オサムおじいちゃんの話 その2 アランとゴードン
孫娘「ねえ。アランとゴードンたちは、どうなったの?」
おじいちゃん「アランについては、あなたも知っていると思うよ。」
孫娘「私の知っている人?」
おじいちゃん「アランは世界最大の電気自動会社の副社長ですよ。ドイツの会社なのに、タンバ国の出身者としては、異例の出世だね。今の自動運転自動車は、タンバ国と大トンド国の成功が、アフリカ中に広がって、それから、ヨーロッパへ、中国へ、そして、アメリカに広がっていったんだ。ところが日本では、トヨトヨトトッサンが、タンバ国の自動運転の秘密を密かに研究していたし、日本には、いろいろ法律があるから、国産の自動運転車が、普及した珍しい国なんだよ。」
孫息子「えー。自動運転自動車をつくったのは、アランなんだ。」
おじいちゃん「そうだよ。おじいちゃんのお父さんのドクター クドウのアイデアが基本になっているとお父さんは、自慢したっけな。」
孫娘「アランは、ひいおじいちゃんのところで、勉強したんでしょ。」
おじいちゃん「アランは、日本のお寿司やラーメンが食べたくて、日本にやってきたんだ。一番最初に、我が家になって来たとき、お寿司を5人前食べたって、いつも、お母さんが、よく話していたっけなぁ。」
孫息子「じゃ、ゴードンはどうなったのさ。」
おじいちゃん「ゴードンは、科学大学の教授になって、技術部長教授になったんだ。ミンミンと結婚して、7人の子だくさんだ。みんな、大活躍しているぞ。」
孫娘「じゃ、アレックスは?」
おじいちゃん「アレックスは、どうしただろう。ロジャーの5年の任期が終了して、一度イギリスに戻ってから、田舎に広大な土地を購入して、優雅に暮らしたということだ。」
孫娘「アレックスは?」
おじいちゃん「たぶん、ロジャーといっしょに過ごしたと思うよ。」
孫娘「アレックスとムーミンの恋はどうなったの?」
おじいちゃん「アレックスとムーミンの恋? そんなのあったか?」
孫娘「あったよぉー。アレックスの目がピンクになったって、書いてあったもん。」
おじいちゃん「そうか。たしか、あったなぁ。そうだ。ムーミンとアレックスは、いつでも会話もできたので、場所が離れていても、いつでも、一緒だったはずだから、恋も結婚もリモートで、できるんじゃ。そして、誰にも知られずに恋も結婚もできるんじゃ。ロボットのすごいところじゃ。」
孫娘「じゃ。恋は実ったということね。よかった。」
おじいちゃん「そうだな。よかった。よかった。」
孫息子「じゃ。タローは、どうなったの?」
おじいちゃん「タローは、ナロハ大臣と奥さんの子供だったんだ。」
孫娘「おじいちゃんが、子供の頃、会ったことがあるんだよね。」
おじいちゃん「そうだ。タンバ国のサファリツアーに行ったとき、タローくんがいたんだ。とても、美少年のロボット」
孫娘「それから、どうなったんたの?」
おじいちゃん「たぶん、大活躍したと思うよ。タンバ国には、女性実業家が多いという話を聞いたことがあるかい。美少年ロボットのタローが、その基礎を生み出したことは、タンバ国の建国50年史には、登場しないのだが、私たちがだけが知っている秘密なのさ。」
孫娘「私たちの秘密なんだあー。秘密、秘密。誰にも知られてはならない秘密、秘密。」
おじいちゃん「もう、今夜も遅くなってね。これで、このお話をおしまいにしよう。」
おじいちゃん「なにか、思い出したら、エピソードと書くとしよう。」
孫息子「ねえ、おじいちゃんは、いくつになったの。」
おじいちゃん「えーと、いくつだったかな。えーと。96じゃ。昔のことを考えると元気もでてくるけど、疲れがひどくなってきた。さあ。疲れたからねるぞ。」
これで、オサム君はおじいちゃんになってしまいました。そして、たくさんのロボットとそれを取り巻く人たちの話はおしまいです。
実は、ロボットの寿命は、あまり長くありません。せいぜい5年です。10年も経ってしまうと、体の部品も、ソフトウエアの大きくわかってしまうので、同じ状態で、引き継ぐことができないのです。特に、ロボットたちが、成長の過程で生まれた個性を、次の体のロボットに引き継ぐことはできず、1代限りの存在なのです。その短い寿命の中で、みんな、みんな,精一杯の大活躍があったのです。ロボットとのお別れは、家族ようなペットが亡くなるのと同じように非常に悲しい出来事です。非常にかわいがられたロボットとのお別れは、愛する人間とのお別れにも、勝るとも劣らないものですが、それは、とても、強烈すぎて、かけません。オサムおじいちゃんの記憶の中に、今も、生きているのですが、そのオサムおじいちゃんも、その人生を終える時を迎えているのです。
みなさん、さようなら。




