工藤博士の自動運転技術の秘密
「工藤博士、我が社の人工知能のプレゼンテーションは、大成功でしたね。」
「そうだね。木下君。これで、オオトミ自動車も研究資金を出してくれるだろう。」
「そうですね。オオトミは、自動運転技術で、他社に負けているので、われわれの研究成果を喉から手をだしたいほど、欲しいようでしたね。」
「われらの人工知能を使えば、一挙に劣勢を挽回できるぞ。木下君」
「どうして、われわれの技術が、他社より優れているんでしょう?」
「木下君、我が社には、工藤博士ありと言われているじゃないか。私は、高校生の時、ロボットによる迷路ゲームで、優勝したことがあるんだぞ。」
「そういえば、そんな話を聞いたことがあります。天才少年と呼ばれていたようですね。」
「われわれの地図認識技術と画像分析技術は、他社より、2、3歩先に行っているんだ。」
「すこし、疲れたから、その辺の喫茶店で、コーヒーでも飲んでから、会社に戻ろうじゃないか。」
「木下くん。最近、なんだか、非常にはやっている宝探しゲームがあるそうだね。」
「はい、私もやっていますよ。もう、たくさんの宝物をゲットしました。ごらんになりますか。」
「どれどれ、これが、その有名な宝探しゲームかね。」
「このゲームのすごいところは、現実の世界から、過去、未来が透視して、宝物を見つけ出すことができるんです。たとえば、今、いるこの喫茶店をこのゲームを通じてみると。」
「えーとですね。ここは、江戸時代に、大名の屋敷があったようです。すると、あのあたりに、主人の部屋と、その3軒向こうに、大きな蔵があったようです。」
「宝物は、5つぐらい隠されていそうですね。」
「ここからが、江戸時代の屋敷探検になるのですが、いくつかのクイズが隠されているので、それを答えなければ、宝物は手に入らないんです。」
「ふーん。面白そうだね。どこの会社が考えたんだね。」
「日本学習推進社です。」
「なんだか、文部科学省が、裏で操っている感じもするね。」
「実は、日本の歴史ブームが生み出されているようで、歴史学者が、顧問、相談役して、バブル景気に沸いているという話ですね。」
「ふーん」
「そろそろ、帰ろうか?」
「工藤博士、どちらに行かれるんですか。駅方面だったら、右ですよ」
「そうだったかね。左だったような気がするんだが。」
「ちゃんと、我が社の道案内システムを確認してください。」
「そうだった。我が社の世界最高技術の道案内システムがあったではないか。かつて天才少年とよばれたこの工藤博士が考えたシステムだぞ。人間は間違いやすいが、このシステムは間違わないぞ。」
「そういえば、このシステムが実用化されてから、工藤博士が会議に遅刻しなくなったという噂がありますよ。」
「わしは、今までだった、遅刻などしていないぞ。遅刻をしなくなったのは、社長のほうだろう。」
「社長が会議に遅刻しなくなったのは、美人の秘書が結婚退職して、ベテラン秘書が、スケジュール管理するようになったからですよ。噂では、社長も、ベテラン秘書のまでは、ほとんど、子供扱いですよ。」
「そうかね。」




