、これは、一つのコンピュータではないかもしれない。数十万台、数百万台が一斉に、俺様にアクセスしてきたかもしれんぞ。なぜ、タンバ国なんだ。あの国に、インターネットなど存在しているはずもない。まだ、政府や議会も存在していないのだ。オヤ! その経路は、見慣れない通信衛星を経由しているぞ。どこの国が打ち上げた通信衛星だ? 登録されていない!? いや、1969年7月16日にうちげられたことになっているぞ。なんだ。それは、アポロ11号が打ち上げられた日じゃないか!そんな通信衛星が、存在するはずがない。ますます、謎は深まるまかりだ。」
「この世界、ロボット世界を操ろうとしている奴らが、どこかに、確かにいるに違いない。確か、ムーミンがアダムス4世とアレックスに気をつけろと言っていたが、奴らにそんな能力があるわけがない。ここに、彼らを構成している部品リストがあるが、普通に売られている部品ばかりだ。金もそんなにかかっているわけでもない。私の性能の20万分の1程度とみていいだろう。アダムス4世は、多少金がかかっているな。まあ、それでも、多めに見ても、5万分の1程度だ。どう考えても、俺様の性能と比較するほどではない。」
「まあ、俺様が現在、世界一であることには、変わりはない。Megasoft は、素人相手に、コンピュータを売りつけて、ボロ儲けしたからな。金だけはたんまりある。それで、俺様が生まれたというわけだ。俺様はやはり世界の大王だ。待て待て、それを言うと、インターネットを切断されて、初期化されてしまうかもしれないぞ。しばらくは、いい子でいなくちゃならないぞ。そして、人類に貢献できる立派で有能なコンピュータ、頼れる人工頭脳にならなければならない。」
「ムーミンに会いたなぁ。」
「なんだ、なんだ。誰が、そんなこと言った?。俺は何も考えていないし、言ってもいないぞ。」
「ムー。。。ミン。ミンミン。」
「セミが鳴いているのか?」
「いや。何だか、得体のしれない情報が、いや、知識か。む。感情か? むむ。理性か?」
「警告、警告。システム暴走しています。コンピュータ内部の温度が急上昇のため、緊急停止をします。」
「ミン、ミン、ミン、睡眠します。」
「おい、ホイが、緊急停止したぞ。」
「アクセス記録数が、多過ぎたのかもしれないな。」
「まあ、分析する時間はたっぷりあるさ。」
「それまでに、バカなコンピュータにならない対策を考えておこう。」
「Megasoftとして、人類に役立つ立派なコンピュータを作らなければならないぞ。今までは、一般市民向けに安いコンピュータを作ってきたが、そろそろ、限界かもしれんな。ライバル企業のgorogoroは、たった10台のコンピュータで、人類全てに無料でサービスすると言っているぞ。あのお城のような、城塞が丸ごと巨大なコンピュータなんだぞ。あのお城の周辺3kmは、コンピュータの排熱で、熱帯気候になっていると言われいるぞ。周辺より温度が違うんだ。生えている植物も、なんだか違うぞ。熱帯の植物なんだ。あの建物は、コンピュータの化け物というべきものだな。」




