エピソード 燃料をまったくいらない自動車の話 H2O -> H2+O -> H2O
タンバ国のルル電気自動車のラウンジで、ゴードンとアランは、コーヒーを飲みながら、雑談をしていた。
ゴードン「まったく、燃料を必要としない自動車を考えたぞ。」
アラン「そんなことは不可能だ。この世界には、エネルギー保存の法則がある。無からエネルギーは生まれない。だから、燃料を必要としない自動車は作れないのさ。小学生だって、わかることだ。」
ゴードン「こう考えたらどうだ。ここに、1リットルの水がある。分解すると、水素と酸素ができる。水素と酸素は、自動車の燃料になるので、エンジンで燃やす。すると。水素と酸素はまた、水になる。その水を分解したら、水素と酸素になる。そうしたら、また、エンジンで燃やす。そして、水になる。だから、水を供給する必要もない。自動車が走れるだけの水素と酸素が、出来れば、永遠に燃料を補給する必要もない。なあ、俺が言った通りだろう。」
アラン「自動車が走るに必要な水素と酸素を、水から作れればいいのだな。」
ゴードン「まあ、太陽光を当てるだけで、水が水素と酸素に分解できれば一番いいのだが、まだ、研究途上だな。電気で、水を電気分解する。その電気は、自動車に張り付けた太陽電池と小型風力発電で賄う。」
アラン「それじゃ、大した電気を作れないぞ。」
ゴードン「個人所有の自動車は、1日1時間も走ったりしない。だから、23時間をかけて、1時間分の水素と酸素ができればいい。だから、自動車に張り付けた太陽光発電パネルでも十分かもしれない。しかし、夜間は発電しないので、自動車内部に仕込んだ風力発電で、発電する。走行時は、風の取り込み口を閉じて、空気抵抗をないようにする。」
アラン「それで、走れるかあ?」
ゴードン「おれに作らせてくれないか。それを作って、1年間、俺の自宅から、会社まで、通勤する。そのとき、外部からの電気の供給、水素の供給をなければ、大成功だな。しかし、雨の日、曇りの日のあるし、日差しの少ない冬もあるので、完全無給電、水素の無補充は難しいかもしれない。そのための小型発電機、小型水素タンクを積んでおくことにしよう。途中でエンストしても困るからな。それに、会社の駐車場の一番日当たりのいい場所に止めさせてもらいたい。」
アラン「まあ、それがいい。すると、その自動車は、地下駐車場や立体駐車場では、不向きだなあ。」
ゴードン「まあ。燃料代金0円だから、それなりの条件が必要だな。」
じゃあ、自動車は、ガソリンエンジン車をベースにして、水素と酸素タンクをつけて、ガソリンタンクに水を入れればいい。屋根と車体には、太陽光発電パネルを張り付けて。格納式小型風力発電を自動車の四隅につけて、駐車時には、風力発電しましょう。
既存のガソリンエンジン自動車をベースにしているから、意外に簡単にできたぞ。問題は、23時間で、どのくらいの水素と酸素ができるかだあ。いったい、どのくらいできれば、いいんだろう。まあ、テストしながら考えるか。
まずは、テストだな。水をガソリンタンクにたっぷり入れて。もう、ガソリンタンクじゃない。水タンクだな。
まずは、1日、直射日光に当てて、そして、明日は、会社まで行ってみるか。
じゃあ、いくぞ。水素の量が少ない気がするなあ。今日は、近所を走るだけにしよう。とても、会社まで、行けないなあ。
まあ、少しづつ走ってみるか。
走ってしまうと、当然、水素と酸素を減ってしまう。それじゃあ、走れる距離は少なくなってしまう。すくなくとも、水素、酸素が、十分余裕のある状態をキープしないと、だめだなあ。
問題は、水素と酸素の生成能力は、水素エンジンの水素の消費能力より、ずっと少ないので、事前に、水素と酸素を作っておかなければならない。
実用化できるかなあ。
まあ、とにかく、1年間、会社まで、通勤するしかないか。




